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旅乙女と発明娘の子供部屋

Camino 自転車旅 「水と食べ物」 3日目「白い象のような山並み」

サン=ジャン=ピエ=ド=ポーからサンチアゴ=デ=コンポステーラまでの巡礼路を自転車で旅しました。

f:id:miraluna:20200521173049j:plain:w430 Camino 巡礼路

同じ道を歩きや自転車で旅しようと考えている人の手助けになればと、記録を残します。

               文:Luna    助言・あーせい更正・校正:katari
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<このページの記事>
〇 水と食糧の確保は確実に
〇 飲み水
 ・泉
 ・ミネラルウォーター
 ・水を運ぶ
〇 食べ物
 ・外食をする
 ・自炊をする
 ・旅の常備食
 ・お酒とたばこ
〇 日記 3日目「白い象のような山並み」


「水と食べ物」

☆ 「泉」Fountain フォンテーン・ファンテウンなどと呼ばれる水場
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水と食糧の確保は確実に

巡礼路だけではなく、旅には水と食糧が欠かせません。
普段の日本での暮らしの中では危機感を感じることはあまりありませんが、旅の途上で水や食糧がなくなることは大変恐ろしいことです。
巡礼路にはいざというときに助けを求めることができる他の巡礼者たちがたくさんいますが、それでも水と食糧の確保はあなどらずに確実にしておきましょう。

飲み水

スペインの水道水はそのまま飲むことができます。
でも旅先で水が変わるとお腹を壊す、という人も多いでしょうから、気になるようであれば煮沸したり、ミネラルウォーターを買うと良いと思います。

・泉
ヨーロッパの国には大抵広場があります。スペインの町にも広場があり、そこにはよく泉(噴水ではありません)があります。泉は町の庁舎前や公園などでもよく見られます(上の写真が「泉」です)。
泉は生活用水として整備された水道で、普通は飲むことができます。でもなかには家畜用であったり井戸水を汲み上げたものであったりするので、飲用に適さない水もあります。その場合には水道の蛇口の絵に赤い斜線が引かれた図が示されるなどの配慮がされています。(写真↓)
なかにはスペイン語の文字だけで表されているだけのものもあるので、注意しましょう。
「Agua potable」が飲用水
「Agua No potable」が飲用に適さない水 です。

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泉はカミーノ(巡礼路)に数多く用意されています。
巡礼者たちはそこで顔を洗ったり、水筒を満たしたりします。

・ミネラルウォーター
ミネラルウォーターはスーパーだけではなく、小さな商店でも売っています。種類は豊富で、硬水も軟水も両方置いている場合が多いです。値段はピンからキリまでありますが、安いものであれば1.5リットルで数十セントです。
日本でも炭酸入りの水を飲む人が増えてきましたね。でもまだまだ炭酸水はミネラルウォーターというよりもお酒売り場に置かれています。
スペインでは炭酸入りと炭酸抜きの両方がミネラルウォーターとして売られています。炭酸入りが好きな方は手に入れやすくて嬉しいですね。炭酸入りが苦手な方は買うときに注意です。
炭酸入りは「con gas」、炭酸抜きは「sin gas」と表記されています。
間違えないようにラベルの絵に泡を描く描かないの区別をつけているものもあります。
分からないときには両方のペットボトルを握ってみましょう。ぱんぱんに張っているものが炭酸入りです。

・水を運ぶ

☆ ペットボトルは便利で重宝 旅人や登山をする人にとっての大発明
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私たちは自転車での旅なので、荷物をたくさん積むことができます。
水はとても大切だし、日中はかなり多くの量を飲むので、いつも 2リットルのペットボトルに 1.5リットル以上の水を積んで出発します。
荷物をほどかなくても水が飲めるように、それとは別に500mlのペットボトルをドリンクホルダーに入れています。
泉を見つけたら水を満たすようにしていました。

歩きの人でも 1.5リットルのペットボトルをかかえて歩く人もいましたが、大抵はストックを持っていますし、左右の片側だけ重くなって大変そうでした。良い方法ではなさそうです。
多くの人は500mlのペットボトルをザックの左右のポケットに入れるか、水袋に入れています。
500mlの容器であればすぐに買い替えることができるので衛生上のメリットがあります。水を飲むたびにザックを下ろすのは大変なので、ザックを背負ったままペットボトルを出し入れできるサイドポケットのあるザックを用意できると良いと思います。
水袋(ウォーターキャリー)はザックの中にしまうことができるので、荷物の重心を管理することができて歩きやすいようです。しかしこれだけではいちいちザックから取り出さなくてはならないので、ペットボトルの詰め替え用にするか、チューブを使ったハイドレーションパックにするのが良いでしょう。
ザックにしまった水袋からチューブで水を飲むハイドレーションパックを使う人は、500mlペットボトルよりも多いようでした。

水はジュースなどの清涼飲料水よりも足が早く、数日で傷んでしまいます。
特に直射日光にさらすとあっという間に悪くなってしまい、お腹を壊してしまいます。
水はアルベルゲや泉、スーパーで買うなどして毎日交換するようにしましょう。

