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カミーノ(巡礼路) 自転車旅 「旅のトラブル」  5日目「ブルゴスはマリア様のお祭り」

サン=ジャン=ピエ=ド=ポーからサンチアゴ=デ=コンポステーラまでの巡礼路を自転車で旅しました。

これから「フランス人の道」を旅しようと考えている方の手助けになればと記録を残します。
               文:Luna     助言・あーせい更正・校正:Katari

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☆ Camino de Santiago 巡礼路
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「旅のトラブル」

☆ パンクを修理する
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<このページの記事>
〇 ページのトップ
〇 巡礼路のトラブル
 ・脚(足)の痛みとけが
 ・ダニの発生
 ・ファーマシー(薬屋さん)
 ・トイレについて
 ・道に迷ったら
 ・犯罪トラブル
 ・緊急の場合
〇 自転車旅のトラブル
 ・水や食糧が手に入らない
 ・迷い道
 ・けがや病気
 ・宿がない
 ・交通ルールと事故
 ・パンクと故障
〇 日記 5日目「ブルゴスはマリア様のお祭り」


ピエデポーを出発してサンチャゴまでたどり着くには、歩きで30日以上、自転車で10日以上かかります。
それだけの長い間旅を続けていると、程度の多少はあっても何かしらの困りごとに遭遇するでしょう。
それは泥んこ道で尻もちをついちゃったというような些細なものかもしれませんし、交通事故に遭ったというような重大なものかもしれません。

ここでは旅行先のトラブルというようなものではなく、巡礼路に多くあるトラブルと自転車旅のトラブルについて考えてみたいと思います。



「巡礼路のトラブル」


・脚(足)の痛みとけが
歩きの巡礼者たちにとって最も多い困りごとは間違いなく「脚・足」に関わる問題です。
老若男女問わず、ほとんどすべての巡礼者たちが自分の足や体に気を遣いながら旅をしています。これは自転車の旅人も同じことです。

足の裏やかかとの靴擦れなどのトラブルは旅の前半に、ひざや腰などの間接のトラブルは旅の中盤から頻出します。肩の凝りや体の痛みは旅の途上のどこででもあります。
それらの問題と向き合いながら巡礼者たちは旅を続けていくことになるので、私たちが見聞きしたその対処方法をいくつか書き残しておきます。


〇 豆や擦れの対処法
皮膚の表面にかかるダメージは「擦れ」によるものが大きいです。足のサイズにあっていない靴や、歩くたびにどこかが擦れる靴は危険です。外反母趾のように親指が曲がっている巡礼者もたくさん見かけました。

<靴下>
自分の足にぴったりフィットした靴が良いとはいっても、なかなかぴったりしたものと出会えるわけではありませんよね。

・厚い靴下をはく
・靴下を重ね履きする

というのがかなり有効な対処法のようです。

<中敷き>
中敷きは丈夫な物でも履きつぶして穴が開くことが頻繁にあります。
スニーカーで旅をしてきた巡礼者で、中敷きも靴底も靴下も突き破ってしまったという笑い話に出てきそうな状態の人と二人も遭遇しました。彼らは歩き方にも問題があったのかもしれませんが、それでも全部突き破るというのはそれだけたくさんの負荷がかかるということです。

・丈夫な靴底の靴を選び、中敷きを入れる
・心配なら予備の中敷きを用意する

ばんそうこう・サポーター>
かかとやアキレス腱の辺りの靴擦れの対処は、ばんそうこうを重ねて貼ったり、かかとのサポーターを着けたりして予防していました。

・擦れる箇所にばんそうこうを何重にも貼る(毎日だと量が必要)
・かかとサポーターを着ける

<豆の対処>
豆はつぶすのが良いという人と、細菌が入るからつぶさないほうが良いという人がいました。上手に対処していた人のやり方を聞いたので、参考として書いておきます。
・「豆ができたらむやみにつぶす必要はないが、水がたまったらつぶれてしまう前に自分で抜く。寝る前にやると良い。大きく皮が破れないように豆を針で刺し、吸水性の良いティッシュなどで水分を吸い取る。しばらくして出てきた水分をもう一度吸い取り、ばんそうこうなどを貼って寝る。朝起きたら治ってるさ」
というような内容でした。
朝起きたら治っている、というところは本気かどうかわかりませんでしたが、確かにその人は上手に対処できていました。
乾かないときはライターで炙って固く乾燥させる、という人も結構たくさんいました。でも女性陣に「だめよそんなの」と言われていたので、真偽のところはよくわかりません。



〇 筋肉痛・足のつり(こむら返り)の対処法
こちらについてはみなさん「巡礼路ではしょうがない」との意見でした。
行っていた対処法は、
・マッサージをする・湿布を貼る・サポートテープを貼る・温める・よく寝る・野菜や果物を食べる・一日の歩く距離をコントロールする・休めるところでは休む
などなどでした。



