Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

熱波の荒野はもううんざり!? 辛く厳しい旅路の果てに、絵本のような白い村に辿り着きました。

アンダルシア地方編】ヨーロッパ自転車旅

                       🌈今日の旅路🌞
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アンダルシア地方「3日目
アンダルシア地方らしい、乾いた平原を走って行きます。
セビリアの南の野営地から、切り立った丘の白い村アルコス・デ・ラ・フロンテラへ。

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🌞 遠回り

おはよう。ひばりの元気なさえずり声で目を覚まします。テントの外をのぞくと青い空、緑の豆畑。ここはスペイン。アンダルシア地方の広い広い畑の中です。
昨夜は宿が見つからず、この豆畑の中で野宿をしました。とても静かで、人工の明かりはなく、気持ちよく眠ることができました。さあ、旅の新しい一日の始まりです。


☆ 雪のような綿花畑
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畑の合間にある小さな道を進み、N-Ⅳという幹線道路を目指します。この辺りの道は用水路に阻まれたり農家へと続く行き止まりなども多く、別の町へ向かう移動には向いていません。大きな道に出ればずっと進みやすくなるでしょうから、大きく遠回りをしてN-Ⅳを目指すことにしたんです。


☆ 畑の道
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畑の道は人通りがなく、まるで私たちだけしかいない世界のようでした。ぽかぽか暖かい日差しの中自転車を走らせていると、なんだか夢見心地になってきます。そんなときに夢想するのはだいたい決まって幼い頃の記憶。お昼時で、パンの焼ける甘い匂いがして、とても静かで、気持ちがいい。そんな平和で安心できる感覚をぼんやりと思い出して、懐かしむように夢想に耽ったりします。


☆ アンダルシアの乾坤
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遠回りをして無事にN-Ⅳに乗った私たちは、アンダルシアの空と大地の間をぐんぐん走って行きました。
辺りにはお店などがなかったのでCabezasという町に寄り、小さな商店でやっと水とパンを買うことができました。
この日はとても暑くて、休めるような木陰もなく、どこまでも広がる荒野を進み続けます。


🌞 アンダルシアの荒野

☆ 荒野の中に家が一軒ぽつんと建っていました
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雄大な景色は素晴らしい景観を私たちに見せてくれますが、そこを旅していくのは過酷と言っても言い過ぎではないと思います。だって、本当に大変な道のりだったんだもの。
乾燥した熱い風がじりじりと私たちの元気を奪っていって、どこまでも続いていく丘、丘、丘、が私たちの心を憔悴させていきます。広大な土地を旅するのは大好きだけど、体が大変すぎるとうんざりしちゃう。早く熱いシャワーを浴びたいな。こんな日に野宿だったらやだな。


☆ 暑い熱い荒野の丘
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カタリも私もだんだん気力がなくなって、ふらふらしながら自転車をこいで、町に辿り着くことばかり考えていました。そんなとき、遠く丘の上にお城のようなものが見えてきました。あれは何かしら? 岩の塊? 蜃気楼? もう「こんな荒野ばかりのところにお城なんてあるはずないわ」というような思考になっていたんですね。
でもやっぱりそれはお城と町でした。私たちは丘、丘、丘、の荒野の中で、お城のある町に辿り着いたのです。


☆ 丘の上のお城と町
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エスペラの町
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まるでオアシスのようにきれいな町。丘の上にある小さな町です。可愛らしい。だけどどうやら宿屋さんはなさそうです。それどころか今日は”魔の日曜日”。小さな商店はお休みです。アイスかジュースで休憩できると思ったのにがっかり。水も食べ物も補給できないまま、私たちは丘を下り、再び荒野へと向けて自転車を走らせました。


☆ 暑ーい 広ーい 熱ーい
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ああ、アンダルシア。なんて雄大で広くて暑いのかしら。熱波みたいな風が私たち旅人を苦しませます。木陰でもあれば休めるのにね。どこを見てもほんとに荒野ばかり。それがこの土地の景観の魅力でもあり、人々にロマンを感じさせる理由でもあるのでしょうけれど。それにしても暑い、広い、熱い🌵
そしてあろうことかこんな時に限ってカタリのタイヤが2度もパンクしたんです。辺りの乾いた荒野には水分を失った植物が棘を硬く硬く尖らせて待ち構えているので、道路の上にはあちらこちらに硬い棘が落ちていたりします。運悪くその棘を変な角度で踏んでしまうと、たちまちタイヤはパンクします。そして炎天下の中、修理作業を余儀なくされるのです。
私たち、どこかの町まで本当に辿り着けるのでしょうか。もうほんとに暑い、広い、熱い。