食べ物

巡礼路では地元の珍しい料理や食材に出会うことができるでしょう。
食べることは日々の楽しみでもありますし、重要な旅のエネルギー源でもあります。絶やすことのないようにしたいものですね。

☆ ひよこみたいなパン
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・外食をする
巡礼路では大きな町を通り過ぎることがあります。そのような町にはアルベルゲやホテルが何軒もあります。巡礼者の中には大きな町に到着すると、アルベルゲを泊まり歩いたり(連泊できないため)ホテルやホステルに泊まったりして数日間滞在する人もいます。(もし巡礼証明書がほしいのであれば、長期滞在時にも1日2つのスタンプを忘れないように注意しましょう)
大きな町に滞在して闘牛観戦をしたり、マッサージを受けて体調を整えたり、病院で歯の治療をしたりと様々ですが、レストランを目的とする人も多くいます。
大きな町では飲食できるお店がたくさんあります。
でも巡礼路の多くは町から離れた辺境の土地です。

辺境の土地でも巡礼路は毎年多くの巡礼者たちが世界中から集まりにぎわいます。そのため巡礼路の周りにはカフェやバル(酒場)がいくつもできています。きっと毎日何軒ものカフェやバルの前を通り過ぎることでしょう。たとえ辺りが畑と荒野に囲まれた土地だったとしても、です。
巡礼者たちはこうして地元のアルベルゲやカフェによって助けられ、スペインの辺境の地は多くの巡礼者たちが落としていくお金で潤されるのでしょう。

☆ 見たことのない鳥料理
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・自炊をする
もし巡礼の旅路が3日で踏破できるような短いものだったら、自炊をしないでレストランで珍しい地元料理を味わう人が増えるでしょう。
でも巡礼路は歩きで30日以上、自転車でも10日前後かかります。
その上巡礼者たちには信心深く慎ましい生活を求める人たちも少なくはありません。
だから食事は自炊したい、という人が多いです。

アルベルゲはそのような事情と共にあるので、普通はキッチンがあります。なかにはレンジしかなかったり調理器具のないところもあるので、買い物に行く前に確かめましょう。
大抵のキッチンにはピルグリムフードといって、巡礼者を歓迎するためや、もうこれ以上歩けないという疲れ切った巡礼者のために無料の食べ物と調味料が備えられています。それはアルベルゲの管理人が用意する場合もあるし、宿を去る巡礼者が次の巡礼者のために置いていく場合もあります。
ピルグリムフードの多くはパスタと塩とにんにくです。

☆ スーパーで買えるうさぎ肉
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もし買い物に行く余力があれば、食料を調達しに行きましょう。
アルベルゲのある町や村や集落には、大抵小さいながらもスーパーか商店があるものです。なかには缶詰とパンしか手に入らないお店もありますが、商店かカフェのどちらもないというところはめったにないですし、そのどちらもないアルベルゲでは何かしらの対応がなされていると思います。
買い物に行く前にはキッチンでは火が使えるのか、冷蔵庫はあるか、鍋やフライパンや調味料はあるかを確認しておきましょう。
調味料は軽くて小さいものを持ち歩くと良いと思います。

忘れないようにしたいのは、スペインにはシエスタという風習があることです。シエスタとは昼の休憩時間のことで、平均的に13時から16時くらいまでお店が閉まってしまいます。なかには18時まで開店を待たなくてはいけないところもあります。
それと日曜日には注意しましょう。ほとんどすべてのお店が休みになってしまいます。
ヨーロッパのレジ袋は立派で大きくて高い場合があるので、買い物袋があると便利です。
シエスタが終わって巡礼者たちがいっぺんに買い物に行くと、アルベルゲのキッチンは多くの巡礼者で混雑することがあります。譲り合いは譲ることと譲ってもらうことの両方が大切です。みんなが効率よくキッチンを使えるよう、コミュニケーションを楽しむチャンスと思って譲り合えるといいですね。

・旅の常備食
カミーノ(巡礼路)ではカフェも商店もたくさんあるので食べ物に困ることはあまりありませんが、日曜日やシエスタで買い物ができなかったり雨宿りや怪我などで動けなくなったりして、予備の食料が必要になることも考えられます。そのようなときのために1食か2食分の予備食か、しばらく行動するだけのエネルギーを得るための非常食を常に持っておくと安心です。
私たちの予備食はパスタと缶詰(非常食と兼ねる)で、非常食はチョコレートとお菓子類です。加えてカタリはワインを500ml積んでいます。お昼ご飯にパンとチーズとレーズンなどのドライフルーツを食べるので、こちらも持ち運んでいます。スペインではチーズの代わりにソーセージを食べていました。

予備食とは別に毎日の料理で使う調味料を持っていると便利です。
私たちはパスタ用のスープストック(コンソメやブイヨン)、塩(調理用のクレイジーソルト)はいつも持っています。余裕のあるときにはにんにくも持ち運びます。

☆ 缶詰は予備食と非常食を兼ねることができる
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・お酒とたばこ
お酒はどのスーパーや商店でも大抵は売っています。
ビールとワインは日本に比べてとっても安いです。
味も(特にワインは)美味しいそうです。