〇 関節の痛みの対処法
これは巡礼路における大きなトラブルの一つです。
腰や背中、首周りに痛みがある人もたくさんいますが、一番多いのはひざだろうと感じました。
ひざに痛みがあるなかで重い荷物を背負って毎日長い距離を歩く、あるいは自転車で走るというのは大変な困難です。しかしその困難な旅を続けている巡礼者はとても多くいました。

・杖を使う
できれば登山用などの軽いストックを両手に持ちたいところです。少し使い方を練習すれば足腰にかかる負担を大幅に軽減することができます。特に下りの道では大きな効果を発揮します。

・サポーターやテーピングをする
ひざや腰、足首をある程度固定すると、繰り返し曲げ伸ばしされる間接にとっては助かります。塵も積もれば山となるように、わずかな気遣いが長い道のりでは大きな助けとなって表れてくるでしょう。

・施術やマッサージを受ける
大きな町へ行くと、休息のためにしばらく滞在したり病院などに通ったりする巡礼者が出てきます。
もし時間に余裕があるのなら、苦しい時にはしばらく休養しながら旅を続けるのも良いのではないでしょうか。



・ダニの発生
2017年は降水量の少ない夏だったそうで、暑さもまた例年よりも厳しかったそうです。
かつてはアルベルゲのベッドなどに発生していたダニのトラブルも近年では解消されたけれど、2017年の夏に久しぶりに復活して猛威を振るった。ということを私たちは現地で聞きました。
水量も暑さもダニも人から聞いただけで統計データに基づくものではありませんが、確かに湖の水かさは水際跡よりぐっと低かったですし、暑かったですし、アルベルゲのベッドにはダニがいました。ダニはベッドにいるというよりも、巡礼路の草地などに棲息しているのだと思います。

☆ 次の人のためにベッドは清潔に
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これは2017年だけのトラブルなのかもしれませんし、毎年そうなのかはわかりませんが、そこでのダニはなかなか厄介なものでした。

ダニはおそらく家ダニではなく、草地などにいるマダニだと思われます。多くの巡礼者がダニに刺されたことを話題にし、そして誰もが刺されているような状況でした。私たちも刺されました。
刺されるとかゆみと腫れがあります。特にかゆみが強くて厄介です。放置していてもなかなか治らず、旅先で出会った旅人から塗り薬をもらってようやく治りました。塗り薬はファーマシー(薬局)で買えるそうです。

アルベルゲによってはチェックインの際にダニの写真を見せて注意や説明をするなどの対応をしているところもありました。

外務省の海外安全ホームページではクリミア・コンゴ出血熱の感染源としてマダニに咬まれないようにとの情報を発信しています。
咬まれないための予防薬などがあれば良いのですが、予防薬の情報は得られませんでした。



・ファーマシー(薬屋さん)
巡礼者たちが困らないように、巡礼路では小さな村でもなるべく必要なものがそろうように努力がされています。
教会、泉(水道)、アルベルゲ、商店、それと薬屋さんです。
薬屋さんは Farmacia(英語の pharmacyですね)といって、巡礼路ではあちらこちらに見つけることができます。
「緑の十字」や「蛇と杖」「蛇と天秤」「蛇と杯」などのマークが薬屋さんのマークです。
一度その気軽さと便利さと親切さを知ってしまうと、つい用がなくても顔を出したくなってしまうのが小さな薬屋さんです。

☆ 緑の十字は薬屋さんのマーク
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体に不調があるときでも病院へ行くのは敷居が高いな、というときには薬屋さんへ行くのがお勧めです。
小さな薬屋さんは商店に買い物に入るような気軽さで入れますし、言葉でなくてもジェスチャーで察してくれることは多いと思います。スーパーでお腹を抑えて苦しそうな顔をしても理解してもらえないにしても、薬屋さんでお腹を抑えればきっと腹痛だと察してくれるでしょう。
足の痛み、頭痛腹痛、虫刺されなど、大きな町の病院へ行きにくいときでも、小さな村の薬屋さんに顔を出してみるとトラブルが解決されるかもしれませんよ。

アレルギーや常飲している薬があれば、薬屋さんが見てわかるように英名などのリストにしておいて提示すると良いでしょう。



・トイレについて
これはトラブルというわけではありませんが、不便を感じやすいものです。
男性は平気かもしれませんが、女性は少しの工夫の必要があります。

巡礼路は都会から遠く離れた辺境の地にあります。大きな町を通過するといっても道のりのほとんどは畑や農場の広がる田舎道です。トイレが頻繁に用意されているわけではありません。

基本的に公衆トイレはないと考えておいたほうが良いと思います。
大きな町や観光地にはありますが、それ以外は公のものはほとんどありません。
でも人の生活するところには必ずトイレがありますよね。その中で使っても良いトイレがどこなのかがわかっていると、少し安心です。

