<目次>
† 前置き
† ファミコンカセットポータブルヘッドフォンアンプの作り方紹介
★ 「ポタアン」こと「ポータブルヘッドフォンアンプ」の作り方
1.電源回路を作る
2.増幅回路を作る
3.外部接続部を作る&その他パーツ
〇 基板配置図
★ ファミコンカセットに入れる
〇 使用した部品一覧
🎀リンク🎀 ファミコンカセット筐体Bluetoothオーディオレシーバ―の記事へ
ぶー。
残念でした。
ほら、ROMがない……。
なにかしら??
あっ! 光った!
じつはね、これ……。
中を開けると……。
ファミコンカセットの中に内蔵された
ポータブルヘッドフォンアンプなの!
Mira
今回はレトロなファミコンカセットポータブルヘッドフォンアンプの作り方を紹介するわね。
作り方は以前に作ったポータブルヘッドフォンアンプとほぼ同じなんだけど、ファミコンカセットに内蔵させるために小型のパーツで構成したの。
コンデンサや抵抗も今回は値の異なるものを使ったわ。
前回のポタアン自作の記事はこちらから ↓
「手作りポータブルアンプ」の記事へ
★「ポタアン」こと「ポータブルヘッドフォンアンプ」の作り方★
1.電源回路を作る
今回作製するポタアンでは、プラス電源とマイナス電源が必要となるの。
レールスプリッタといって、ふたつの抵抗を使って電圧を分けます。
初めは3.7v電源でやってみたんだけど、電圧が足りなくて音が小さくなっちゃったから、ボタン電池を6個つなげて9v電源を作りました。
(使用するオペアンプ「4580DD」の動作電圧が±2v~。つまり4v~の電源が必要ね。)
前回は4つのトランジスタを使ってカレントミラーというやり方で電源を分圧したけど、今回は小型化のためシンプルに 4.7kΩ x 2 で分圧します。
電源用のコンデンサには小型の電解コンデンサ1000μFを使用します。
9v電源
抵抗 4.7kΩ x2
電解コンデンサ 1000μF x2
これで 9v の電源を+の4.5v電源とーの4.5v電源に分けることができたわ。
仮想グラウンドというのは+とーが合わさるところで、実質±0v といえる場所。
電源の-端子をグラウンドに使うことができないから、各パーツでグラウンドに接続する必要のあるものはみんなここにつなぐの。
2.増幅回路を作る
私の作ったポータブルアンプは「オペアンプ」を使ったもの。
オペアンプは様々な用途があるけど、ここでは音楽再生機器からの入力信号を増幅させて出力信号の性能を向上させるというような目的で使います。
回路は秋月電子さんの組み立てキットや自作ポタアンで有名なChu Moyさんの設計を参考にして「非反転増幅回路」を組みます。
<使用する部品>
〇 基板 14x17 のものを使いました。
〇 オペアンプ 「4580DD」
〇 電解コンデンサ 470μF x2 (写真は4つだけど、使うのは2つ)
〇 無極性オーディオ用電解コンデンサ 10μF x2 (+ーの極性はありません)
〇 抵抗 10kΩ x4 (できれば金属皮膜のものを)
〇 抵抗 47kΩ (できれば金属皮膜のものを)
R7,R8 = 半固定ボリューム
U1,U2 = ステレオミニジャック
オペアンプ4580DDの中には二つの回路が入っていて、ステレオの左と右の信号をそれぞれ増幅できるの。
三角形の図がオペアンプの記号よ。
ここまでつなげるとこんな感じ。スイッチとLEDも取り付けた後ね。
3.外部接続部を作る&その他パーツ
次に外部接続部分を作ります。
音楽を再生する機器とつなぐステレオミニジャックと、イヤホンやヘッドフォンにつなぐステレオミニジャック。それと音量を調節するための半固定ボリューム。
〇 ステレオミニジャック
「つなぎ方」
い = R(右)
ろ = GND
は = L(左)
に = L(左)
L(左)は両方つないでもかまわないけど、どっちか一つをつなげればいい。
〇 半固定ボリューム 10kΩ
「つなぎ方」
αとβはどちらかを入力(音楽再生機側のジャック)につないで、もう一方を仮想GNDにつなぐ。
αを入力につなぐと時計回りにつまみを回したときにボリュームが上がる。
