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旅乙女と発明娘の子供部屋

Camino 自転車旅 「統計データ検証」 7日目「大きな町 León(レオン) 巡礼者たちの終日の祈り」  

サン=ジャン=ピエ=ド=ポーからサンチアゴ=デ=コンポステーラまでの巡礼路「フランス人の道」を自転車で旅しました。

これからフランス人の道を旅しようと考えている人や自転車旅に出たいと思っている人のために記録を残します。
                文:Luna    助言・あーせい更正・校正:Katari
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☆ Camino de Santiago 巡礼路
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<このページの記事>
〇 2017年の巡礼者の総数
〇 日本人巡礼者と意外に多い韓国人巡礼者
〇 女性一人旅の巡礼者も多い
〇 夏と冬の巡礼者数の差
〇 自転車と徒歩の巡礼者数
〇 巡礼者の年齢層
〇 日記 7日目「大きな町レオン 巡礼者たちの終日の祈り」


☆ 伝統的な巡礼者の旅姿
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「統計データ検証」
サンチアゴ=デ=コンポステーラの町にはピルグリムオフィスという巡礼路の本部のような場所があります。
ピルグリムオフィスでは巡礼者たちがどこから何人来たかなどのデータを毎年集計して発表しています。

昨年のデータも人数までは出ているのでちょっと見てみましょう。
ピルグリムオフィスの公式ホームページはこちらから
               <出典:"Oficina de Acogida al Peregrino"HP
                   "日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会"HP>

・2017年の巡礼者の総数
昨年2017年にサンチアゴ=デ=コンポステーラまで巡礼をした人の総数は
「30万1,040」人でした。
これはピルグリムオフィスでのアンケートに基づくものなので、「今年はここからここまで。続きはまた来年」というように途中の区間だけを歩いた巡礼者や、サンチャゴの町に到着した際ピルグリムオフィスへ足を運ばなかった巡礼者は含まれていません。

1991年からのデータが掲載されていますが、1991年の「7,274人」から巡礼者数は年々増えていき、昨年初めて30万人を超えました。


☆ 巡礼者のシンボル「スカロップ(ホタテ貝)」
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・日本人巡礼者と意外に多い韓国人巡礼者
巡礼者は世界中から集まってくるので国籍も様々です。
その中で日本人巡礼者はでどれくらいいるかというと、
2004の年間巡礼者数は「257」人で、それから少しずつ増えていき2009には 500人を超え、2014に1000人を超えました。2017の日本人の数はまだ分からないのですが、2016には「1459」人まで増えました。
巡礼者全体の人数が増えるのに伴って、日本人巡礼者の数も増えていますね。
でもカミーノ(巡礼路)でアジア人を見かけたら、その多くは韓国人です。日本人が韓国人と間違えられることも多くあります。
韓国人の巡礼者数をちょっと見てみましょう。
2004の巡礼者数はなんと「18」人です。日本人よりもずっと少ないですね。それが2007になると「449」人に増え、その年の日本人巡礼者数「327」人を上回ります。さらに2009には1000人を超え、2012には「2493」人にもなっています。その後も人数を増やし、2016の韓国人巡礼者の数は「4544」人でした。日本人の3倍ですね。
どうしてこんなに韓国人巡礼者が多いかと言うと、一つは韓国にキリスト教徒が多いということがあります。もう一つは巡礼の旅を題材にした小説がベストセラーになり、さらに映画化もされたそうで、その影響が強いのではないかということでした。実際その映画や小説について韓国人巡礼者に聞いてみたところ、5人に尋ねて5人とも知っていました。たまたまその5人が知っていただけかもしれませんが、題名を知らないまま尋ねても「ああ、あれでしょ」とすぐにぴんとくるような感じでした。

☆ 青地に黄色のホタテ貝の印を追う
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・女性一人旅の巡礼者も多い
女性の一人旅と聞くと、危険が伴うというイメージがありますが、巡礼路を一人で旅する女性は少なくありません。
統計の男女比を見てみると、男性が「55.7%」で女性が「44.3%」です。
ほとんど一緒ですね。
実際に巡礼路を旅していると、女性が一人で旅をすることに対して危険を感じる雰囲気はありませんでした。安宿を泊まり歩くバックパッカーの世界とは別物で、日本の登山の雰囲気に似ています。
ただ夏は人が多いので多くの人の目がありますが、冬はアルベルゲの部屋に見知らぬ人と二人きりなんてこともあるかもしれません。
夏と冬の人数の違いも月別に見てみましょう。