〇 利用客なら自由に使えるトイレ
・アルベルゲ
・カフェ
・レストラン
・観光地
・博物館や美術館

〇 断ると案内してくれるトイレ
・スーパーマーケット
・商店
・インフォメーションセンター

△ 意外にもトイレがない場所
・教会

これはおおまかな情報でしかありません。
実際にトイレのある教会もいくつもありましたし、トイレのないインフォメーションセンターもありました。
スーパーマーケットや商店もトイレを使わせてくれる保証はありません。


〇 主に使用するトイレ
男性はだいたい巡礼路から少し脇へ入ってすませます。
女性の場合は草陰ですます女性も少なくはありませんが、多くの女性は朝にアルベルゲですませ、昼食をカフェで食べることにしてそのときにすませ、昼すぎにアルベルゲへと入る、というパターンでした。
天気の良い巡礼路ではランチを作ってお弁当にしたい、という人もいると思います。私もそうです。そんな人もそうでない人も、カフェでトイレを借りない場合は通りかかったアルベルゲで使わせてもらうと良いでしょう。アルベルゲというのはそのようなときに巡礼者を助ける役割のものですから、真っ当なアルベルゲであれば快く使わせてもらえるはずです。

〇 急ぎのとき
男性女性にかかわらず、お腹を下してしまって急ぐこともあります。 
やむを得ないときには誰もが岩陰や草陰に行くでしょうが、そのようなときのためにもトイレットペーパーは常に持っていたほうが良いです。
トイレだけではなく、日常のあらゆるところでティッシュとして使うことができます。
ヨーロッパでは水に流せるウェットティッシュがスーパーなどで売られています。ウォシュレットがないといやだ、という人は、トイレ用ウェットティッシュを持っていると便利です。



・道に迷ったら

☆ 巡礼路の道しるべ
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黄色と青のホタテのマーク。これを私たち巡礼者は追っていきます。
「フランス人の道」では周りに数多くの巡礼者たちがいるので、そう簡単には道には迷いません。
しかし所々わかりにくいところや紛らわしいところがあるのも事実です。
もしたまたま周囲に誰もいないようなときに道から外れてしまったら、気が付くのは難しいかもしれません。
そして「あれ? サインをしばらく見ていないな」と思ったときには、戻るのも難しいくらい遠く離れているかもしれません。
「北の道」については私たちは通らなかったのでわかりませんが、「ポルトガルの道」は出会ったどの巡礼者も一度は迷った経験がありました。
ポルトガルの道はフランス人の道に比べて巡礼者の数が少ないうえ、道しるべがわかりにくい場所がたくさんあるのです。
一日中歩き回った挙句どうしようもなくなって朝出発したアルベルゲに戻ってきた女性や、見知らぬ人に車で送り届けてもらうということを二度も経験した、というような巡礼者たちと出会いました。ポルトガルの道を歩いてきた他の巡礼者たちも、私たちの出会った人はみんな一度は道に迷った経験をもっていました。
道に迷ったかな? と思ったときは勘に頼って進むよりも、来た道を戻るか、誰かに尋ねるのが得策です。せっかく歩いた道を引き返すというのは想像以上に強い意志を必要とするものですが、結局はそれが一番の近道だったりします。これは数知れないほど道に迷い続けてきたカタリが実経験から学び取ったものなので、頭の片隅にでも置いておいて損はないと思います。


・犯罪トラブル
数年前まで日本人バックパッカーの間ではスペインの首都であるマドリードという町は日本人を狙った首絞め強盗が多発する町として知られていたそうです。首絞め強盗というのは背後から大柄な男たちに首を絞められ、気絶したところを金品を奪われるというものです。一時期日本人が宿の前で狙われることが多かったそうです。
現在では首絞め強盗よりもケチャップやアイスクリームなどをひっかけて、それに対応している隙に金品を盗む手口が多いそうです。これらはバックパッカーからの噂としての情報なので、頻度についてははっきりとはわかりません。
2016年のスペインの犯罪統計では犯罪発生件数はマドリードは21パーセント、バルセロナが57パーセントだそうで、マドリードよりもバルセロナのほうが発生件数が高い状況です。
その多くは置き引きとスリだそうですが、バルセロナの場合カタルーニャの分離独立運動の動きと関連して治安が不安定になっている要素もあるのかもしれません。

カミーノはそんな都会とは遠く離れていて信心深い巡礼者たちが旅をする道で、犯罪などの話題は聞きませんでした。
でも油断するべきではありませんよね。
一日中旅をしてきてぐったり疲れていれば、ついベッドの上にお財布を置いたり、バッグを開け放してしまったりしてしまうかもしれません。
スマートフォンを使う人は充電を行うためにコンセントに挿したままキッチンへ向かったりもします。
カミーノは油断しやすい場所でもあるのです。
もし置き引きなどの被害にあったら、迷わず宿の人などに相談しましょう。そしてもし盗まれたものが戻ってこなくても諦めることのできないものは、しっかりと身に着けるか目の届くところに置いておきましょう。
被害に遭った時に宿主などに責任を求めるのは筋が通りませんし、失われたものは戻ってはこないでしょうから。


