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旅乙女と発明娘の子供部屋

自転車旅 ポルトガル1日目。要塞村と小さくて快適な山のふもとの町。

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自転車の旅ポルトガル編4】

ヨーロッパを自転車で旅したときの軌跡です。
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ポルトガル1日目」【後編

国境の町 Tui (トゥイ)から Vila Nova de Cerveira へ
 1日目の道のり
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~前編のあらすじ~
サンチアゴ=デ=コンポステーラまでの巡礼路の旅を終えた私たちは、スペイン北西部を南下しポルトガルとの国境の町トゥイまでやってきました。トゥイは川のほとりにある丘の町で、歴史を感じさせる古くて可愛らしい石造りの建物が立ち並ぶ町です。おいしいパン屋さんがあって、野良犬保護のボランティアのお姉さんがいて、立派な大聖堂があるの。町外れの公園で私たちはてっきり国境を越えたと勘違いしてクッキー乾杯をしたんだけど、まだスペインにいたことが分かって顔を合わせて照れ笑い。目の前の広いミーニョ川には長い橋が架かっています。川向うの丘の上には大きな要塞が見えます。この橋を渡ればいよいよポルトガル。長らくお世話になったスペインの地を後にして、私たちの旅はとうとうポルトガルに入るのです。

☆ 国境の橋。川向うには要塞が見える。
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やってきました (^o^)/ 海とお菓子と民芸品の国(偏ったイメージです)ポルトガル 🚲
ポルトガルEUの中のシェンゲン協定加盟国なので入国審査やビザは要りません。下の写真の青い看板が国境のサイン。ミーニョ川のこちら側は、もうポルトガルです。

新しい国に入るときはいつもわくわくします。言葉も、文化も、食べ物も違うんだもの。まず初めに知るべきなのは「こんにちは」と「ありがとう」ね。ポルトガルでは「オラ(こんにちは)」と「オブリガード(ありがとう)」よ。通貨はスペインと同じユーロ。

☆ ポルトガルの土地に足を踏み入れました。
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縦に長いポルトガルの土地を南へと下っていくつもりなんだけれど、行かなければならない場所ややらなければいけないことはありません。この国の土地や人や文化や歴史などを見て、旅のロマンを享受するのが私たちのやること。いったいどんなものを見ることができて、どんな人たちに出会うことができて、どんなおいしいものが食べられるのでしょう。空は地球のどこでもやっぱり青い色をしていて、私たちはやっぱりいつもの私たちだけれど、この世界に興味は尽きません。

まずはスペイン側から見た、丘の上の要塞へと向かうことにしました。


☆ 要塞入口
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自転車を残し、丘を上がって要塞入口へと向かいます。要塞は要塞らしくぐるりと塀やお堀で囲まれています。初めの塀の周りには立派な木々が立っていました。まるでラピュタのお城みたい。遠いお伽の国も、まだ見たことのない幻想の世界も、やっぱりこの世界に用意された「確かにある」世界なんだなって思います。それも遠くなんかない、見ることさえできればすぐそばにある世界なんだ、って。「空想的」とか「夢見がち」っていう人もいるけれど、一つの世界を捉えるためには想像力も大切なんだと思います。想像力がなければ塀はただの塀だし、樹はただの樹でしょ? そこには想いや歴史やロマンがいっぱい詰まっているんだもの、観ずに通り過ぎたらうそってものでしょ?


☆ 要塞村の地図
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入口の近くには地図の立て札がありました。
あれ?
どうやら要塞の中には民家のような建物がたくさんあるみたいで、まるで村のようです。きっと要塞を利用した要塞村に違いないわ。
ちゃんと通り道まで描いてあります。いったいどんな村なのでしょう?


