◆ アイルランド自転車旅 ◆
Luna
☆ 23日目
フランスへ渡るために港町ロスレアへ
アイルランドの旅の終わり
いよいよ今日、アイルランドを発ちます。
朝起きるといい天気。テントをたたんで近くの海水浴場へ。昨日のビンなどを捨てるためです。
まだ早い時間なので誰もいません。清々しい海の風。
トイレと水道があったので、朝の準備をすることができました。
さあ、出発です。
アイルランドの町では可愛らしく飾られたポンプをよく見かけるの。手で汲み上げるポンプは一昔前の共同水場。その多くはかつての井戸。町の人々が毎朝水を汲みに集まってはおしゃべりをする場所だったのね。中世以前から続く「井戸端」文化って素敵じゃない? 今は各家庭まで水道が整備されたから、使われなくなったポンプをカラフルに塗って、周囲を花壇にしている町がたくさんあるの。もちろん今でも使えるポンプも数多くあったわ。
公園にあるポンプでは子供たちが水遊びをしていたし、火事や災害時用のポンプもあった。旅人がほてった顔を気持ちよさそうに洗うのも見かけたわ(カタリのことです)。
私たちは今まで旅をしてきた中で、朝ご飯を食べられなかったことは何度もあったけれど、食べ忘れたことなんて一度もなかった。この日をのぞいては。
どうしたのかしら。船のことやアイルランドとお別れすること、フランスに渡ることなんかを考えていたからかしら。出発して進むまで、私たちは朝ご飯のことをすっかり忘れていたの。
ウェックスフォードという小高い丘の町が入り海の向こうに見えたところでようやく朝ご飯を食べることにしました。
橋の向こうには教会の尖塔やお城のある大きな町が広がっています。こちら側には海をはさんで町を眺めるベンチ。素敵な朝食でした。
大きな橋を渡ってウェックスフォードの町へと入ります。町の中心は石畳の古い町並みで、中心にはお城と立派な修道院が建っていました。
町にはかつての井戸(だと思う)を利用した花壇や石壁、小道が残り、往時の姿をうかがわせます。
☆海へ続く道
この道はオールドタウンの中央通りから町を抜けて入り海までまっすぐに続いています。人が一人通れるだけの狭い小道。漁師たちが使う道だったそうです。
町には大きな教会が2つありました。
こちらは修道院が併設されていて、もしかしたら今でも僧侶たちが暮らしているのかもしれないわね。
海のある、坂の多い町。カモメたちが鳴いて漁船が行き交う。明るくて素敵なヨーロッパの風景。
町はちょうどお店が開く時間。船が出港するまでまだ時間があるので、この町で朝のお祈りをしたり、自転車屋さんに寄ったりしてゆっくり過ごしたの。本屋さんでフランスの地図も手に入れたわ。
☆ロスレア港
ウェックスフォードからは風に助けられて、あっという間に港の前のタゴートの町までやってきました。町を抜けて、郊外にある港へ向かいます。
船が見えた。ロスレア港です。
☆乗船
一度港の近くのお店へ戻り、お昼ご飯や船内での食料、オレンジやチョコレートなんかを買い込みます。遠足みたい。
船の見える港の休憩所でお昼ご飯を食べて、しばらくしてから乗船口に並びました。その間に朝露に濡れたテントも乾かした。
ゲートが開くと車は長い列を作って順番に乗船していくんだけど、私たち自転車はパスポートと乗船券をチェックしたらまっすぐ船に通してもらえたの。あっという間に乗船。
アイリッシュフェリーのオスカーワイルドという船に乗ったの。ラウンジやレストラン、パブや映画館もあって大きなフェリーだったわ。
一通り船内を探検したころ、船はロスレアの港を出港したの。
アイルランドを去る寂しい気持ちと、フランスに向かう新しい期待とが半分ずつ。
アイルランドの島影がみるみる遠ざかっていきます。
さようならアイルランド。私たちは大陸へと渡ります。
こうしてアイルランドでの最後の一日は過ぎてゆきました。
☆大陸へ
これでアイルランドでの私たちの旅は終わりです。
でも、自転車旅はまだまだ続きます。
私たちはフランスへ渡った後、モンサンミシェルを経て南下し、スペインにあるサンチャゴ=デ=コンポステーラへ続く巡礼路へと入ります。
キリスト教徒ではないのですが、巡礼者としてサンチャゴへ向かい、その後ポルトガルへと入り、聖地ファティマへ辿り着きます。
さらに南へと下り、スペイン最南端アンダルシア地方にあるタリファへと向かいました。
それら旅の記録はこちらから。
★フランスの旅★
★スペイン「カミーノ 巡礼路」の旅★
★ポルトガルの旅★
★スペイン アンダルシアの旅★
アイルランド
総走行距離:1709km
日数 :22日間
ルナでした。
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