・緊急の場合
もし大きな犯罪に巻き込まれたり、交通事故にあったりしたときには迷わず周囲の人に助けを求めましょう。
緊急電話番号は「112」です。
電話がないときには周囲の人に使わせてもらうか、かけてもらいましょう。
言葉がわからなければスペイン語の話せる人にお願いしましょう。
緊急のときには形(なり)振り構わず助けを求めましょう。
きっと助けてもらえます。


「自転車旅のトラブル」

・水や食糧が手に入らない
これから海外を自転車で旅をしようと考えている人で、日本での自転車旅の経験がある人は注意です。
日本での自転車の旅には「コンビニエンスストア」「道の駅」「銭湯」といった非常に便利な施設があります。
特にコンビニエンスストアなどは、峠越えのときをのぞいてあらゆる地方や田舎にも存在します。必ずしも24時間営業ではありませんが、旅人にとって夜まで営業している必要はありませんし、一日に50km以上走れる自転車旅では一日に何度もコンビニに出会えるでしょう。つまり水と食糧を毎日のように補給するのに十分な環境が整っているのです。
日本のように恵まれた環境は、とても特殊なケースです。

☆ 村の商店
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巡礼路においては歩きの旅人が毎日水と食糧を確保できるほど商店や水道が用意されていますが、それも特殊なケースです。
国や地方によって様々ではありますが、数日間水や食糧の補給ができないようなところもあります。
例えばフィンランドの北部では、3日間走って一軒の商店しかなかったことがあります。いくら自転車といっても3日分の水と食糧を積んで走るのは大変です。幸運なことに森と湖の国では水が豊富に手に入るので(後述エキノコックス)、長い無補給路でも旅をすることができました。
地方を旅するときには次の町まで何日かかるのかを常に地図で確認し、自分の持っている食糧が何日分なのかを把握しておくことが必要です。

キリスト教の多い国ではスーパーや商店が日曜日になるといっせいに休みになる国も少なくありません。
イスラム教の多い国では断食月ラマダーン)があるので注意が必要です。



・迷い道
巡礼路では貝の印を見失って道を外れてしまうことが、多く考えられる「迷い道」です。
自転車の場合は速度があるので、道を間違えると予定とは大きく外れてしまう場合があります。
目的地をもたない風まかせの旅であれば迷い道は歓迎すべき楽しいイベントの一つなのですが、向かう先が決まっている旅路ではなるべく計画通りに進みたいというのが多くの意見でしょう。

〇 大きな町では迷いやすい
先進国の都会は自転車で旅をするのには不向きです。
一度中心に入ってしまって宿をとることさえできれば都会というのは便利なところなのですが、自転車の旅人にとっては町から出るときと町に入るときが大変苦労するところなのです。
詳細が記載された地図を持っていれば難しくはないのでしょうが、国中を旅するときに町の地図まではなかなか持たないものです。
スマートフォンGPS機能を利用した地図を使えばこの問題は解決できるものですが、迷い道も含めて地図の旅にこだわりたいという旅人は決して稀な存在ではありません。

大きな町には町の地図が設置されていることが多いので、面倒がらずに見つけたら小まめにチェックしましょう。現在地の印が付けられてる地図も多く存在します。

バス停の地図や名前を活用しましょう。バス停の地図は自転車旅には無意味なものもあれば、非常に役立つものもあります。困ったらチェックしてみると良いでしょう。

町の中心広場やインフォメーションセンターなどの道しるべが用意されている場合が多くあります。まずはそれを追って中心へ向かうと情報を得やすいでしょう。ヨーロッパなどでは町の中心は駅ではなく広場であることがほとんどで、そこに教会やインフォメーションセンターが集まります。インフォメーションセンターでは普通地図が手に入るので、そこへたどり着ければ一安心。ただし、日曜日が休みで平日は夕方5時までというところが多いので注意です。

☆ 道しるべ
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自動車専用道路にも注意が必要です。モーターウェイと呼ばれる日本の高速道路に似た自動車専用道路は様々な場所にありますが、日本の高速道路のように明確な境界や料金所のゲートがない場合もたくさんあります。
国道がいつの間にかモーターウェイになっていたり、モーターウェイを通らなければ大きく迂回して山を越えなくてはならなかったり、モーターウェイに乗らないと出入りできないという奇妙な町があったりもしました。きっとどこかに道があるのでしょうが、その町では宿の人も町の人もインフォメーションセンターの人でさえもモーターウェイ以外の出入りの手段を知りませんでした(徒歩の人は電車で出入りする)。

〇 道が分からなくなったら
もし進んでいる道が正しいのかどうか怪しくなったときには、確実にわかるところまで戻るのが得策です。
太陽やコンパスもおおまかな方向を知るのには有効ですが、現在地が分からないときに方向だけを頼りにしても正しい道を見つけるのは難しいものです。
引き返すというのは案外決断力を必要とする難しいことです。でも実際に何度となく迷ってみると、引き返すのが一番の近道であるというのは本当だと気が付きます。「急がば回れ」という言葉は真実を突いた名言だと思います。



