Mira
朝、目を覚まして時々思う。
目の前にある自分の手を見て、指を動かして、ああ動かせるって。
私は私の体をもっていて、それは思うように動かすことができて、根っこも生えていないから好きな方向へ移動することもできる。
それってすごいことだ、って。
たとえ陸上選手のように速く走れなくたって、職人さんのように手先が器用でなくたって、バレリーナのようにしなやかな動きができなくたって、私は私の体を思うように動かすことができる。
今朝、目を覚まして、私はやっぱりいつものミラだった。別の誰かではなく、もちろん芋虫なんかでもなく、昨日の続きのミラだった。手も動かせるし、移動もできる。記憶もある。
生きているって、それだけでも幸運な「めっけもん」だ、って。
そんなふうに時々思う。
朝、起きたときに。