◆ アイルランド自転車旅 ◆
Luna
☆ 16日目 前半
ゴールウェイから西へ。旅の最終地点を目指します。
快適な宿を出て、今日も旅に出発します。
大聖堂で朝のお祈りをすませて地図を見ていると、コナー峠とモハーの崖で見かけた自転車旅の人を見かけたの。すぐに角を曲がって行ってしまったので声をかけることはできなかったけど、後ろにかごを付けて、そこにバナナとかの食料を載せている旅人は他にはめったにいないでしょうから間違いないと思う。ディングル半島からずっと同じような道のりで旅をしているのね。
☆西へ
ゴールウェイの町を出て西を目指します。アイルランドでの旅の最終地点はここから西のコネマラ地域にあるカイルモア修道院に決めたの。つまり今日が旅の折り返し地点になります。
ゴールウェイの西の道はとても平坦できれいだった。雲一つない快晴だったの。湖が点々とあるんだけれど、鏡のように静まり返っている湖もあったわ。
遥か先にはこれから行こうとしているコネマラ国立公園の山々がそびえています。
北ヨーロッパの針葉樹林が湖面に映っています。
こんなきれいな世界を旅することができるなんて、それだけで人生は喜びに満ちるものだと感じさせられました。
ただリュックを背負って歩くだけ、ただ荷を積んで自転車で走るだけ、ただ河原を散歩するだけ、ただ早朝に窓をあけるだけ、それだけでもこの世界の美しさに圧倒されることがあります。
この世界には醜いものがうんとあるけれど、それも含めてやっぱりこの世界は美しい。
道の北側には草原がどこまでも広がっています。
草原の真ん中は音もなく静かです。夜になれば明かりもなく星が輝きます。
旅をしている時でも、日常の何気ないときでも、はっとするほど素敵な世界を見ることがあります。
遠い中世の時代の人々が見た美しい世界も、幻想のようなロマンに溢れた世界も、それらはこの現実世界の中にあります。
遠い昔の物語ではなく、行くことのできない幻想世界の空想でもなく、見方を変えて行動を起こせば、それらは確かにこの世界に用意されています。
一緒に旅に出ませんか? きっとカタリが苦労を共にしてくれますよ。
☆クリフデン城
お城への入口。城門です。
エニスの宿に泊まったときにイタリア人のような雰囲気の地元のおじさんに「スカイロード」についての情報をもらっていました。
空を飛んでいるような、きれいな道だそうです。
クリフデンの町からスカイロードへ入ると、お城のようなものがあったので行ってみたの。でもそれはお城ではなくて、城門だった。そこから海のほうへ牧草地の中を1kmくらい歩いていくことになりました。
いつも自転車だから1km歩くのってとても遠く感じる。もっと遠かったんじゃないかしら。
いくつもの石柱を見ながら歩いていくと、ようやくクリフデン城が見えてきました。
中へと入ってみると、お城はすでに廃墟となっていました。
蔦や木が茂っています。
まるでラピュタみたい。
お城の裏へ回ると木や蔦に覆われています。きっと長い間誰も住んでいないのね。
かつてはここに立派な貴族や地主さんが住んでいたのかもしれない。でも今はもう誰もいないのね。
☆スカイロードへ
クリフデン城を後にしてスカイロードを進みます。本当に空を飛んでいるような道です。
馬たちも気持ち良さそう。
振り返ると辿ってきた道が見えます。
ダブリンから、ずいぶん遠くまで来たわね。
ここはアイルランドの西の果てです。
なんだか地の果てに来たみたい。
ここから地上へと降りていく下り坂になります。
遠く島々が見えます。
休憩所があって、自転車の二人組に「ここまで大変だったな」と声をかけられました。
スカイロードを一気に下って突端の漁師村を抜けます。
次はカイルモア修道院を目指します。
☆後半へ続く☆
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