・けがや病気
自転車旅で多いけがは(けがというのかわかりませんが)ひざや腰を傷めることです。
関節を傷めて日常生活がままならなくなると、どこか休める場所まで移動してしばらく療養することになります。
もし宿に入ることができたなら、迷惑を承知で宿の人に協力をお願いしましょう。
町から離れた場所であれば、水と食糧を計算してそれが尽きる前に移動手段を見つけましょう。
国の緊急電話番号は事前に調べるようにして、いざというときに連絡できる手段を持っていたほうが良いでしょう。
ちなみに私の保護者カタリは旅先で腰を痛めて数日間宿の部屋から出られなかったことがあります。自分の体と持病などについてよく知り、いざというときの対応策などをイメージしておくようにしましょう。

病気はさまざまなケースが考えられますが、特に注意をしたのはデング熱狂犬病エキノコックスなどの動物を媒介とした病気でした。
デング熱は蚊に刺されることで感染します。高熱が出て、とても苦しいそうです。一過性のものなので、療養すれば治ります。
狂犬病は犬などに咬まれるなどして感染します。自転車で走っているときや野宿をしているときに犬に追いかけられたり咬まれそうになることは度々ありました。感染すると死んでしまう病気なので、飼い犬に予防接種義務のない国に行くときなどは、予防注射を受けておいたほうが良いでしょう。
エキノコックスは主に北国で感染する病気で、キツネがいる地方の生水を飲むことで感染します。日本でも北海道のキタキツネが媒介となるので、池や湖の水をそのまま飲むのは危険です。
前述したフィンランドのように水を飲む必要のある場所では、煮沸するようにします。

もし常用している薬があったり持病がある場合には、薬や病気の英名を調べておき、薬局や病院でわかるようにしておくと良いでしょう。



・宿がない
自転車の旅では宿が見つからないということはよくあります。テントを持たずに野宿のできる気候と治安の国は限られています。長い旅を予定しているなら、テントは必要となるでしょう。

テントを張る場所は必ずしも人目に付かないところが安全というわけではありません。その国の治安、危険な場所、危険な行為はそれぞれ違うので、常に情報を集めることが大切です。
公園や民家の近くだと追い出される可能性が高くなります。廃墟や町外れは犯罪に巻き込まれる可能性が高いです。森では動物に注意し、山火事を起こさないように気を付けましょう。
可能な限りキャンプ場や宿を利用することをお勧めしますが、野宿には大きなロマンと魅力があるということもお伝えしたいというのが本心です。

ぼったくり宿というものがあります。交渉時に値段を釣り上げてくるものもありますが、これはその額に納得するかどうかで決めることができます。でも泊まった後に「実は追加料金がある」といってくる宿には毅然とした態度をとるようにしましょう。ときには厄介ごとを避けるために譲歩する柔軟さも必要ではありますが。



・交通ルールと事故
交通のルールは国によって異なります。自転車は軽車両なので車を運転していることになります。
事故を起こさないためにもいくつか注意しておきたい点があります。

〇 交通ルールを知る
イギリスの交通ルールを参考にして作られた日本の規則では車は左側通行です。これはイギリスの植民地であったオーストラリアやニュージーランドでも同じです。
他のヨーロッパの国々やアメリカでは車は右側通行で、巡礼路のあるスペインもまた車は右側通行です。

自転車で旅をするときに知っていたほうが良いのは、ロンドと標識です。
標識は国によって少しずつ違うので、新しい国に入ったら「自転車進入禁止」と「自動車専用道」の標識は覚えるようにしましょう。
またトラム(路面電車)や路線バスは自転車よりも優先される場合が多いので、トラムの線路やバス車線にはあまり入らないほうが得策です。

〇 ロンド
ロンドというのは実用的な呼称で、正しくは Roundabout ラウンドアバウトです。
交差点の一つですが環状になっていて日本ではあまり見かけません。ロータリーともいいますが、日本の駅前ロータリーのようなものとは違います。

ロンドに差しかかると車はこの環状の道を回り、目的の道に向かって出ていきます。右側通行の国では反時計回りに回ります。
環状の道路は1車線とは限らず、3車線や4車線もあるロンドもあります。

このロンドはとてもよくできた交差路ではありますが、慣れない者にとっては危険の多い場所でもあります。
ロンドは環状道路を走っている車が優先されるので、円の中の車は遠慮せずに速度を上げてきます。円の中の車が優先であると知らずに入るととても危険です。入るときには安全なタイミングが来るまでゆっくりと待ちましょう。
反時計回りの環状道路では右側(外側)に寄っていると右折して円から出るものだと見なされます。遠慮して外側をゆっくり走行していると、右折するものだと思われて左後方から来た車が突っ込んでくることがあります。これを知らないと無理に目の前に割り込まれたような形となり、(あるいは左側面からぶつけられて)事故を招きます。
右折をしない場合には中の車線へ入るか、左腕を左下方へ伸ばして、「前に出ないで」という意思表示をするようにしましょう。