☆ 紙パック入りのワイン 1リットルで1€くらい
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☆ ビールも1リットル1€くらい
  サングリアは 1.5€くらい
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私たちはたばこを吸わないのであまり意識してたばこの販売について見てきませんでした。
スーパーではレジのところで売っています。
一度、村のどこへ行ってもたばこが手に入らないでがっかりしていた人がいました。アルベルゲの人に「この村ではたばこは売っていない」と言われていました。
アルベルゲや教会などの施設の中では基本的にどこも禁煙です。たばこは喫煙する場所が決められているので、そこで嗜むようにしましょう。


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「白い象のような山並み  虫の音響く寂寞たる秋の空」

  カミーノ 3日目   (ここからは日記です)

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かわいらしい丘の上のアルベルゲを朝早く出発。
遠くの山々からは白い朝靄が滝のように流れ落ちていました。
心地良い爽やかな朝。絵本の中にいるようなシラウキの町が少し名残惜しいです。

ロルカ(Lorca)という村に立ち寄ると村の広場には泉があり、こんこんと水が湧き出ていました。冷たい朝の水で顔を洗うととても気持ちが良かったです。

☆ 朝の泉
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そこから10kmほど走るとEstellaという町に着きました。この辺りはアーネスト=ヘミングウェイが旅行をした縁の場所がたくさんあるみたいです。

☆ Estellaの町
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☆ 大きな修道院
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ヘミングウェイの短編小説にこの辺りの地方を舞台にしたものがいくつかあるそうですね。
遠くに白い岸壁の山々が見えたときにカタリが「白い象みたいだ」と言ったんです。私が「そうね」って言うと、「いい子」だって言われました。
後でどういうことなのか教えてもらって、日本に帰ってからヘミングウェイの『白い象のような山並み』という短編小説を読みました。
私には少し難しいけれど、男の人と女の人の気持ちが説明描写なしにありありと伝わってくるのには驚きました。ハードボイルドというそうです。

☆ 白い象のような山並み
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サン=ジャン=ピエ=ド=ポーから 100kmの地点を通り過ぎました。
真っすぐな道がずうっと続いています。
ピレネー山脈を越えてからはやや下りの平らな道が続いています。自転車で旅をするには気持ちの良い道のりです。

空が高く、雲の形と虫の声が秋のようでした。でも気温は32℃で暑いです。

☆ 真っすぐな道
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巡礼者たちは青と黄色のホタテ貝の目印をたどって進んでいきます。
なかにはこんな自転車マークの印もありました。
☆ 自転車マークの印
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次にたどり着いたのは山の上に古いお城のある小さな町でした。
この町ではたくさんの巡礼者たちが休憩をとっていて、マッティアとホアンもカフェで休んでいました。
ふもとには大きな修道院と教会があって、辺りは畑が広がっています。そこにそびえたつ山の上のお城はどこか非現実的に見えて、不思議な印象を受けました。

☆ そびえたつ山の上のお城
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ログローノという大きな町を通り過ぎましたが、この日は日曜日だったのでスーパーはお休みでした。
ログローノを越えるとオアシスのような湖があり、その辺りには土の道しかなかったので自転車を押して坂道を登りました。

☆ 砂漠のオアシスのよう
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坂を登りきるとハイウェイ沿いのフェンスがあって、そこに無数の十字架がくくられていました。
あまりに数が多かったのでちょっと怖かったけれど、旅の安全を祈願したものなのだと思います。

☆ 無数の十字架
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私たちはナヴァレッテという少し大きめの町でアルベルゲに入りました。店主さんがトマトとズッキーニを用意してくれていたので、それをいただいて料理をしました。
まずは教会に挨拶のお祈りに行き、それから町を散策します。ナヴァレッテもシラウキのように丘に作られた町で、頂上は円形の公園になっていました。それほど大きくはないけれど、アルベルゲがいくつもあるのでたくさんの巡礼者たちを見かけました。

☆ ナヴァレッテの町の通り
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日曜日だからお店はどこも休みかと思っていたら、町の中心の建物の近くに開いているスーパーがありました。
カタリはビールとワインを買ってごきげん。でも飲みすぎて日記を半分しか書かずに寝ちゃったの。飲みすぎ注意よ。
私はおじいさんとスイスから来たお姉さんと会いました。
おじいさんは毎日朝から夕方まで歩き続ける有名な巡礼者らしくて、宿の人が興奮してたの。なんと驚くべきことに一日に 45kmも歩くことがあるんですって! これは驚異的な距離だと思います。そして御年 77歳だというのでこれも驚きです。もっとお話ししたかったけれど、疲れていたようですぐに眠ってしまいました。

スイスから来たシモンという二十歳くらいのお姉さんも今日は長く歩いたそうで、くたくたに疲れていました。シモンは 33kmも歩いたそうです。これも歩いて移動するのは大変な距離。自転車旅にもすごい人たちがいるけれど、歩きの巡礼者たちにもびっくりするような人がたくさんいますね。

☆ ナヴァレッテの町から
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明日の日記


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