Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

金曜日の町と郊外の山

◆ アイルランド自転車旅 ◆

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☆ 20日目

この日は夕方まであまり楽しい日じゃなかったわ。でも夕方、それが報われた。
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日中は雨が降らなくて良かった。もし降っていたら、気が滅入ってしまいそうな日だったから。

まず今泊まっている宿から、日本からダブリンに到着したときに泊まった宿の予約を入れたの。今の宿を出て、その宿へ行き、フェリーのチケットを取った。これでまずはやるべきことの一つが完了。

宿にチェックインしようとしたら、予約は入っていませんって言われてしまったの。しかも今日はもう満室だって。がっかり。でもまずは宿探しの前にやっておくことがあるわ。

入国の時にイミグレーションで出国前にメールを送るように言われていたの。もし送らなかったら2度とEUには入れなくなる、とまで言われたんだって(カタリが)。たぶんただの脅しだろうけど、やるべきことはやっておいたほうがいいわ。
だけど……。アドレスを渡されたときにもカタリは一字ずつ読み上げて確認したそうなんだけど、そのアドレスにメールを送っても送信に失敗する。宿のお姉さんに確認してもらっても、打ち込んだアドレスとメモされたアドレスに間違いはないというの。
仕方がないからオフィスを探して直接行くことにしたわ。

イミグレーションオフィスなんて地元の人も「だいたいこの辺り」までしか分からなかった。インターネットを使って地図で調べてもらったのに。
ようやく探し当てた時にはもうお昼を回っていたわ。

ここからがまた大変。イミグレーションオフィスは主に外国籍の人が様々な手続き(たぶん出生、入籍、居住、etc...)をするところで、とっても多くの人々が順番待ちをしていた。窓口の種類もたくさんある。入口にはいきなり「予約がないと受付できません」の標示。
誰かに訊こうにもどの窓口も長蛇の列で、しかも私たちの用件はどこに適するのかまるで分からない。
でもどうにかしなければ、どうにもならない。
私たちは一つの窓口にしぼって、まずどの窓口へ行くべきか聞くために順番待ちをしたの。時間はかかるけど辛抱が必要ね。
ようやく順番が回れば思った通り「この窓口じゃない」と相手にしてもらえない。ここで引き下がるとまた順番を待つことになるから、とにかくメールの先の相手に用件を伝える必要がある、話を聞いてくれる人が必要だ、とがんばったの。そうしたらよろず窓口みたいなところを教えてくれた。
行ってみると誰もいない。30分待っても来ない。つかまえられそうなオフィスの人もいないし、お客さんはみんな自分のことで不安そう。カタリは周りの人に尋ねていたけど、やっぱり待つしかないみたい。
そこでもう一度さっきの窓口に並んで「教えてもらった窓口に誰もいない」と伝えたら別の男の人が対応してくれて、連絡をつけてくれたの。
しばらく待ったけどおばあさんが出てきて対応してくれたわ。この方がきっちりした方で、オフィスの奥で長い時間をかけて調べてくれたの。どうやら原因は宿のお姉さんも窓口のおばさんも何人かの地元の人もみんな「n」だと思った文字が「m」だったみたい。それじゃ分からないわよね。空港のイミグレーションの人が原因よ。
このオフィスと空港の人たちとはあまりつながりがないみたいで、ここへ直接来てもやっぱりメールしか方法がないみたい。
でもこれでようやくメールを送ることができたの。おばあさん、よく見つけてくださいました。ありがとう。

さて、次は宿探し。今日は合計すると何時間も順番待ちをしたし、いろいろ不安があったり人に話しかけたりでとっても疲れた。でも、メールを送ることができてフェリーのチケットが取れたから、もう何も心配することはないわ。
宿の人や他のお客さんに教えてもらって何軒か他の宿を探したけど、夏の金曜日はどこもいっぱいみたい。
だったら町を出ればいいじゃない。

私たちはダブリンの町を出て、旅路へ戻ることにしました。f:id:miraluna:20180128183444j:plain


☆ダブリンの町を抜けて旅路へ
ダブリンを初めて出発した日と同じ道を辿ります。目指すは南にある港町ロスレア。2日間の距離だけど、3日後の船に乗ります。
郊外の家並みを抜けて、再びあの山を登ります。
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やっぱり私たちには華やかな金曜日の町よりも、自然の中に身を投げ出した草枕のほうが合っているみたい。町を離れるとうんとずっと気持ちがいい。
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道から外れて森の小路へと入ります。今日はこの辺りでキャンプです。
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私たちのテント、見えますか?
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森の中に野営に適した気持ちの良い場所を見つけました。近くの丘の上には焚火の跡が残っています。私たちのほかにも旅人がここで一夜を明かしたのでしょう。私たちと同じように、一面の星空を見上げたのでしょうか。
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日が暮れるのが早くなってきました。久しぶりの夜空です。
辺りには人工的な音も光もありません。ずっと昔からある山の景色が、ただ当たり前のような顔をして夕暮れを迎えるばかりです。
シャワーはないけれど、宿に泊まれなくて良かったです。
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               ☆明日へ続く

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