〇 ヘルメット
オーストラリアやニュージーランドでは自転車のヘルメット着用は義務です。
ヨーロッパでは義務ではありませんが、自転車に乗る多くの人が着用しています。
ヘルメットを被っていれば事故に遭ったときに命を守れる可能性がずっと高くなるので、着用することをお勧めします。

〇 事故に遭ったら
十分に気を付けていても事故に遭ってしまうときには遭ってしまいます。
そんなときには迷わず警察や救急に連絡をするようにしましょう。
国の緊急電話番号は事前に知っておくようにしましょう。スペインの緊急電話番号は「112」です。



・パンクと故障
自転車の旅では自分自身の体調と同じくらい、自転車の体調も大切です。
自転車が走れなくなってしまうと、旅を続けてはいけなくなってしまいます。

〇 パンク
パンクは必ずすると思っていたほうが良いでしょう。
バラの多いブルガリアでは毎日のようにパンクをしました。
パンク修理キットは常に旅の装備として積んでおきます。パッチやのりがなくなったときには、自転車屋さんだけではなく衣料品なども売っているような大きなスーパーマーケットでも買うことができます。
パンク修理の経験の浅い人は、何度か練習をしてから旅立つと安心して出発できます。
空気入れを忘れないようにしましょう。

〇 タイヤ交換
タイヤは3000kmくらいですり減ってきます。特に荷物の重い後輪は消耗が早いです。消耗したままのタイヤで走り続けていると、小さな小石を踏んだだけでもパンクをするようになります。
タイヤは自転車屋さんで買うことができます。昔ながらの大きな市場で買えたりもしますが、径が700Cのサイズなどは見つけるのに苦労しました。

☆ タイヤの交換
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〇 ワイヤとアウタ
ブレーキワイヤとシフトワイヤは切れることがあります。またアウタが割れてしまってもワイヤが切れたのと同様に使えなくなってしまいます。
できれば予備のワイヤとアウタを用意しておきたいものです。
ワイヤもアウタも新しく購入したままだとカットの必要があります。旅先でカットするのはなかなか大変なので、予備を持つのであればサイズを合わせてセットを作っておくと良いと思います。すでにセットになって売っているものを購入しても良いですね。
ちなみにワイヤもアウタもブレーキとシフトで太さが異なります。ブレーキのほうが太く作られています。なのでいざというときにはブレーキアウタをシフトアウタとして流用することと、シフトワイヤをブレーキワイヤとして流用することは可能です。しかし強度がなくなり危険なので、新しいものを手に入れるまでの仮のものとしましょう。また根元のタイコの大きさが異なるので、必ずしもシフトワイヤをブレーキワイヤとしてそのまま使えるとは限りません。いざというときの流用を考えている人は、一度試しておくようにしましょう。

〇 ベアリング・ボトムブラケット
前後輪のハブやボトムブラケットにはベアリングが使われています。ハブのベアリング部は日常のメンテナンスでグリスアップすることができますが、なかなか慎重な作業ですので旅先での作業には向きません。前後輪のハブは砂浜などで砂が入るとベアリングボールに傷がつきやすくなります。砂が入ったときの応急処置としてはオイルで洗い流すと砂が出ることもありますが、グリスも減るのであくまで応急処置です。
ベアリングが壊れてしまったら自転車屋さんで交換するしかないと思います。もし自分で修理をするとしたら、ハブの場合はベアリングだけ交換するか(旅先でベアリングだけ入手するのは困難です)ハブを交換するためにスポークを組み直す必要があります。
ボトムブラケットであれば、クランク抜き工具とBB抜き工具、それとBB抜きに合ったレンチも必要です。荷物の量を考えれば、修理用工具を持っていくのは実用的ではありません。

ハブもBB(ボトムブラケット)も、故障したら自転車屋さんで交換してもらうのが得策です。
ハブの故障の場合は完組みホイールごとの交換なら比較的容易にやってもらえます。ハブだけというのは自転車屋さんによります。
BBは大きな自転車屋さんで断られることもあれば、小さくても在庫のあるところもあります。
自転車屋さんとの出会いも自転車旅の面白さの一つです。

☆ BB(ボトムブラケット
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〇 ホイール
ブレーキを頻繁に使っていると、ホイールのリムが割れる場合があります。そうすると割れた部分がチューブに当たり、いくら修理してもすぐにパンクしてしまいます。こうなったらホイールを替えるしかありません。応急処置として、パンフレットなどのしっかりした紙を何重かにしてチューブとリムの間に長めにあてがい、タイヤで抑え込んでしまうと(文章だとわかりにくいですよね)しばらく走ることができます。チューブを固い紙で覆うようなイメージです。そのときには破損したホイール側のブレーキは使わないようにしましょう。