・夏と冬の巡礼者数の差
月別の巡礼者数については2017のデータがあります。
1月・・・1,355(人)
2月・・・1,696
3月・・・5,176
4月・・・26,928
5月・・・35,345
6月・・・41,620
7月・・・47,470
8月・・・57,681
9月・・・42,189
10月・・ 31,341
11月・・ 7,346
12月・・ 2,893
夏が圧倒的に多いですね。冬は閉鎖してしまうアルベルゲも多いそうです。冬の巡礼を考えている人は、アルベルゲだけではなく他の宿への宿泊や、宿までバスや電車を利用することも考えておくとよいかと思います。
雪は主に標高の高いところだけで降り、平地では年によって降ったり降らなかったりのようです。冬の野宿を考えている人はしっかりとした装備で行ってくださいね。


・自転車と徒歩の巡礼者数
巡礼証明書を受けるためには自動車やバイクは認められていません。でも巡礼は個人の精神的なことですので、証明書に限った制限です。
証明書は乗馬での巡礼でも認められています。私たちはフランス人の道では馬による旅人とは出会いませんでしたが、ポルトガルのファティマに向かう馬による旅人たちには出会いました。
また、車椅子での巡礼者も見かけました。お話しする機会がなかったので車いすでのルートが徒歩のルートと同じなのか、自転車ルートに近いものなのかを聞くことはできませんでした。

<2004から2016までの平均値>
徒歩・・・86.5%
自転車・・13.0%
馬・・・ 0.4%
車椅子・・0.1%以下


☆ 昔の巡礼者の旅装備
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・巡礼者の年齢層
こちらも2004から2016までの平均値です。

30歳未満  ・・・35.2%
30から60歳未満・・50.6%
60歳以上  ・・・14.2%

60歳以上で夫婦で巡礼路を歩いているという人は多くいました。
14.2%という数字は2004から2016までの平均値で、過去と現在を比べてみると
2004・・・8.0%   2005・・・11.0% だったのに対し、
2015・・・16.7%   2016・・・17.7% と増えています。
近い将来には60歳以上の巡礼者が 2割を超え、 5人に一人が60歳以上になるのではないかと思われます。
定年を機に夫婦で巡礼を歩く、なんていうプランも素敵ですね。


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「大きな町 León(レオン) 巡礼者たちの終日の祈り」

  カミーノ 7日目 (ここからは日記です)

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☆ Carriónからレオンへ
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☆ 修道院アルベルゲ  巡礼者たちのブーツ
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修道院のアルベルゲは1段ベッドで快適でした。
朝7時に起きると他の部屋はどこも空っぽ。私たちの部屋はほとんどが自転車旅の人たちだったので、ここだけまだ人がいっぱい残っていたの。
地元スペインの自転車旅の一団の人たちに朝食に誘われたけれど、昨日のうちに朝食を作ってあったので断りました。
彼らに見送られて、先に出発。

巡礼路はすぐに土の道になりました。アスファルトの道へと迂回することもできたけれど、広くて平らなのでそのまま進みます。
道にはキャリオンの町を出発した巡礼者がたくさん歩いていました。宿で一緒だった人たちもいます。

☆ 巡礼者たちがたくさんいる朝のカミーノ
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私たちは自転車なので、徒歩の巡礼者たちを次々と追い越していきます。
手を挙げて「ブエンカミーノ!(良い道を!)」と言うとみんな元気にあいさつをしてくれます。
朝だから特に元気なのでしょう。
私たちはまるでパレードの主役みたいな気持ちになって、過ぎていく人みんなに手を振ってあいさつをしていきました。
途中の休憩所で、昨日の夜に宿でたくさんお話をした韓国人の義兄弟(出発地で出会ってからずっと一緒に旅をしてきたそうです)ハグスとガンに出会いました。
彼らは遅い朝ごはんを食べているところで、私たちは招待されてゆで卵やワッフルなどをいただきました。
彼らは徒歩なので、これでお別れです。

土の道を走っていくと朝食に誘ってくれたマウンテンバイクの一団が手を挙げて抜き去っていきました。おどけてみせたり、大きな声で笑い声をあげたり、みんなそれぞれの方法であいさつをしてくれます。
とっても豪快でにぎやかな人たちです。
その中に一人、女性のライダーもいました。彼女は小柄で物静かなのですが、勝気で男っぽい性格の人でした。
体格と愛想の良いリーダー率いるそのスペインの一団と一緒になったり、一人になったりしながら旅をしています。
あの豪快な男の人たちの横をすごい速さで並走しながら、大声で彼らと言葉を交わし合う姿はかっこよかったです。
彼らとは何度か抜きつ抜かれつしながら、サンチャゴで再会しました。

