Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

山上のアラセナの町からセビリアの先へ。川を渡してもらって野宿をしました。

アンダルシア地方編ヨーロッパ自転車旅

                  🌈今日の旅路🌞
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アンダルシア地方「2日目
山と森の土地から砂漠と海の土地へと下ります。
山上のお城と洞窟の町アラセナから、アンダルシア州都の港湾都市セビリア(セビーリャ)の先まで。

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🌼 昨夜はお祭りでした

昨日の夜のお話をしますね。
陽が沈んで、私たちは宿の部屋で日記を書いたりしながらくつろいでいました。すると町のどこかで号砲をどんどんと鳴らす音が聞こえてきます。何かしらねと話していたら、町がざわざわと賑わい始めました。私たちの泊まっていた宿屋さんは町の中心にあり、部屋の窓はメイン通りから一本入った道に面していたので、人々が部屋のすぐ横をぞろぞろと歩いているのが分かります。私たちは好奇心に駆られて、宿のすぐそばにある広場へと出てみました。夜風が言葉にできないくらい気持ちのよい夜でした。

宿の側の広場とその周囲にあるカフェは人々で賑わっていました。なんだかみんな何かを待っているようです。伝統的な正装をしている子どもたちや若者たちもたくさんいます。日本の夏祭りの浴衣のような感じでしょうか。


☆ 広場に集う人々
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しばらく私たちも待っていると、やがて石畳の上をカッポカッポと音を立てて騎兵隊がやって来ました。夜警団です。かっこいいなあ。その後に現代版夜警団のパトカーが巡回をしました。
いつもだったらもう寝ている時間ですが、何が始まるんだろうと私もカタリもわくわくして、町のみんなが待っているものを一緒に待ちました。
そしてちょうど夜の10:30、お祭りのパレードがやってきました。


☆ パレードの始まり
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初めにやって来たのは正装をして馬に乗った人々です。蹄が石畳をたたく小気味よい音が、夜の涼やかな空気に響きます。パレードの始まりに町の人々の期待や熱気が高まるのを感じます。
騎馬の人々が通り過ぎた後は、馬や牛や車やトラクターといった様々な動物や乗り物に牽かれたワゴン(荷馬車)に人々がたくさん乗り込んで、歌ったり笑ったりしながら通りを進んでいきます。日本の山車みたい。人々は伝統的な衣装を身に着けていることが多かったですが、後半はジプシー風な服装とワゴンが多くなりました。
何かのお祭りです。私たちは旅の途中で、その土地に根ざす伝統的な文化にこうして今出会っているのです。そう思うと、胸が湧きます。町の中心の丘の上にあるお城は、ライトアップされていました。


☆ トラックやワゴンや荷馬車に人々が乗り合わせる
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🌹お祭りの様子【動画】🌹

www.youtube.com




🌼 森を抜けて山を下ります

☆ アラセナの宿(1階の左が泊まった部屋の窓)
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朝、出発の支度をして荷物を自転車に積み込みます。宿の一家はまだ眠っているようだったので、「ありがとう。さようなら」と奥に声をかけて、鍵を残して出発します。代金を昨日のうちに払っておいて良かった。


☆ 山上のアラセナ
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アラセナの町は山の上にあるので、朝は冷え込みます。日中は暑くなるので私たちは軽装です。そんな私たちを見て犬の散歩をしていた女性が大きめのジェスチャーで「Frío(寒いよ)」と言い、カタリも大げさなジェスチャーで「Non Frío」と強がっていました。


☆ 森を抜ける
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今日は一日下り道で、追い風でした。気温は昨日より10℃も下がったそうです。朝の涼やかな森を、風を切って進みます。とっても清々しい時間。


☆ コルクの森
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この辺りの低山はコルクの森が広がっています。少し高台に出ると辺りがすっかり開けて遠くまで見渡すことができる。今日はアンダルシア州の州都である港湾都市セビリアを目指します。でも少し遠いので、辿り着けるかは分からない。もし今日辿り着けなければ、明日また続きの旅路を進めばいい。そんな旅です。


☆ 乾いた土地
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旅に出たいと思う理由は人それぞれ。それは挑戦かもしれない。快楽かもしれない。逃避かもしれない。破壊かもしれないし、創造かもしれない。そのどれをも一緒くたにしたものかもしれない。理由はどうあれ、旅に出たいということは、ここではないどこかへ行きたいということに違いありません。旅の理由も、旅での出来事も、明るいものばかりとは限らない。それでも大きな行動力を必要とする道を選ぶのだから、そこには行動を起こさせるだけの想いがあるはず。私もまた、きっと同行者のカタリもまた、そう。


セビリア(セビリヤ)を目指して
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曇り空ということもあって、なんだか広漠として物憂げな景色。
私今、世界のどこにいるんだっけ?
ここで何をしているんだっけ?
夢と現の境がぼやけるような夢っぽい感じ。旅をしていないときでも、ありません? そんな不思議な気持ちになること。


☆ 肉団子を作る蜂
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午前中は自転車をずっと走らせました。道の脇に広い休憩所があったので、お昼ご飯を食べることにしました。私たちのお昼ご飯はどんな状況でもすぐに食べられるような、簡単なものです。たいていはパンとチーズ。でもスペインではチーズよりも小分けのウィンナーのほうが安くておいしいので、パンとウィンナーをよく食べます。
石のテーブルと椅子があったので、そこに腰を掛けて食事をしていると蜂がやってきました。それほど大きくはなかったけどぶんぶん飛び回ってちょっと怖い。そこでカタリはウィンナーの端っこをちょっと千切ってテーブルの上に置きました。すると蜂たちはすぐに飛びついて、夢中で肉団子を作り始めます。手を近づけても全然気が付きません。もう肉に夢中。そしてうまく肉団子を作ると、それを抱えて遠くへ飛んで行ってしまいました。蜂にも私たちにも利になる、そんな撃退方法もあるのね。