〇 チェーン・スプロケットカセット
チェーンとスプロケットカセットは消耗品です。砂の多い場所などを旅すると、あっという間に伸びてコマが変わってしまいます。チェーンが伸びると坂道などの負荷がかかるところで歯飛びするようになってしまいます。
チェーンカッターを用意しておけばチェーンのコマ数を減らしたり、チェーンが切れたときにつなげることができます。
でもチェーンとスプロケットカセットは間隔が変わってしまうとチェーンだけ交換しても歯飛びがなくならないばかりか激しくなることもあります。両方一緒に変えるのが一番です。
チェーンはチェーンカッターで交換することができますが、スプロケットカセットはスプロケット外しの工具と、ギアを固定するチェーンの付いた工具が必要です。それらも実際の旅を考えたら、よほど自転車屋さんのない辺境の地ばかり旅をするのでなければ持ち運ばずに自転車屋さんに交換してもらうべきでしょう。
こちらはBBよりも汎用性の高いパーツなので、大抵の自転車屋さんで交換してもらえると思います。その国の物価にもよりますが、2000円~4000円くらいが工賃込みの交換料金の相場だと思います。

☆ 新しいチェーンとスプロケットカセット
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〇 その他のパーツ
他にもクランクやペダルなど故障する可能性のある個所はありますが、意外とないと困るのがスタンドです。
スタンドも一日に何度も使用し、荷物と自転車の重みを支える故障しやすいパーツです。
センタースタンドが安定する場合もありますが地形の悪い所ではサイドスタンドのほうが融通が利くので、どちらを使うかは好き好きです。
スタンドが壊れてしまうとかなり不便なので、もし不調を感じたら壊れる前に交換してしまったほうがよいと思います。

ブレーキシューはある程度減ってきたら小まめに交換しましょう。町の自転車屋さんや大きなスーパーマーケットなどでも買えます。
私たちは予備品入れに交換用のブレーキシューを一組入れています。


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「マリア様の命日のお祭り やっとヘリットおじいさんに追いつく」

  カミーノ 5日目  (ここからは日記です)

☆ Ocaからブルゴスを経てHornillos de Camino
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Luna f:id:miraluna:20180124123441j:plain:w50
昨夜泊まったホテル併設のアルベルゲでスロヴェニア出身の二人組とお話をしました。二人も自転車での旅で、荷物を積み込みながらのおしゃべりです。一人は日本好きで、ふくらはぎに「柔術」のタトゥーが入っていました。

私たちは二人の後から出発。道はすぐに登り坂になったので、彼らの姿が見えました。お互いに抜きつ抜かれつおしゃべりをしながら登っていきました。
山頂付近ではイタリアパーティのマッティアたちに出会ったのですが、なんと仲間がまた一人増えていて、三人パーティになっていました。

☆ 爽快に山を下る
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山を下ると San Juan de Ortega という修道院のある村への別れ道がありました。片道4kmなので迷ったけれど行ってみることにしました。

小さな村を抜けて山の中の道を走ります。散弾銃を持って狩りをしている人たちがいたので、流れ弾が飛んできたりしないかちょっと怖かったです。

☆ San Juan de Ortega の修道院
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修道院へ着くと同じ宿だった女性や自転車旅のおじいさんたちと出会いました。修道院にはアルベルゲはありましたが、スタンプは見つかりませんでした。
この修道院は聖ドミンゴの弟子だった聖オルテガが建てたもので、巡礼者の治療院でもあったようです。彼もまた聖ドミンゴの意志を継いで橋や道を修理した人だそうです。

☆ 教会の中にあるお墓
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朝のお祈りをすませてから、もと来た道を戻ります。
そして再び巡礼路を西へ。

たどり着いたブルゴスの町はとても大きな町でした。でもお店はどこもかしこも閉まっていて、町の中に人々の姿が少なく、まるでゴーストタウンのような雰囲気でした。
この日は火曜日。日曜日というわけでもないのに、どうしたのでしょう。

教会でミサが開かれていたので入ってみました。入口の広場には数人の物乞いの人たちがいて、いくらかのお金を渡すと大いに歓迎してくれて祝福のキスまでしてくれました。

ここから町を出ることになるのかなと思っていると、アーチの向こうに人通りの多い道が見えます。路地を抜けてアーチをくぐると、そこはすごい賑わい。通りの向こうには大きく開けた広場があります。
行ってみるとそこには大きくて立派な大聖堂が建っていました。
さっきまでのがらんとした町が嘘のよう。人々はこの広場に集まっていたようです。

☆ ブルゴスの大聖堂広場は大賑わい
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まるでお祭りのような賑わいの中、朝一緒だったスロヴェニアの二人、オルテガ修道院で出会った自転車旅のおじいさんたち、マッティアたちのパーティに出会いました。みんな集まって来たのね。
すると大聖堂の鐘楼から大きな鐘の音が響き渡りました。大きな音で、写真を撮る人、指を差して話をする人、動画を撮影する人、みんな喜んでいるようでした。
鐘の音はずいぶん長い時間響き渡りました。どうやら今日は特別な日のようです。