☆ 右が小柄で勝気な女性ライダー
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共に旅をしている私の保護者であるカタリが自転車を停めたので何かと思うと、大きな畑にぽつんとおじいさんがいます。
おじいさんは広い畑でくわを振るい、一人黙々と畑を耕していました。
私たちがその様子を見ながら話をしていると一人の巡礼者の女性がやってきて「この畑は広すぎるわ。一人で耕すには」と言いました。
私たちは同じ光景に感じ入るところがあったので笑顔を交わし合い、一人ぽつんと畑を耕すおじいさんに遠くから頭を下げました。

☆ 広い畑を一本のくわで耕していたおじいさん
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スペインには土中の家がたくさんあります。
これは窯かもしれません。
もしかしたら家かもしれません。
盛られた土の中に穴を掘り、換気用の煙突が設けられ、いくつもの出入口があります。
暑さと寒さから身を守る工夫なのでしょうか。
中はどうなっているのでしょう。
とても興味があります。

☆ 土中の家
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以前にヨーロッパの他の国々を旅したときに、クヴァサと呼ばれる麦の発酵飲料を飲みました。
大きな木の樽の車(樽でできた手押しの給水車のようなもの)で市場や広場にいるクヴァサ売りが大中小のカップで売ってくれます。
カタリはそれに強い印象を受けたそうで、それ以来麦の飲み物が大好きになってしまったようです。
今回は麦味のヨーグルトを発見して喜んでいました。

☆ 「麦味」のヨーグルト
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道の途中、Bercianos del Real Camino という町でカミーノを見失いました。
私たちが地図を広げて民家の前でうろうろしていると、家の女性がどうしたのかと出てきてくれました。
この町にはアルベルゲもあり、初めはアルベルゲの場所を教えてくれたのですが、私たちはまだ先へ進むつもりでいたのでカミーノを探しているということを伝えようとしました。私たちはスペイン語を話せませんが、すぐに意図を理解してくれました。
女性のお母さんも出てきて家の裏にある細道を100mほど案内してくれました。案内してもらわなければ、全く違う方向に行くところでした。
親切に教えてくださり、ありがとうございました。


その後 Mansilla de las Mulas という町の教会でスタンプを押してもらい、今日はここまでにしようかと話し合いました。
でもここカミーノではアルベルゲの良さに甘えてしまい、いつもの旅のペースに比べて日々の走行距離が短いということを考え、もう少し先のレオンまで進むことにしました。
レオンまで約 20kmの道のりです。

☆ レオンの町の広場
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レオンの町は大きくて、大きなスーパーマーケットもありました。
旅をしているとスーパーマーケットが好きになります。
アルベルゲやホテルの標識がたくさんあり、標識を追っていくのですが、なかなかアルベルゲが見つかりません。近くまで来ているはずなのにどうしても見つからないので郵便屋さんに尋ねると、とてもにこやかに道を教えてくれました。
アルベルゲはサンタマリア修道院内にあり、大きかったです。

☆ 大聖堂
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私たちはこのレオンの町で、フランスのサン=ジャン=ピエ=ド=ポーの手前とサントドミンゴの町の手前とOcaの村で出会ったフランス人青年と再び出会いました。
彼のパーティは 3人から 2人になっていましたが、どうやら気の合う仲間と出会えたようです。旅の連れは年の近いフランスの青年でした。
彼らに大聖堂の場所を尋ねられたので、大聖堂まで案内しました。今夜の宿はどうするのかを訊くと計画がないということだったので、私たちの泊まっているサンタマリア修道院のアルベルゲを紹介しました。彼らはそのアルベルゲを気に入り、一緒の部屋に泊まることになりました。

夜の9時から私たちは「巡礼者たちの終日の祈り」という巡礼者の夕べに参加しました。場所は隣の建物にある教会で、同じ敷地内にあるようでした。フランス青年の二人も一緒です。
終日の祈りではシスターたちに案内され、礼拝堂へと入っていきます。
皆で円になり、スペイン語で話すシスターと英語で話すシスターが替わり番こに説明をしてくれます。
「スペインから来た人は?」「フランスから来た人は?」と訊かれてそれぞれ手を上げました。どこへ行ってもドイツ人は多いね、と笑い合いました。
礼拝堂の奥ではミサに参加しました。司祭さんたちが儀式のように祈りの言葉をあげ、私たちはじっと座って祈りの言葉を聴きます。厳かな雰囲気でした。
そしてみんなで今日の宿と食べ物と健康に感謝し、様々な地から集まった人々が同じ道を進み、この同じ時間と場所を共有していることを歓び合いました。
それはとてもスピリチュアルで、感動的な体験でした。
私もカタリもキリスト教徒ではありませんが、それは神聖で素晴らしい体験でした。
もし巡礼路でこのような機会に恵まれたなら、ぜひ参加してみてほしいです。

☆ レオンのサンタマリア修道院内のアルベルゲの大部屋
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明日の日記


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