Saint Jean pied de port から Santiago de compostela までの巡礼路を自転車で旅しました。
フランス人の道を旅しようと考えている人や自転車旅に出たいと思っている人の手助けになればと記録を残します。
文:Luna 助言・あーせい更正・校正:Katari
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☆ Camino de Santiago 巡礼路
「サンチアゴ=デ=コンポステーラに辿り着いたら」
☆ サンチアゴ=デ=コンポステーラの大聖堂
<このページの記事>
〇 まずは大聖堂へ
〇 宿を探す
〇 巡礼証明書を受ける
〇 サンチャゴの町の直前と町中の巡礼者
〇 聖ヤコブのお墓にお参りをする
〇 ミサに参加する
〇 大地の果てを目指す
〇 日記 11日目 「ついに巡礼路の最終地サンチアゴ=デ=コンポステーラに到着」
・「まずは大聖堂へ」
長い長い巡礼の道の旅の末、とうとうサンチアゴ=デ=コンポステーラに到着したのなら、何よりもまず先に大聖堂へと向かいましょう。
きっと荷物をアルベルゲに置きたいでしょうし、シャワーを浴びてから清潔な格好で入りたい人も多いでしょう。あまりに混雑しているときには入場制限がかかることもあります。
なので内部に入るのを後回しにしても構いません。外からでもいいので、まずは大聖堂の前に姿を見せましょう。
これは私たちの思うところのものでしかないのでもちろん守る必要などないのですが、到着の挨拶という意味をこめてまずは大聖堂へと向かいたいものです。
・「宿を探す」
ここまで徒歩や自転車で旅をしてきた巡礼者ならばアルベルゲを探すのは慣れたものでしょう。
でも夏のシーズンなどにはサンチャゴの町にたくさんあるアルベルゲがいっぱいになってしまうことも考えられます。
理由の一つは、今まで辿ってきた巡礼路は数多ある巡礼路の一つだということです。
ここサンチャゴの町はあらゆる巡礼路の終着地です。当然多くの人が集まります。
また巡礼者だけではなく観光客もたくさんいます。町そのものは大きくはありません。小さな町が世界的な観光地なので、観光シーズンは混雑します。
もう一つの理由はアルベルゲに連泊をする巡礼者がたくさんいるということです。
巡礼路において、アルベルゲは基本的に連泊はできません。なので毎日人が入れ替わって流れができるので、滞りにくくなっていました。
サンチャゴの町は最終目的地なので次の町へ向かう流れができません。そして連泊が許されています。宿によっては何泊までという決まりがあるそうですが、長い道のりの目的地にようやく到着したのですからゆっくりしたいという人は多いはずです。
シーズン中のサンチャゴの町は混雑するので、早めに宿を確保すると良いでしょう。
・「巡礼証明書を受ける」
多くの巡礼者たちが心待ちにしているのが巡礼証明書の授与だと思います。
巡礼証明書はピルグリムオフィスで受けることになります。
私たちが行ったときは長蛇の列でした。中庭を囲む回廊をぐるっと回って中庭を半周してから中庭の下の道まで階段を下りてさらに階段を上がったところに最後尾がありました。
2時間待ちです。
諦めて次の日の朝に行ったのですが、同じでした。
巡礼証明書を受けるのには時間がかかると考えておいたほうが良いです。
ピルグリムオフィスの場所を下のサンチャゴの地図に示しておきます。
・「サンチャゴの町の直前と町中の巡礼者」
サンチアゴ=デ=コンポステーラの町が近づくと、巡礼者たちは歓びに胸をたかぶらせます。
大きな国の旗を掲げて歩いたり、大きな声で歌を歌ったり、道行く人々とハイタッチしながら町へと入る巡礼者たちもいます。
歓びに溢れての行動なので危険ではないのですが、知らずに来ると驚くかもしれません。
到着してからは大聖堂の側や広場などに一日中座り込んだり寝転んだりして過ごす人々もいます。
こちらも巡礼者たちの道のりを知らなければ、驚く光景かもしれません。
平和な歓びによる行動ではありますが、気持ちのたかぶっている人々がたくさんいて、お祭り騒ぎのようになっている人々もいます。
町中には巡礼証明書を手にして歩いている巡礼者も多く、長い旅路を終えた巡礼者たちは誇り高く見えます。