そこへなんと、あのヘリットおじいさんが私たちの前に現れました。
ヘリットとは8日前にムステーという村で同じジトゥ(フランスのアルベルゲにあたるものです)に泊まってから、何度も顔を合わせてきた旅の仲間です。リタイヤするまではオルガン奏者で、教会のパイプオルガンについて(特にスペインの水平パイプの美しさについて)たくさんのお話を聞かせてもらっていました。
ヘリットはここまでの道でもここブルゴスでもパイプオルガンを演奏できないか教会に交渉を続けてきたけれど、まだ叶っていないと言っていました。
それから彼は今日がマリア様の命日だと信じられている日で、キリスト教の多い国などでは世界的に休日なんだ、ここスペインでももちろんそうだ、と教えてくれました。
「今日は大聖堂が解放されているから誰でも自由に入っていいんだ」ということも教えてくれました。

私たちは再会を喜び、しばらくお話をしてから、ヘリットおじいさんは食事をしに、私とカタリは大聖堂へと行くことにしました。
ヘリットとはその後連絡を取り合いましたが、直接会ったのはこれが最後でした。

☆ ヘリットおじいさんと再会
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ブルゴスの町の祭日をたっぷりと楽しむと、私たちはまた旅を続けました。



☆ 教会の上にはコウノトリの巣が
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Tardajosという町を過ぎると自転車の巡礼路は歩きの巡礼路から遠ざかっていき、商店もアルベルゲもないような道のりになってきました。

その日は夕方が迫っていて食料もわずかだったので、私たちは畑の細道を突っ切って歩きの巡礼路を目指すことにしました。
南へ向かって数km、畑の道を走ります。途中で小さな村を通り、再び畑の中を走ります。道はデコボコでしたが、走りにくくはなかったです。しばらく行くと遠くの畑の中にぽつんと歩く人影が見えました。巡礼者です。

私たちはその巡礼者の歩く巡礼路へと無事にたどり着き、次のアルベルゲのある村まで行きました。

Hornillos de Camino という村で、一本道の両側に数十件の家が並んでいるだけの小さな村ですが、前後10kmにアルベルゲはなく、多くの巡礼者が滞在していました。

私たちも今夜はこの村に泊まることにしました。

☆ 村の広場   泉の上には聖ドミンゴのにわとりが
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村の広場まで行くと教会があり、今夜お世話になるのであいさつのお祈りをしました。するとそのすぐ目の前にアルベルゲがあり、かつて巡礼の旅で足を悪くした管理人の人がスタンプを押してくれました。
このアルベルゲは6€でした。

村に一軒の商店(このページの上のほうに出てきた写真の商店がそうです)へ買い物に行くと、若い巡礼者たちがコンビニの前にたむろするようにたくさん休憩していました。ビールやお菓子を買っては店の前で食べています。きっとたくさん歩いたご褒美なのでしょう。
私たちもパンと缶詰などを買いました。今夜はわずかな食料で野宿になるかもしれないと思っていたので、今日もこうしてベッドとパンを与えてもらえるのはとてもありがたいことで、感謝の気持ちをもたずにはいられません。

宿に帰ってシャワーを浴びて洗濯をしました。
巡礼宿には服を手洗いできるように洗い場が設けられています。
一緒に洗濯をしていた女性はポーランドの人でした。カタリは昔ポーランドの老夫婦にお世話になったことがあるので、「ジンドブレ(こんにちは)」や「ジンクィエ(ありがとう)」などの言葉を言って仲良くなりました(カタリは他のポーランド語は話せません)。

☆ Hornillos のアルベルゲ  左の建物が教会です
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この後アルベルゲに面白い旅人が来ました。
彼はオランダからヒッチハイクでカミーノ(巡礼路)に来た人で、名前はジェラーニといいます。彼はアルベルゲに泊まるわけでもなく、スペインのギター曲を聴いてリラックスしていました。
カタリはこういう自由な人とすぐに仲良くなるので、打ち解けた二人はずいぶんと楽しそうに騒いでいました。
私とポーランドの女性がアルベルゲに泊まるように言うと、「俺は自由な男だから」と言ってテントを見せました。かと思うと他の巡礼者たちに誘われてキッチンでご馳走を食べてくつろいでいます(実は私たちもいただきました)。
夜になるとちょっと淋しそうな表情で別れを告げ、ポーランドの奥さんに野宿のできそうな草地を見つけてもらってテントを張りに行きました。
強がっていながら世話を焼いてもらうあたりがなんだかかわいかったです。

☆ 楽しそうにはしゃぐ ”自由な”ジェラーニ
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次の日私たちがテントのあった場所へ行ってみると、ジェラーニのテントはもうありませんでした。きっと朝早くに次の自由を求めて出発したのでしょう。


明日の日記


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