Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

雨と迷子を乗り越えて  素敵な港町ラ・ロシェルはお祭りのようなにぎわい

フランスを自転車で旅します。f:id:miraluna:20200521165617j:plain:w220 現在地

<11日目>

Luna

雨と迷子で苦しみます。辿り着いたのは大きな港町 La Rochelle。金曜日の夜はたくさんの人でおおにぎわい。港のキャンプ場に宿をとり、ラ・ロシェルの町を歩きます。

☆ アヴリル北の森からラ・ロシェルの港町へ
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お菓子のような名前の町をいくつも越えて、夏のバカンスを楽しむリゾート地から森と畑の土地へとやってきた私とカタリ。この日はリュソン(Luçon)という町を経て、大きな港町ラ・ロシェルまで旅を続けます。


☆ 古い石橋
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アヴリルの町の北の森にある牧草地で私たちは目を覚ましました。
昨晩は鹿のような足音の生き物がテントの周りをうろうろしていたみたいだけれど、ぐっすり眠れました。

空は曇り空。涼しくて気持ちがいい。

一度アヴリルの町へ出て、公園の水道で顔を洗います。
まだ朝早いので教会は開いていないでしょう。遠くから小さくお礼を言って出発します。お世話になりました。

☆ リュソンへ続く道
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アヴリルの隣町で小さな教会に入りました。まだ閉まっていたのですが、中から物音が聞こえたのでノックをすると掃除中の神父さんが開けてくれました。
昨日の寝床と食事に感謝して、今日の旅の安全と家族と友人の幸福を祈ります。


その町からリュソン(私たちは町の名前の読み方がわからなかったので、そのときは「ルコンの町」と呼んでいました)の町まではまっすぐな道のりです。

迷うことなくずんずんと進みました。


☆ リュソンのメインストリート
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リュソンの町には商店の並ぶ通りがあって、インフォメーションセンターがあって、大きな大聖堂がありました。
この辺りでは大きな町です。アイスクリームも売っています

☆ リュソンの大きな大聖堂
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☆ 大聖堂に併設する修道院へと続く回廊
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インフォメーションセンターへ行くと自転車旅の老夫婦がセンターのお姉さんと楽しく写真を撮っているところでした。
ちょうどそこへやってきた私たちも自転車旅の姿だったので「入って入って!」とお姉さんに誘われて一緒に写真を撮りました。

老夫婦をにぎやかに見送ったお姉さんは私たちにも道を教えてくれ、明るく見送ってくれました。
このときまでは、天気も良かったの。


☆ リュソンの町を出発
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リュソンの町の周辺は、のどかな畑の広がる土地。
広い土地を曲がりくねって走る、小さな田舎道を南へと下ります。

小さな村を過ぎて、まだお昼前の時間。珍しくカタリがお昼休憩を早くとろうと言いました。この先しばらく食べられないかもしれないと言うのです。
そのときはどういうことかしら? と思ったのだけれど、ほんと、その通りでした。

 ↓ ラズベリーの茂みの側でお昼ご飯。ラズベリーは食べ放題です!
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まだ早い時間だったので、お昼ご飯を半分だけ食べて「さあ、出発!」というときに雨が降り始めました。レインウェアを着て、荷物を雨装備に換えます。

カタリがお昼休憩を早めた訳が、実感を伴ってはっきりと分かりました。
辺りには運河と道路と畑しかなく、雨宿りできるような木陰さえありません。雨はどんどん強まってきて、荷物を広げて休憩などできない状況になりました。

カタリはこうなることを計算して、お昼休憩を早めたのです。
すごいな。しばらく雨宿りできる場所がないということも考慮にいれて、しかもラズベリーの茂みの側で休憩をするなんて。
でもどうしてカタリはいつも雨がくるタイミングが分かるのかしら?
訊いてみたけれど「旅をしているうちに身に付いたんだ。空の色と、風の匂いと湿り気でなんとなく分かる」という答えで、結局どうして分かるのか、私には分かりませんでした。



昼下がりまで雨の中を黙々と走ります。
雨の自転車旅というのは楽ではありません。雨装備にしていても少しずつ水が入ってきて、じきに靴もシャツも濡れていきます。手の皮がふやけ、体力が奪われます。雨に濡れた日はなるべく野宿をしたくはありません。それでも宿がなく野宿の必要がある日だってあります。
どんよりとした灰色の雲に覆われた空を眺めながら、私たちは黙って走り続けました。

道が分岐しているところに公園のような休憩所を見つけました。アスレチックのような見晴らし台があり、雨宿りができます。
私たちは見晴らし台の下に自転車を入れて、しばしの休憩をとりました。半分残したお昼ご飯もそこで食べました。食べられるときに食べておく必要がありますからね。道はここからラ・ロシェルの郊外へと入っていきます。



☆ ラ・ロシェルの港
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本当はあと30kmくらい南の町まで行こうと考えていたのですが、雨が強かったのでラ・ロシェルの町に泊まることに決めました。
アイルランドユースホステル(ポントルソンにあるロロの宿だったかしら?)で手に入れた「フランス版ユースホステル地図」によれば、この町には国際ユースホステル(ホステリング・インターナショナル(通称「Hi!」))があるはずです。フランスでは泊まりやすい安宿があまりないので、Hi!があると助かります。