🌼 美しい港湾都市セビリア

セビリアに到着
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今日中に到着できるかどうか、と思っていたセビリアは、下り坂と追い風に助けられて午後の2時半に辿り着くことができました。速かったぁ。
でもセビリアの町に入るのは簡単ではなかったんです。
セビリアの町はぐるっと周りをモーターウェイに囲まれていて、出入り口はどこもモーターウェイモーターウェイに自転車は入れません。どうやって入ったのか今でもよくわからないけど、無理に押し入った感じで町の中へと入ったのを覚えています。


☆ 異国情緒ある港湾都市
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セビリアはその立地からイスラムの町になったり、アフリカの影響を受けたりと、多様な変遷をたどってきた町です。海からは離れているので海に面した港町ではないですが、川を利用して船が行き来できる港湾都市です。特に大航海時代に新大陸と貿易を行い、大きく繫栄しました。そんな歴史を経てきたので多文化が混ざり合い、どの国の文化から見てもエキゾチックな香りがするんですね。


☆ 美しい港湾都市
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とってもきれいで、とっても素敵な建物がたくさんある魅力的な町なので、私たちは宿を探すことにしました。まずは町のインフォメーションオフィスを目指します。セビリアは風光明媚な町で、観光地としても人々を引き付けているようです。そんな町ではインフォメーションオフィスを見つけやすいの。
オフィスはいくつかあるらしくて、中心部のオフィスへ行きました。セビリアは巡礼の旅の出発地としても選ばれることの多い町だと旅人仲間たちから聞いていたので、きっとアルベルゲ(巡礼者のための宿)があるでしょうと思い、尋ねました。オフィスのお姉さんに調べてもらうと、アルベルゲはどこも満室。残念。町から出る方法を訊いてみたところ、「私には分からないから徒歩の旅人が集まるアルベルゲで訊くといいわ」ということでした。


☆ 町の地図
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近くに他のインフォメーションがオフィスあったので、そこへも行ってみました。オフィスの女性が教えてくれたのはいくつかのアルベルゲの位置と、今夜の宿は一番安くても1人46€以上はする、ということでした。
さっそく向かった一番近くのアルベルゲは石畳の入り組んだ旧市街にあり、中に入ってみるとアルベルゲというよりバックパッカーズのような雰囲気。その宿も満室。受付の20歳くらいのお姉さんに町の出方を訊いてもやっぱりわからないそうです。「車か電車でないと......。」って、町の誰も自転車で町から出る方法を知らないなんて、変な町。
2つ目のインフォメーションセンターの女性はとても気の良い方で、親身に町からの脱出方法を考えてくれたの。その女性は言ったわ「モーターウェイを気を付けて通るしかないわね」って。ほんと、可笑しな町。

そんなわけで私たちはほんのちょっぴりモーターウェイに乗って、無理やりセビリアの町から脱出したのでした🌞


🌼 久しぶりの野宿

グアダルキビル川
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セビリアの町を何とか脱出できた私たちは、郊外を抜けて南へと向かいました。そして川の西側にあるコリア・デル・リオという町に到着しました。
辺りはまだ明るいですが、日はだいぶ傾いていて泊まるところを決めなくてはいけません。旅をしていると、宿がないまま日が傾いてくる時間帯が一番心細くなります。宿を探しながら町を周っていると、川沿いに「渡し」が見えました。私たちは川を渡してくれる小さなフェリーや渡し船のことを総称して「渡し」と呼んでいます。ここでの渡しは「いかだフェリー」とでも呼ぶような、喫水の浅い、それでいて車を乗せられる形の渡しでした。


☆ いかだフェリータイプの渡し
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宿を見つけることができないでいる私たちは、その渡し船に乗って川の東側へ向かうことにしました。他の自動車と一緒に自転車ごと乗り込み、船長のおじさんに渡し賃を払います。渡しはすぐに出発して、10分くらいで対岸へ到着。自転車を押して向こう岸へ上陸します。

川の西側にはカフェや家々があったけれど、東側には畑ばかりが広がっています。日も暮れかけていて、私たちは今夜野宿をすることに決めました。


☆ 今夜の野営地は豆畑
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コリア・デル・リオの町は川の西側だけにある町だったみたい。東側はどこまで行っても広い畑。ここは野宿に慣れたカタリの勘に従って、寝られそうな土地を探します。
私たちは畑を少し奥へと入り、豆類の畑の隅っこに空地を見つけ、そこを今夜の野営地に決めました。こういった空地は農家の車とかを停めるスペースに使われることが多く、早朝暗いときに農家の人がやってきてテントを踏みつぶしたりしないかちょっと心配になります。空地の草の様子から、頻繫に車が入る様子もないし、犬の散歩にも使われている感じもなく、雨が降っても水没するような場所じゃなさそう。遠くから丸見えだけど、人の往来はほとんどなく、暗くなってしまえば見えないから大丈夫だよね。


☆ テントの中から見る夕陽
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夕方、一台のバイクが通りかかってじっとこちらを見ているようだったの。バイクのいる道は200mは離れていたからずうっと遠くだったけど、夜に様子を見に来たらどうしようと、ちょっと不安でした。でも結局誰も来たりせず、朝までしんと静かな夜でした。そして朝には鳥たちの声で目を覚ましたの。心地良く眠ることができました。

これで今日の旅の一日はおしまい。
朝が来たら、また新しい旅の一日の始まりです。



🌈明日へつづく
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