☆ 城壁の入口
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頑丈そうな立派な城壁。登ったり崩したりするのは容易じゃないでしょうね。重々しい石造りの門のような入口です。中に入るのはちょっと勇気がいるけれど、カタリの後ろからついていけば大丈夫。きっとカタリがいなくたって、好奇心を抑えることはできなかったでしょうね。
さあ、中へ入りましょう。

☆ 城壁の中
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素敵。
石畳の坂道になっていて、地下への入口や曲がり角なんかもありました。


☆ 曲輪(くるわ)?
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城壁の中を通り抜けて城壁の上へ出ると、平地になっている空間がたくさんあります。日本のお城だと曲輪(郭・廓・くるわ)と呼ばれる空間かしら? 要塞は丘の上にあるので辺りの景色がぐるっと見回せます。中央右に見えるのが、ついさっきまでいたスペインの町トゥイね。
この廓からさらに城壁を越えて中に入ると、要塞村に入ることができます。何重もの城壁に囲まれた、「守られた村」ね。


☆ 要塞村
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かわいい 💛

要塞村の中はかわいらしい日用品やお土産がいっぱい。
特にポルトガルタオルとレース編みと刺繍の入ったエプロンが所狭しと並んでいます。それらを使ったベビー用品がたくさんあって、色合いもとってもポップで、ほんとにかわいい。お店を見て回るだけでも幸せな優しい気持ちになれちゃう。
要塞村はとにかくかわいらしい村です。


☆ 村の教会
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村の中央には教会もあります。確か郵便局もあった気がする。村人は要塞の外に出なくても生活することができるのかもしれません。


☆ お店が並ぶ細い路地がいっぱい
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要塞村の中は城壁の外の村のように広くはないのですが、細い路地がいっぱいあるのでぐるぐると見て回ることができます。迷子になるのもいいかもしれないわね。中にはひっそりしている路地もあるけれど、たいていは小物や雑貨のお店がずらっと並んでいて、ポルトガルタオルや刺繍の入ったエプロンなんかを売っています。カラフルな動物の置物や、草か籐で編んだバスケットなんかもね。

そして右下に黄色い矢印があるの、見えますか?
これは巡礼路の道しるべです。ここはサンチアゴ=デ=コンポステーラまでのカミーノ(巡礼路)「ポルトガルの道」でもあるのです。矢印を辿っていけば、やがてサンチャゴの町へと辿り着けるでしょう。


☆ にぎわう要塞村の日曜日
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この日は日曜日。要塞村はとっても素敵な村で、しかも国境の隣りにあるから、きっと観光地でもあるんだと思います。たくさんの人たちが休日を楽しんでいました。きっとポルトガル人もスペイン人も、同じように過ごしているのでしょうね。スペイン側の隣のトゥイの町も明るくて観光しがいのある町だし。
それにしても今朝の霧雨はどこへやら、いい天気になって、ほんとに素敵な日曜日ね。


☆ 出口
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さあ、日曜日の要塞村を堪能したので、旅へと戻りましょう。
要塞を囲んでいる内側の城壁の中を抜けていきます。まるで地下迷宮みたい。天井は新しそうだけれど、壁や足元は何百年も昔の中世ヨーロッパを思わせます。ひんやりとした空気が重々しく静まり返っていて、時折水滴が落ちる音がします。自分たちの足音が騒がしいくらい。
暗い回廊を進むと、ずっと先のほうから眩しい光が。まるで地下の世界から地上の世界へと帰ってきたかのよう。明るい世界にほっとしました。

☆ 城壁と城壁の間
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昔々、戦いのとき、この扉から兵士たちが敵を迎え撃ったのかしら。あるいはこの扉から遠征へと出発したのかしら。歴史的事実は分からないけれど、想像をかきたてられる景色だと思いませんか。

☆ Vila Nova de Cerveira の町に到着
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要塞の村を出発した私たちは、ミーニョ川に沿って南へと自転車を走らせました。初めて訪れるポルトガルの地を進んでいきます。
このときにはお昼もだいぶ過ぎていたので、そろそろ宿を探そうかと話していました。道のすぐそばには小高い岩山があって、そのうちの1つに大きな鹿のオブジェのある山があったの。ちょうどその山のふもとにある町、ヴィラ ノヴァ デ セルヴェイラという町を通ったときにユースホステルを発見。もし泊まることが出来たら、ここに泊まろうということになったの。

