Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

初めて光合成を行い,地球を雪玉のように冷やし,今なお生きている。歴史の語り手ストロマトライト。

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生物の歴史を物語る化石

    「ストロマトライト

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藍藻という藻の化石です。原始的な構造の原核単細胞生物なので、現在は藻類ではなく細菌に分類されるそうです。

30億年くらい前から生きていた生物で、私の持っている化石は先カンブリア時代、約6億5000万年前のものなんですって。
遥か昔に生きていた生き物の形跡が今私の手の中にあると思うと、あまりにも長い歳月に目が回りそう。

このストロマトライトはこういう姿の生き物なのではなくて、シアノバクテリアという生き物が作り出した石。珊瑚と似ていますね。このシアノバクテリアは地球上で初めて光合成を行った生物ともいわれているの。
生存能力の高い生き物で、世界中のあらゆる海(海水)や湖(淡水)にいたそうです。光合成を行うので二酸化炭素を消費して酸素を作り出すわけだけれど、あまりにその数が多かったために地球の気温を下げてしまったんですって。現在の二酸化炭素による地球温暖化と逆の現象ですね。地球が赤道まで凍ってしまうスノーボールアースの状態に近いくらい、深刻な氷期になったそうです。
単体での彼らの大きさは目に見えないほど小さい(1~10μm)から、地球全体の気温をそれほどまでに下げる規模となると、数にすれば想像するのも難しいほどのシアノバクテリアがいたのでしょうね。

昼になると葉や花を広げ、夜になるとそれを閉じる植物がありますね。
このシアノバクテリアも同じような性質があって、日中は光合成を行うために石の表面に現れます。夜になると光合成の活動を休止し、粘液を分泌して泥やミネラルなどを定着させます。ベッドを作るようなものね。次の朝になるとまた起きだして、昨夜作ったベッドの上で活動し、夜になるとその上に新しいベッドを作ります。この繰り返しによって毎日ひとつ、層が作られていきます。
つまりストロマトライトはシアノバクテリアが毎日作ったベッド(家)の集合のようなものね。

光合成を行うシアノバクテリアは太陽の光を多く受けようとするので、太陽の方角に向かって石の家を成長させます。太陽の方角は季節によって一周するので、樹木の年輪幅の偏りのような跡が一年で一周分残されます。この一年の形跡と一日の層の数を調べると一年の日数が分かるわけですが、なんとこの時代の一年は400日以上あったそうです。一年が365日というのは、今の時代にだけ通用する規則なのですね。石や化石を調べると驚くような事実がたくさん出てきます。たとえば玄武岩を調べると、地球は何度も磁場のS極とN極を反転させたことが分かるそうですよ。北と南の極が何度も入れ替わっていたなんて、びっくりです。

さて、この地球の歴史を物語ってくれるストロマトライトの主シアノバクテリアは、今現在もまだ生きています。
西オーストラリアのシャークベイ、ハメリンプールという町に現存する生きたストロマトライトがあります。世界遺産にもなっています。オーストラリアのカンタス航空さんがホームページで「秘境ガイド」として紹介しているので、興味と時間のある方はオーストラリアまで足をのばしてみてはいかがでしょう。

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