🌞 崖の上の白い村

☆ アルコス・デ・ラ・フロンテラ
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カタリがよく言うんです。「歩き続けている限り、辿り着かない山頂はない。」って。本当ね。
私たちはあの暑い広い熱い荒野を走り続けて、とうとう切り立った丘の上にある町アルコス・デ・ラ・フロンテラに辿り着いたのです。やったぁ。
アルコスの町はかなり急な坂道を登らなくてはいけないところにあって、私たちは途中でパン休憩をとらなければならないほどでした。
そしてこの町の地形は変わっていて、やっとの思いで登り切ったと思ったら、中心のお城へ行くにはもう一度坂を下ってから再び登らなくてはなりませんでした......。これはもう、試練ね。
でもね、歩き続けている限り、辿り着かない山頂はないんです。


☆ 切り立った丘の上
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とうとう。
とうとう辿り着きました。
アルコスの丘の上の中心地。遥か向こうに見える山の合間を抜けて、ここまでやって来たのね。長かったなぁ。
今日はもう走れません。これ以上は動けない。熱いシャワーを浴びて、冷たいジュースを飲んで、ふかふかのベッドで眠りたい🎀
そんな私の願いが神様に届いたのか......






☆ 宿屋
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宿に泊まれることになりました。

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丘の頂上にあるお城が閉まっていたので、辺りをうろうろ彷徨っていたとき、狭い路地の角にあるバーの店先で声をかけられました。声の主はカフェバーの店主さんみたいで、お店の2階が宿になっているから泊まっていかないか、というお誘いでした。そこへ地元の奥様がやってきて、スペイン語でなにやらたくさんおしゃべりをし始めたので私たちが通り過ぎようとしたところ、再び店主さんに引き留められました。店主さんはほとんどスペイン語だけだったので通じ合うのに時間がかかりましたが、最後には泊まれることになりました。バス付きのツインルームで30€。今日の辛さが報われました。つい心の中で手を組み合わせて、この幸運に感謝をせずにはいられませんでした。


        ☆ 1階がレストランバー、2階が宿屋の「タバーン」
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白い家々が集まる丘のてっぺんの歴史地区。自動車が発明されるよりずっと昔からある町並みだから、細くて入り組んだ路地がたくさんあって迷路みたい。上の写真の白と黄色のレストランが、私たちの宿泊した宿です。荷物を部屋に置いて、さっそくバーで休憩しました。私はジュース、カタリはビール。まるで生き返るような思いだったのを覚えています。あのジュース、おいしかったなぁ。


☆ 白い村
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レストランバーには自転車を停めておくスペースがなくて、少し離れた坂の途中にある家のガレージを借りました。ほんの50mくらいの距離だけど、自転車が離れたところにあると少し淋しい気持ち。でもガレージには屋根もあるし、扉には鍵もかけてもらったから安心です。この辺りの地区は広くはないから、歩いて散策するのがちょうどいいのかも。


☆ お城の裏のカフェでは人々が寛ぐ
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この伝統的な白い地区は、この辺りの地域の観光地でもあるみたい。旅行者と思われる人々がカフェやレストランで飲み物を片手に寛ぎ、お城の周りにはカメラを持って散歩をする人々が小さなお土産屋さんをのぞいたりしています。日中の激しかった旅路から一変。穏やかな時が流れています。私たちはまだ明るい夕方、夕涼みの散歩へ出かけました。


☆ 崖の上の白い村
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お城のすぐ裏手は切り立った崖になっていて、遠くまでアンダルシア地方を眺めることができます。町の近くには荒野ではなく畑が広がっています。川が流れて豊かな大地。まるで天空のオアシスみたいね。近くの町に住んでいたなら、車で2時間かけてでも崖の上のカフェにお茶を飲みに来たくなるでしょうね。天気の良い日曜日なんかには。


       ☆ 狭い路地
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白い村には細い路地があちらこちらにあって、それがみんな不規則な延び方をしているから村そのものが大きな迷路みたい。白い壁と、異国のレストランと、飾られた植物たちが、多文化を併せもつエキゾチックで不思議な空間を創り出しています。


☆ 不規則な路地には坂道も多い
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絵本の中の町に迷い込んだみたいじゃない?
人のようで人でない不思議な登場人物たちと出会ってしまいそう。
猫人や鳥人間と出会って、仲良くなってみたいな。


☆ 坂の向こうは青い空         ☆ 異国情緒
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☆ 絵本の中の町の一角に、私たちの宿はあります。
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白くてきれいで不思議な感じのする町から私たちの部屋へと帰ってきました。でもこの部屋も不思議な白い町の中心にあります。もしこれが絵本の中のできごとならば、私たちも絵本の中の一部として、物語の登場人物になっているのでしょうね。町を訪れた旅人として。


今日は本当に辛くて大変な行程だったけど、一日の旅の終わりには、崖の上の白い村に辿り着けました。そして美味しい料理と、プライベートなバスタブ付の熱いシャワーと、ふかふかのベッドに恵まれて、幸せです。ああ、旅の一日らしい、旅の一日だったな。明日はどんな旅の一日になるのでしょう。
おやすみなさい🌙



🌈 明日へつづく
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