☆ ヴィラ ノヴァ デ セルヴェイラのユースホステル
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ユースは広くて新しそう。早速レセプションで交渉してみます。
すると巡礼者かどうか聞かれました。巡礼宿以外の宿で聞かれたことはなかったからちょっとびっくり。私たち、巡礼者らしく見えるのかなぁ?
私たちが巡礼者の証「クレデンシャル」を見せると、なんとスタンプを押してくれました(巡礼者は教会や巡礼宿などで巡礼の証としてスタンプを押してもらいます)。山の上にあった鹿のオブジェの絵柄で、スタンプ2つ分のスペースにまたがった長いスタンプでした。
そして宿泊はO.K.。ドミトリーで一人14€のところ11€。朝食付き。やったー。

☆ ユースホステル外観
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これはユースホステルを道側から見たところです。
何やら書かれていますね。もしかしたら、かつては小学校だったのではないかしら。

☆ 宿の部屋
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私たちが泊ったドミトリー(相部屋)はベッドが4つあったのですが、ハイシーズンにもかかわらず宿にお客さんはあまりいなかったの。なので部屋は貸し切り状態でした。
他に知らない人がいないとプライベートルームのようでゆっくり休めます。

部屋に荷物を置いて少し休んでから、私たちは町を見に出かけました。

☆ 時計塔のある教会
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ヴィラ ノヴァ デ セルヴェイラの町は小さいけれど人の集まる素敵な町でした。教会の前の広場では人々がカフェテラスでおしゃべりをし、川沿いにはたくさんのキャンピングカーが停まっています。目の前にそびえる山にはハイキングコースもあるみたい。川遊びもできて城跡やミュージアムもある。ほんの2-300mくらいの小さな通りを中心にした町なんだけど、のんびり楽しく過ごすにはぴったりの居心地のいい場所。道の反対側にはスーパーもあるのよ。

☆ カラフルパラソル通り
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色とりどりの傘がいっぱい。かわいい。
天気のいい時には涼しいし、なんといっても歩くだけでハッピーな気持ちになれちゃう。道行く人たちはみんな明るい表情に見えた。

☆ 古城跡に続くチャペルの入口
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たぶんここは古城跡なんだと思います。奥まったところにあるチャペルが入口門になっている。これはくぐらずにはいられないですよね。
中にはいくつかの石の建物があって、それらをぐるっと城壁が囲んでいました。

☆ 城壁から見たミーニョ川
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すぐ側をミーニョ川がゆったりと流れています。川の向こうはスペイン。
このお城も防衛のための要塞としての役割をもっていたのかもしれませんね。
かつて自然の防御壁であったミーニョ川も、今ではボート遊びを楽しめる場所となっています。

☆ 山の上には鹿のオブジェ
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城跡から山側を見ると、岩山の上に鹿のオブジェが見えます。「Cervo」というそうです。あそこまで歩いてみるのも楽しそう。きっといい眺めでしょうね。

☆ ハニービールのお店
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蜂蜜のビールのお店だそうです。
ハリーポッターのバタービールみたいなのかな?
私はまだ飲めません。

☆ レースのお家
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道行く奥様方が感激の声をあげながら一軒のお家の壁を見ていたの。何かしらと思ってよく見てみたら、なんと壁一面にレースの編み物がかけられていたの。驚きました。さぞや時間がかかったでしょうねぇ。ぶどうの木とぶどうもレースで作られていました。すごいなぁ。

☆ 部屋からの眺め
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こうして私たちは夕方まで町を歩いて過ごしました。
それから道向こうのスーパーで食材を買ってきて夕飯を作り、シャワーを浴びてゆっくり過ごしたの。
ポルトガル一日目は快適で素敵な一日になりました。


明日へつづく
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【前編】の日記
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