◆ アイルランド自転車旅 ◆
Luna
☆ 21日目
再び幻想世界の道を行く
素晴らしい一日でした。私たちはこういう旅をしに来たの。
朝起きるといい天気。今日はダブリンを初めて出発した日に通った幻想的な山の道を再び通ります。
テントをたたんで朝ご飯を食べ終わると、6匹くらいの犬を連れたおじさんがやってきたの。わんわん吠えながら一斉に私たちの方へ走って来た。どうしようと思ったら、尻尾をふったたくさんの犬たちにじゃれつかれました。びっくりしたぁ。
谷間には湖と家々が見えます。どこか遠い世界のおとぎ話みたい。
急な坂道を登って頂上近くの休憩所まで来ました。登り坂を上がるのは大変だけれど、前に通った時のようにトラブルがなかったからあっという間。
当たり前のことだけど、湖は今もそこに同じ姿で水を湛えていました。
そして山の上の一本道を走ります。
今日は天気が良くて、前に通ったときよりも素敵です。
どこまでも、どこまでも、平原の中をまっすぐに。
山の上にはSallyGapという交差点が一か所あるの。標識だけが立っていて、南北を行く道と東西を行く道が交わるところ。
SallyGapを越えると丘を巻いて平原を下っていく。
ちょっと現実世界とは思えないほど、日本の生活とはかけ離れた風景。
でも、この風景の方こそ、地球の長い歴史の中で日常として存在してきた自然な風景なのよね。
どんなに遠い国々にも、どんなに遠い時代にも、いつだってそこにあった景色。だけど私たちはそこに特別な魅力を感じるの。かつてその風景の中に暮らした人々、かつてその世界の中を旅した旅人たち。彼らを想いながら同じ世界を旅していくことは、私とカタリにとってとても魅力的で、大事なことなの。たとえ生活の多くを費やしたとしても、それだけの価値を私たちは見つけてしまったから。酔狂や娯楽なんかじゃないの。人生を賭したロマンなのよ。(カタリの受け売りだけど……)
やがて道は針葉樹林へと入っていきます。森から頭を出した山々には木々がない。雪深い土地に多く見られる光景ね。
道は続いていきます。
進み続けている限り。
道を外れて平原に入れば、ブルーベリーがたくさん自生しているの。
私たちは休憩をして、ブルーベリーをいっぱい食べました。
日本でよく食べるブルーベリーと種類が違うようです。写真は大人の男の人であるカタリの手ですが、それでも小さいサイズですね。それに中身は紫色をしているんです。目に良いそうですよ。
幻想的な別世界。
広い草原には羊たちがいます。この国では遊牧ではなく放牧がされているようで、羊飼いたちはたまにしか見かけませんでした。
滝のところから道を下れば、グレンダローの村に到着します。
☆グレンダローハイキング
グレンダロー(グレンダーロッホ)に到着しました。
私たちはまた同じ宿に泊まることにしたわ。その日は宿に多くのお客がいて、私たちでちょうど満室になったんだって。
ちょうどお昼ごろだったので、お昼ご飯を持って遊歩道を散歩しに出発。
こんな道もあります。やぶをぬけた奥にあるのはいばら姫のお城?
隠されたような古い教会の遺跡に出ました。
ケルト紋様が素敵です。
散歩道は山を上がり、やがてグレンダロー遺跡を見下ろすことのできる場所へとやってきました。
お墓がたくさん並んでいるのが見えます。
湖も見えました。
勇壮な山々に囲まれていますね。
谷間から湖へと続いている川の跡が見えます。ここにSt.ケヴィンという僧侶が来て祈りの生活を始めたのがこの遺跡の始まりだそうだけれど、そのときには今のような村もなかったでしょうから、本当に自然の中に身をゆだねた暮らしだったのでしょうね。
散歩道を進んで、湖まで降りてきました。二つある湖のうちの、奥にあるUpper Lakeです。St.ケヴィンはこの湖畔に小屋を建てて住んでいたんだって。
自分の人生全てを投じて、毎日を祈りと瞑想の中に過ごす。
もし自分だったら......想像できる?
でも、現実にそういう人生があったのよ。
☆明日へ続く☆
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