Luna
春がきました。
花が咲いて、虫たちが元気に飛び回っています。
鳥が歌い、蝶が舞います。
心に花が開かないままでいる人にも、世間の幸福感がかえって疎ましく感じられてしまう状況に苦しんでいる人にも、春は同じようにきています。
もしそれを感じられさえすれば。
苦しいことと悲しいことで世界が溢れているとしても、戦争も飢餓もない場所で生活できることがどれほどありがたいことでしょう。
自分のためだけに生きようとすれば、現身(うつしみ)である私たちの心はたちまち痛みや辛さばかりが目につくようになるでしょう。
それはとても苦しい状況です。
でももし誰かのために身を呈して生きられれば、きっと心は気丈で朗らかなものへと変わり始めることができるでしょう。
そのとき、御魂の殖ゆ(冬)に春がくるのだと、私は思います。
まだ心が冬の中に閉ざされている人にも、どうか春の温かさが訪れますように。