Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

冒険の始まり ダブリンからグレンダロー遺跡へ 幻想世界を通って

◆ アイルランド自転車旅 ◆

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☆5日目

ダブリンの町を出て、冒険の旅に出発!

いよいよアイルランドでの自転車旅の始まりです。
教会の鐘楼から町の外をぐるっと眺めた時に、南の方角に遠く小高い山々のある土地が見えたの。
まずはその丘陵地帯を目指します。

昨日買った水と食料を積んでいるから、装備はなかなかの重さ。地図とガスも手に入れました。
ダブリンの町はヨーロッパの中でも大きくないとはいえ、やっぱり首都。町を抜けるのには時間がかかります。

☆郊外のお城
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しばらく町の郊外を走ると、やがて山の麓に差しかかって、そこからはずっと登り。別荘地のような雰囲気です。

さらに登っていくと別れ道のところに見晴らしの良い丘があって、そこからダブリンの町と港が一望できた。
ここからは泊まれる宿があるか分からない旅路。わくわくもどきどきもしていました。
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さらに森の中の道を登っていくと、あっという間に森林限界まで辿り着きました。
北の国だから、森林限界も低いのね。
首都から半日で人里離れた山の上まで来ることができるなんて、何だか不思議な感じ。


☆丘の谷間には小さな湖と里
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☆遠くにお城が見えます
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☆山の中腹にある湖
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急な山道を上がると、山の中腹にある湖を見下ろすことができます。周りを崖に囲まれていて、火山湖のような形です。空から見ると、三日月形をしているのかな。

ここまでの道のりはじつは楽なものではなかったの。私の自転車のタイヤの空気圧がゆっくりと減っていくのが前から気になっていたんだけど、減り方が早くなってきたので何度も空気を入れなおしながら走っていたの。でも減り方がどんどん早くなるから、パンク修理をすることにしました。荷物を全部降ろして、タイヤを外して。雨が降り出したのでレインウェアでの作業。一度地元のおじいさんが自転車で通りかかったので一緒に修理をしたんだけど、空気漏れの原因は分からなかった。しばらく走るとまた空気が漏れるので、もう一度修理を試みました。それでも原因が分かりません。
山の上だから空気は冷えていて雨も降ったり止んだりしているけど、自分たちで修理しないと進むことができなくなってしまいます。
お昼を食べてからもう一度作業したとき、以前の修理跡からわずかに空気が漏れているのをカタリが見つけてくれたの。この日は4回か5回修理をしました。
そしてその後、山上の世界に辿り着くことになります。


☆どこまでも続くまっすぐな一本道
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山の上は広い広い草原でした。
鳥の声以外に音はありません。
そこへまっすぐに道が伸びています。いったいどこまで続いているのかしらと、鳥の声を聞きながら走ります。

空がとても広く感じられる。

すると遠くに一人の旅人の姿が。
こんなところに。
その時は挨拶をして通り過ぎたんだけど、彼とはこの後、宿で同じ相部屋に泊まることになります。宿で会った時、歩くには遠すぎる距離だったのでびっくりしたけど、山を下りてからヒッチハイクで来たそうです。


☆日本の日常世界とは遠く隔たった、幻想世界のような
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町を出発した冒険初日にファンタジーのような世界に辿り着きました。
カタリはケルトの人々の生きた世界が見たくてアイルランドを出発の場所に選んだんだけど、この道を走っている間ずっと興奮していました。
想像していた以上に「(カタリに言わせれば)幻想ロマンの世界。別の世界」に辿り着いてしまったみたい。
カタリの日記には
「かつてここにヴァイキングケルトの人々がいて、やはり旅人は旅をしたのだろう。悠久と今が同じ時に存在するかのような土地だ」
と、いつもより勢いのある字で形容してありました。

きっと中世ヨーロッパの時代からずっと変わらない景色なんでしょうね。
この世界には私の知らない魅力的な場所がまだまだうんとあるんだということを、圧倒的に思い知らされました。


☆人の住む地へ
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山をゆっくりと下ると道は川と合流し、川はやがて滝となってはるか下へと下っていきます。その先には人の住む土地が。
山の上の世界から降りてきました。
このずっと先にグレンダロー(グレンダーロッホ)遺跡があります。


☆グレンダロー遺跡
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中世におけるアイルランドの聖地です。
カタリは野宿を予定していたみたいなんだけど、幸運にも近くに宿が見つかったので泊まることにしたの。ドミトリー(相部屋)で一人17€と安いし。ただ、お店は近くになかったから、数km離れた小さな商店まで買い物に行った。生の食材は人参とじゃがいもくらいしかなかったから、パスタと野菜の缶詰、ジュースなんかを買った。カタリはお店の人にビールはないのか訊いていたけど、置いてなかったみたい。
宿に戻ると山の上を一人歩いていた旅の青年と出会って、お話したの。その日別行動をしていた彼の友達や、同郷の学者さんもいた。彼らはみんなドイツからの旅人で、青年二人はヒッチハイクで、学者さんは車でアイルランドを回っているんだって。地図を広げてしばらくお互いのルートなんかを話したわ。
宿にはもう一人自転車旅の人がいて、その人はイギリスのおばあさん。山越えで足が疲れたからしばらくここに滞在するんだって。周囲のハイキングマップをくれたの。


この日入り込んだ山の上の別世界は、私に強い印象を与えてくれた。
そしてこの道は、今回の旅でもう一度通ることになります。


               ☆明日へ続く

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