・「聖ヤコブのお墓にお参りをする」
巡礼のそもそもの目的は聖ヤコブ(サンチャゴ)のお墓にお参りをすることです。
宿に入り、身だしなみを整えたらお参りに行きましょう。
聖ヤコブのお墓は大聖堂の中にあります。
聖堂内に入ると中央に聖ヤコブの像が置かれています。その下がお墓です。
お墓に直接行くには大聖堂の裏(大きな広場の反対側)から小さな入口を通ります。こちらも混雑時には長蛇の列になります。
中に入るとまず聖ヤコブの像の裏を通ります。ここで後ろから像を抱きしめることもできます。
その後地下へと下り、お墓の前に行くことができます。小さな空間なので混雑時に長居することはできませんが、みんなそれぞれ祈りを捧げていきます。
ここがずっと目指してきた目的地なのです。
・「ミサに参加する」
サンチアゴ=デ=コンポステーラの大聖堂では巡礼者のためのミサが毎日開かれます。
月曜日から金曜日までは正午12:00から。
土曜日と日曜日と祭日は正午12:00と夜19:00からです。
☆ 巡礼路 0km地点
・「大地の果てを目指す」
サンチアゴ=デ=コンポステーラに到着し、聖ヤコブのお墓にお参りをしたら巡礼の旅の目的は果たされます。でもまだ歩き足りない、走り足りない人や、大地の果てと呼ばれる巡礼路の端まで行きたいという人は、もうしばらく旅を続けることができる道があります。
サンチャゴの町から西に向かったところにある、大西洋に面した町ムシアとフィステーラです。
そこでも別の巡礼証明書を受けることができます。どちらを先に訪れても良いそうです。サンチャゴから歩いて行き、バスで帰ってくるという人が多くいます。
もし時間とお金と余力が残っていたのなら、「大地の果て」を目指してみるのも良いのではないでしょうか。
「ついに巡礼路の最終地サンチアゴ=デ=コンポステーラに到着」
カミーノ 11日目 (ここからは日記です)
Luna
☆ ポートマリンからサンチアゴ=デ=コンポステーラ
サンチャゴまで残り100km。届く距離だけれど午後にはアルベルゲがいっぱいに埋まってしまうだろうとクリストフは言っていた。だから明日到着することになるだろうと、私たちは思っていたの。
夜明け前、クリストフが起きる前に置手紙を残して出発しました。カタリは少し寝不足みたい。
朝日が昇ってからしばらくは朝靄が辺りに立ちこめていました。
☆ 朝靄の中を出発
徒歩の巡礼路には今までにないくらい多くの巡礼者が歩いていました。
町の近くだから、まだ分散していないのでしょう。
☆ 低地の朝靄が雲海のよう
道は小さな村を点々と結ぶ細い田舎道になりました。
自転車でも通ることができたので良かったです。
☆ とうもろこし畑の中を通る巡礼路
Arzúaという町の公園でお昼ご飯を食べました。たしかこの町でフランス人の道と北の道が合流するのだったと思います。巡礼者がとても多くなりました。
スーパーの前で「ポコだな!」と声をかけられました。「あと少しだな」という意味でしょう。
そう。あと少しで到着するのです。
巡礼者達は興奮しています。
今日はサンチャゴの20kmくらい手前で泊まる予定でした。
でも、巡礼者達が増え、巡礼路は熱気を帯びています。私たちはわくわくして、とても明日まで待てないような気持になってきました。
この日はとても暑く、日本の湿り気のある暑さとは違った乾いた暑さが辺りの空気を満たしています。経験したことのない種類の暑さで、どれくらいが危険なのかわからないので休憩をたくさん入れながら慎重に進みます。
そして……。
歓喜の丘と呼ばれるゴゾの丘にたどり着きました。
ここからサンチアゴ=デ=コンポステーラの大聖堂が見えるため、巡礼者が歓喜の声をあげる丘なのです。
そうです。私たちはアルベルゲに入らず、サンチャゴの町を目指したのです。
そしてとうとう、到着しました。
私がサンチアゴ=デ=コンポステーラの大聖堂の前でブレーキをかけて停まると、その瞬間、サントドミンゴで手に入れてからずっと着けていた巡礼者のシンボルの貝が音を立てて落ちました。
まるで巡礼の旅の終わりを意味するかのように。
なんというタイミングでしょう。
霊験あらたかな出来事でした。
☆ 大聖堂前の広場
