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旅乙女と発明娘の子供部屋

Camino 自転車旅 8日目「ガウディのお城から山中の村へ これこそ Camino de Santiagoの宿」

サン=ジャン=ピエ=ド=ポーからサンチアゴ=デ=コンポステーラまでの巡礼路を自転車で旅しました。

                   文:Luna     助言・あーせい校正:Katari
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☆ Camino de Santiago 巡礼路
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「ガウディのお城から山中の村へ これこそ Camino de Santiago の宿」

  カミーノ 8日目

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☆ レオンからラバナルへ
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☆ レオンの大聖堂
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レオンの町を朝早く出発します。
昨夜巡礼者の夕べに一緒に参加し、温かい言葉を交わし合ったフランス人青年二人と旅の支度をします。
カミーノでは同じ道を行く者同士パーティを組んだり解散したり、再び出会ったり、また別れたり。
夕べには共に祈り語り合った仲間も、また朝にはそれぞれのやり方で旅立ちます。
「また会おう! Buen Camino!」と手を振ってお互いの旅の無事を祈り合いました。

☆ 朝早くに出発
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☆ 町の広場で天を仰ぐ巡礼者
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私はチョコレートが大好きです。
特に旅の途中で食べるチョコレートが好き。
日本の板チョコが50gなのに対し、フランスやスペインでは200gで板チョコが売られています。80セントくらいで。
カタリは大人だからお酒が飲めるけれど、私は代わりにチョコレートやグミを買ってもらいます。

休憩のときにカタリのリヤキャリアに積んでいる食糧袋から取り出して食べるんだけど、ついぱくぱく食べてしまうのであっという間になくなるの。
今回の旅で 2kgくらいのチョコレートを食べたことでしょう。
あら。大変。


☆ Astorgaの町
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午前中はN120という道をひたすら真っすぐに走りました。
私たちが途中で休憩をしていると、一昨日同じ修道院に泊まった自転車の親子が追い越していきました。
巡礼者たちはこんなとき「ブエン カミーノ!」と声をかけ合います。
「良い道を」という意味の言葉です。お互いの旅の安全を祈願し合う素敵な言葉ですよね。
でも一日に5回も6回も同じ旅人と出会うと「私たちいったい何回『Buen Camino』と言い合ったのかしらね」と笑い話になります。

☆ アストルガの町の大聖堂とお城
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左は町の大聖堂です。
奥にあるので小さく見えるけれど、とっても大きいです。
右にあるのは建築家ガウディが設計したお城です。「Palacio」なのでお城ではなく宮殿なのかもしれません。

まるでシンデレラ城みたいでかわいらしいですね。入口や窓も素敵です。

アストルガの町の小さな公園でお昼ご飯を食べました。
公園のベンチはおじいさんたちでいっぱい!
どうやら毎日座る決まった席があるみたい。私たち、目の前をうろうろと行ったり来たりするおじいさんのベンチに座っちゃったのかしら。


☆ 中世の街並
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アストルガの町を出発してすぐのところを巡礼路から外れると「Castrillo de los Polvazares」という町があります。
私たちはたまたま道を外れてしまい、この町に入りました。
特別な町のようで、地元の観光客のような人々も町へと入っていきます。
入口の看板には昔の巡礼路の要所だったようなことが書かれています。

町へと一歩足を踏み入れると、そこは中世の街並み。足元はアスファルトではなく石畳で、家々も石積みの壁で造られています。
赤茶けたスペインの土地の色をしていて、まるで往時の町にタイムスリップしてしまったかのよう。
今でも町には人々が暮らしています。

☆ 赤土の町
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小さなレストランもあって素敵な雰囲気。
ここはいったいどんな歴史のある町なのかしら。
興味がわきます。

☆ 小道もかわいい
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家の間の小さな小道を行くと、緑の谷の上に出ました。谷間の緑の中には川がさらさらと流れています。向こうには馬たちがいて、この小道まで馬の道が続いています。きっとこの小道を馬が通るのでしょうね。


道はここから山道になります。少し自転車が重いかなと思っていると、実はぐんぐん登っていました。
地図を見ると、この辺りは金の鉱山に囲まれています。
さっきの町は鉱山と関係のある町だったのでしょうか。


