Mira&Luna
(ルナ)青い空に白い雲。アブラゼミとミンミンゼミとツクツクボウシの蝉時雨。
(ミラ)夏ねえ。
(ルナ)今日の分の宿題を終えて、扇風機の横でスイカ休憩。サルスベリの花が見事に咲いてきれい。
(ミラ)夏ねえ。「サルスベリ」って可笑しな名前。
(ルナ)先日、親戚といっしょにキャンプに行ってきました。そのときに泊まったところが面白かったの。
(ミラ)きのこみたいなツリーハウスに泊まったのよ。「樹上の家」じゃなくて「樹の家」みたいなツリーハウス。
☆ ツリーハウスの森
(ルナ)まるで妖精の住む森みたいじゃない?
(ミラ)エルフとかトロールとか。
(ルナ)コロポックルとか。
(ミラ)何? それ。
(ルナ)北海道に住んでいる妖精よ。フキの葉の下にいるの。
(ミラ)私は北海道に行ったことないからな。ルナは妖精って見たことある?
(ルナ)コロポックルはまだ見たことないけれど、妖精はたぶん、ある。
(ミラ)え!? 見たことあるの? どこで? どうやって? どんな姿をしてたの?
(ルナ)はっきりと妖精かどうかは分からないけどね。カタリと一緒にフィンランドを旅したときに。
今はツリーハウスから話がそれちゃうから、妖精の話はまた今度してあげるね。
(ミラ)うん。
☆ きのこみたいなツリーハウス
(ミラ)じゃん! これが私たちが泊まったツリーハウスです。面白い形してるでしょ。
(ルナ)ほんと、きのこみたいな形よね。この中で眠るのよ。
(ミラ)見てるだけでもわくわくする。
(ルナ)それでははしごを登ってみましょう。
☆ はしごを登って中に入る
(ルナ)入口の揚げ戸を押し上げて……。
(ミラ)部屋の中に顔を出すと……。
☆ 入口玄関
(ルナ)中は木造りで、きのこの形そのままです。
(ミラ)まるで秘密基地!
(ルナ)部屋の中には毛布とマットが用意されていました。
(ミラ)人工芝みたいな床はきれいに掃除されていました。
(ルナ)ここに泊まるのよ。
(ミラ)なんて楽しいのかしら。
(ミラ)ツリーハウスには窓が3つあって、窓を開けても虫が入ってこないように網戸になっています。
(ルナ)中はけっこう広々としていて、通気口もあるからそんなに暑くもなかったの。快適だったわ。
(ミラ)でも私がどたばたしたから揺れたんでしょ?
(ルナ)そう。ミラが右へ左へ駆け回るたびにツリーハウスが右へ左へ傾いて、もう少しでころんってひっくり返ってこまの形の家になっちゃうところだったわ。
(ミラ)それも面白そうじゃない? 床と天井が逆さになって。こまみたいにぐるぐる回るかも。
(ルナ)すり鉢状になっているから、寝るときにみんな真ん中に集まっちゃって、こまるわ。
(ミラ)こまだけに。
(ミラ)見てこの秘密基地っぽさ。
(ルナ)入るときにはノックのたたき方で合図を決めたのよね。
(ミラ)そう。ここに泊まる前にカタリに『スタンド・バイ・ミー』の映画を観せてもらってたから。やってみたくなったの。
(ルナ)きっとカタリの思惑通りになったのでしょうね。
☆ 森に射す光
(ルナ)森に差し込む夕日の光がきれいだったね。
(ミラ)うん。赤っぽい金色だった。森の一カ所がきらきら光ってた。
(ルナ)そこには何かが埋まっていそうね。
(ミラ)宝石とか。
(ルナ)大判小判とか。
(ミラ&ルナ)新海賊の財宝とか!!
グルメな! (「新海賊」の元ネタはこちら)
☆ 黄昏時
(ルナ)楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。
(ミラ)ほんと、あっという間に夕方になっちゃったね。
(ルナ)でも夜も楽しかったな。
(ミラ)夕飯もおいしかったし。
(ルナ)ヒグラシの声が素敵だったわね。私、ヒグラシの鳴き声って大好き。
(ミラ)私も好き。夏の涼しくて気持ちのいい時間に鳴くよね。
(ルナ)あの声を聞くと、なんだかとっても切ない気持ちになる。
(ミラ)私も。
☆ 残り火
(ミラ)それではおやすみなさい。
(ルナ)みなさんの夏が素敵な夏になりますように。