大聖堂の前の広場へ行くと、多くの観光客や巡礼者たちがいました。
巡礼者たちは到着の歓びに満ちています。私たちもまた、そうです。
☆ 広場から見たサンチャゴの大聖堂
大聖堂に到着のあいさつをしました。
混雑している時間だったようで、中に入るには列に並ぶ必要がありました。中に入るのは後にすることにします。
まずはインフォメーションセンターで宿を尋ねると、ホテルはあるけれどアルベルゲはあと一軒しか空いていないと言われました。
少し迷子になってから聞いていたアルベルゲを尋ねると、最後の客として二人とも入れることになりました。一安心です。
☆ Porta REAL アルベルゲ
このあと大聖堂とピルグリムオフィスに行きました。ピルグリムオフィスでは巡礼証明書を受けるために長い列ができていて、入口のお姉さんが「明日のオープンの時間に来たら?」と親切に教えてくれたので、明日出直すことにしました。
その日は同じアルベルゲの仲間と宿のラウラとゆっくり過ごしました。
次の日。カミーノ12日目。
朝のうちに大聖堂の聖ヤコブのお墓参りに行きました。
オープンの時間の前から列ができていました。
いよいよお墓の前に立つというときになって、モン=サン=ミシェルからの道のりが思い返されました。あっという間のようでもあったけれど、やっぱり遠くもありました。私は胸が熱くなるのを感じました。
☆ いよいよ聖ヤコブのお墓へ
大聖堂の中に入り、聖ヤコブの像の後ろを通ります。私は聖ヤコブの像を後ろから抱きしめました。
それから地下に降りると聖ヤコブのお墓のある小部屋に着きました。とうとう私は泣いてしまいました。
周りにいた若い巡礼者たちもはばかることなく涙を流しています。隣にいたカタリも目に涙を浮かべていました。ここまでの道のりは長いものでした。その旅路を想うと宗教とは別の、親近感のようなものを覚えました。
私たちは、やり遂げたのです。
☆ 巡礼路の道のり
無事に到着できたことに感謝をし、しばらく大聖堂で祈りを捧げてから私たちはピルグリムオフィスへと向かいました。
オフィスの前で元気いっぱいにおどけて合図を送ってくる少年がいます。何かと思ったらラバナルから度々出会ってきた親子でした。彼らとは昨日も出会い、そのときに男の子の自転車が不調だったため心配していたのですが、無事に到着できたようです。良かった。
彼らは今日到着したばかりのようで、オフィスの隣の建物(?)でバスの手配をしているところでした。私たちは皆、巡礼を終えた巡礼者になったのです。
しばらくおしゃべりをしてからピルグリムオフィスへの門扉をくぐりました。
今日は朝なので空いているかと思ったら、昨日よりも長い列。でも並ぶことにしました。
☆ 巡礼証明書を受けるために集まった巡礼者たち
2時間並びました。
巡礼者たちの持つ巡礼者の証(クレデンシャル)は巡礼路の各地でもらったスタンプでいっぱいです。
そして……
巡礼証明書を受け取りました。
筒を握りしめると思わずにこにこしてしまいます。
旅路を証明されるのって、うれしいものですね。
授与を行ってくれたおじいさんが初めにかけてくれた言葉は「長い道のりだったね」という言葉でした。思わずまた泣き出しそうになってしまいました。
おじいさんは巡礼の旅をねぎらってくれて、距離証明書に達筆で私の名前を書き入れてくれました。
☆ サンチャゴの町
☆ 町の小路
☆ お土産屋さんの並ぶ道
☆ 町の自転車屋さん
ここまでずっと一緒に旅をしてきた自転車。じつはアイルランドにいるあたりからチェーンが伸び始めていて、ここ数日も坂道では歯飛びがするようになっていました。
宿の近くに自転車屋さんがあって、思い切って二人ともチェーンとスプロケットカセットを交換してもらうことにしました。
この自転車屋さんがとても親切で腕のいい自転車屋さんで、ほんの2時間くらいで交換してくれました。乗った感じもしっくりきます。工賃と部品代込みで一台30€でした。
これでずっと悩んできた問題が解決されました。
ありがとう。
☆ 新しいチェーンとスプロケットカセット
こうして私たちの巡礼の旅は終わりました。
でも、旅はまだまだ続きます。
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