やがて私たちは「Rabanal del Camino」という山の中の村に到着します。
山の中の小さな村なのですが、アルベルゲがたくさんあります。
それは明日の行程がカミーノで最も標高の高い地点を越えるからでしょう。
なんとあのピレネー山脈を越えたときよりも高いんですよ。

明日の山越えに備えて村にはたくさんの巡礼者たちが集い、休んでいました。

☆ ラバナルの村のアルベルゲ
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アルベルゲはすぐに見つかりました。
見つかったのですが、あまりにもいくつものアルベルゲがあったので、選び放題で迷ってしまうほどでした。
私たちはいつもするように、まずは到着した村の教会へあいさつの意味をこめてお祈りに行きました。
お祈りがすむと目の前にアルベルゲがあったので、門をくぐってみました。木々に囲まれた、美しいアルベルゲです。

受付のところには穏やかで素敵なおじいさんが女性と一緒に座っていて、私たちを歓迎してくれました。
受付ではダニについての注意を受けました。巡礼路で誰もが悩まされる厄介な問題です。

私たちはこのアルベルゲに泊まることができて本当に良かったです。
このアルベルゲではたくさんの素晴らしい出会いがありました。奥さんを亡くし、途方に暮れて旅に出た男性、メキシコからやって来た信心深い夫婦、アイルランドから来た青年、恋人同士のキリアンとエラ、カタリとハイタッチしてはしゃいでいたジャック、歌の上手なお姉さん、(次の日に知ることになるのですが)息子さんを亡くして遺品と共に旅をしている女性(彼女は次の日に通るCruz de Ferroという場所で涙を流していました)、大きな自転車に乗ったギター弾きのおじいさん、自転車旅の親子。それから宿のおじいさんと二人の女性。
これこそ巡礼の宿アルベルゲ。と思わせるような、多くの温かい出会いのある場所でした。

☆ アルベルゲの庭で洗濯を
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さて、このアルベルゲでは 16時30分になるとティーパーティが催されます。参加は自由で、私たちも同席しました。
パーティではお茶やケーキがふるまわれ、みんなでおしゃべりをします。
みんながそれぞれ打ち解けてにぎやかになり始めた頃、宿のおじいさんが音頭を取り、ドイツ人のお姉さんとギターを弾きながら歌を歌いました。それからそれぞれの国の歌を歌おうということになり、順番に自分の国の歌を披露しました。私たちも「上を向いて歩こう」を歌いましたよ。
テーブルの上のケーキや紅茶がなくなり始めた頃、とてもにぎやかなおじいさんが大きな自転車とギターを抱えて入ってきました。宿のおじいさんと知り合いのようで、その場はさらににぎやかな笑い声や歓迎の言葉に包まれました。
大きな自転車のおじいさんはたくさん冗談を言ってその場のみんなをいっぱい笑わせたあと、ギターを取り出して歌を披露してくれました。
ティーパーティはとても愉快でにぎやかな会になりました。

☆ アルベルゲの中庭
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道の反対側にある2軒のアルベルゲにはレストランとバルが併設されていて、夜に飲食を楽しんだり騒いだりしたい巡礼者はそちらを、人と出会ったり静かに祈りたい巡礼者はこちらの教会前のアルベルゲを選ぶ傾向があるように感じました。
巡礼路もこの辺りになると、巡礼者たちはいくつかのタイプに分かれ、その性格に合った宿を選ぶようになってきます。
この村はそれが顕著なようでした。

私たちのアルベルゲのみんなはすっかり仲良くなって、夜のミサと終日の祈りに一緒に参加しました。
これらの「巡礼者の夕べ」には村中のアルベルゲから巡礼者たちが集まってきます。
教会は私たちのアルベルゲの目の前にあるので、たくさんの人々がやってきてにぎわいました。

巡礼者たちの終日の祈りが終わると司祭さんたちが帰り、巡礼者たちもそれぞれの宿へと帰っていきました。
明日は山越え。私たちもみんなと同じように、すぐにベッドにもぐりこんで眠りに就きました。


明日の日記