まずは観光インフォメーションセンターの標識を追って、町の中心を目指します。

☆ ヨットハーバーや水族館のある港地区
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大きな町。
町の郊外から中心までずいぶんと距離があったわ。
インフォメーションセンターは町の港地区(横浜のみなとみらい地区のような地区)にありました。
水族館とヨットハーバーがあり、公園に接したレストラン街もあります。港の入口にはお城のような中世の建造物が門のように建っています。
素敵な町。

☆ 港町 La・Rochelle(ラ・ロシェル
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インフォメーションセンターで地図をもらって宿の場所を聞きます。
早速向かったのですが、どうしても道に迷ってしまい、宿が見つかりません。地図があるときに迷子になることはあまりないのですが、このときはすっかり迷ってしまってぐるぐるぐるぐるぐるぐる。2時間近くも迷いました。
ようやくHi!ユースホステルを見つけたときにはすっかり雨も上がって、青空が見え始めていました。

☆ 雨が上がって人々が町に繰り出す
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雨は上がっていたけれど、私たちは荷物も下着も濡れています。期待をもって宿へ。
……でも、部屋はほぼ満室で空きがありませんでした。
あったかいシャワーを期待していたのですが……がっかり。
宿のお兄さんが「一人42.1€の部屋ならなんとか用意できるよ」と言ってくれましたが、私たちはその申し出を断りました。
宿へ来る直前に、港の森にキャンプ場を見つけていたからです。

キャンプ場へ行くと生真面目そうな若いお兄さんが対応してくれたのですが、残念なことに渋い表情で「もう自転車用の場所はないよ」とのこと。
どうしよう。
田舎なら野宿もできるけれど、町中では野宿はできません。町から出るとしても、ラ・ロシェルの町は大きいので出るだけでも大変な時間がかかります。
そこでカタリが交渉にかかってくれました。キャンプ場なんだから隅っこにでもテントを張らせてくれないか?って。
するとお兄さんは「車用の場所が一か所あるけど、車用は高いよ」と言いました。カタリが値段を訊くと「一人10.7€(私は9.3€)」だそうです。 あれ? 外の看板に書かれていた額だ。高くないわ。
後でわかったことなのですが、自転車用は一人 6.2€(私は3.9€)だったようです。もともと10.7€のつもりでいたので、何の問題もありません。良かった。


☆ お祭りのような港町。空中に浮いている人もいました。
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キャンプ場は人が多く出入りする都会にあるので野宿よりも汚れてはいましたが、なんといってもここにはシャワーがあります。
シャワーはただの穴から勢いよく熱いお湯が噴き出すだけの簡素なものでしたが、雨に濡れて冷えた体には本当に気持ちが良かったです。
今日はシャワーを浴びることができて、本当にうれしい。

今夜はテントでのんびりしようと話していましたが、さっき見かけた港町の様子があまりに素敵で二人とも居ても立ってもいられなくなってきました。夜といってもまだ数時間は明るいし、港のキャンプ場からにぎやかな中心街までは自転車ですぐなので、ラ・ロシェルの港町を見に行くことにしました。
港の森からお出かけです。

☆ 港から市街へと入る入口
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雨が上がって港も街もたくさんの人でにぎわっていました。

まるでお祭りみたい!

港の周りには屋外やテラスにテーブルを出したオープンレストランが並び、ソーセージや魚介類を店先で焼いています。人々はビールやワインを片手におしゃべり。

カフェの並ぶ大通りには大道芸人や風船売りが人の輪を作っていて、その横には小さなメリーゴーランドに子どもたちが列を作っています。

物語に出てくるような、フランスのにぎやかで素敵な港町!


☆ 市街と港を結ぶ通り
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にぎやかな場所では自転車を押して歩いて回ったのですが、もちろん乗って移動することもできるので町のあちらこちらへ移動しながら見て回りました。

まずは旧市街地の中央広場と思われる場所へ。大聖堂へ行き、挨拶とお祈りをしました。
公園やお城を見て回り、石畳の古い町並みを歩きました。
きっとここは歴史のある大きな町なのでしょう。昔も今も、ずっと活気に満ちて人々がにぎやかに行き交っていたのに違いないわ。

新鮮な魚介類を出すレストランの並ぶ通りは、開店前の静けさと慌ただしさの両方が感じられた。きっとこれから大勢の人でいっぱいになるのね。

☆ ディナータイムに備えてレストラン通りは開店準備中
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市街の奥に入るとこの土地の人々が長い年月の間暮らしてきた日々の中で生まれた生活感や息遣いを感じます。中世の頃から現在まで脈々と息づいてきた日々の生活。人が町で生活する、という何気ないことだけでも、時間と文化がロマンを生むのだと思いました。

☆ 街の奥
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お祭りのようなにぎやかな街を楽しんで、港の森の我が家へと帰ってきました。
町はまだまだ活気にあふれています。
キャンプ場ではリルという町(別の旅で訪れたことのある町)出身のお兄さんとしばらくおしゃべりをしてから、もう一度シャワーを浴びて(だって本当に気持ち良かったんだもん)、テントにもぐりこみました。
雨と迷子に苦しんで、宿のない不安もあったけれど、素敵な港町を見て回ることができて温かいシャワーを浴びて、今はこうして柔らかいシュラフにくるまって眠ることができます。
そんな旅の一日でした。
おやすみなさい、いい夢を。

☆ 港町ラ・ロシェル
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               ☆明日へつづく

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