「螺」で「鈿」する「蛙」
こちらは貝殻でできた蛙 ↑
「螺鈿」(らでん)という装飾技法があります。貝殻の内側のきらきらしたところを薄く板状にして漆の地に貼り付けたり嵌め込んだりする技法です。
この螺鈿という字、あまり使わないですよね。虫偏が使われているのも気になります。
「螺」の字はぐるぐる渦巻き状の貝のことを意味します。螺旋階段の「螺旋」にも使われていますね。読みは「ら」の他に「にし」とも読みます。なじみ深い田んぼの巻貝「たにし」は漢字で書くと「田螺」。田んぼの螺(巻貝)という意味なんですね。
一方「鈿」の字は、飾り付ける、装飾を施すというような意味です。もとをたどれば金などのかんざしを意味します。読み方は「でん」の他になんと「かんざし」とも読むんです。かんざしは「簪」の字がよく使われますが、もとは「髪に挿すもの」で、昔々は男性の装具でもありました。女性用は「釵」や「鈿」に使い分けられることもあり、どちらも読み方は「かんざし」です。「釵」は髪に挿す部分が二股になっている髪飾りで、「鈿」は金属を平たく延ばして切り出したものだそうです。
でも「螺鈿」という言葉は巻貝で作ったかんざしという意味ではなく、貝殻を使った装飾技法という意味で使われていますね。
☆ 目無し蛙もあります
貝殻は虹色にきらきら光る構造色をもった自然界の装飾品。素敵なものや好きなものに加工しようと思う気持ちは、ずっと昔から同じなんですね。
かわいい蛙が虹色にきらきら光っていたら、うれしくなっちゃいます。