βを入力につなぐと反時計回りにつまみを回したときボリュームが上がる。
γはオペアンプに向かうオーディオ用電解コンデンサにつなぐ。
配線方法は上にある「増幅回路」の配線図に描かれています。
<その他パーツ>
〇 スイッチ
私は取り付け位置を失敗。カセットを開けないと届かないところに付けちゃった……。
なるべく電源の近くで、カセットを開けなくても入切できるところに取り付けましょう。
〇 LEDと抵抗
LEDは目立たないのでなくてもいいかも。
もし付けるなら330Ωくらいの抵抗を入れてLEDを保護しましょう。
〇 コネクタ
最初の計画では1.27ピンヘッダを挿せるコネクタの付いた、3.7v出力の充電式リチウムバッテリーを使う予定だったの。
でも3.7vだと電圧が足りなくて音が小さくなっちゃったので別の電池を使うことにした。
そのときにピンヘッダを使ってコネクタを作っちゃったから、電池側にも同じ幅のピンソケットを取り付けてコネクタにしたの。
接続の方法は流々でいいと思うわ。
〇 基板電池ボックス
電池は1.5vのLR44ボタン電池を6個つなげたの。
市販の電池ボックスは大きくて入らない。
そこで電池を固定する台を作った。
接続部分を安定させるために13x8の小さな基板に金属片をはんだ付けしたまでは良かったんだけど、電池が外れないようにするところであまり良いアイディアが浮かばなかったので糸でぐるぐる巻いています。
不格好でちょっと恥ずかしいけど、しっかりと固定されました。
<基板配置図>
(この図のステレオジャックは前回使用したステレオジャックなので、接続方法が図の通りではありません。上述の接続方法を参照してください。)
VCC1 = 9v電源(上がマイナス)
R1,R2 = 4.7kΩ
S1 = スイッチ
C1,C2 = 1000μF 電解コンデンサ(黒いちょんちょんが付いているほうがマイナス)
IC1 = オペアンプ「4580DD」
R5,R6,R8,R9 = 10kΩ
R7,R10 = 47kΩ
C3,C4 = 10μF 無極性オーディオ用電解コンデンサ
C5,C6 = 470μF 電解コンデンサ(ちょんちょん側がマイナス)
LED = 黄色LED
R11 = 330Ω(LED保護用)
TRS1,TRS2 = ステレオジャック(図は別物。接続方法は上述参照)
R3,R4 = 10kΩ 半固定ボリューム
これでポタアンが完成
★ファミコンカセットに入れる★
任天堂が遊びの歴史を変えたファミリーコンピュータ。
昔のファミコンカセットに入れるというところがレトロモダンで素敵でしょ?
でもファミコンカセットの開き方はまだ上手にできないの。
方法はカセット下部の爪を外してから上部の穴にマイナスドライバを挿し入れてこじるんだけど、どうしても爪が割れちゃう。
カセットは内容を選ばなければ100円前後で売っている中古屋さんが結構あります。
お気に入りのカセットでポタアンを作れたら素敵じゃない?
もちろん取り出したROMはそのままソフトとして使えます。裸だけど。
カセットを開けてROMを取り出したら、ポタアンを入れるスペースを作るためにいくつかの部分をカットします。
〇 前面側
青い丸はカセットを開くときに外す爪。まず下の爪から外すそうです。
私は上から外そうとして、爪を二本も折っちゃったの。
黄色い丸の部分がカットする箇所。ポタアン本体にぶつからないようにするためと、外部接続部を露出させるため。
〇 背面側
こちらも黄色い丸の部分二か所をカット。小さい丸のほうは電池の形によっては切らなくてもいいかも。
私ははんだがへたっぴだからはんだ付けの分基板が浮いちゃって、カセットを閉じるために内部を少し削りました。
赤い丸で囲んだ部分がそう。ルーターで削りました。
上手な人がはんだの盛り上がりを一切なくしたら、たぶん削らなくてもそのまま収まると思う。
電池ボックスは基板を使わない方法を見つければ削らなくても収まりそう。
いつかカセット内部を削らずに、きれいに収めてみたいものだわ。
緑の丸は電源スイッチを外部に露出させるときにカットするといいと思う部分。私はうっかりしてスイッチを内部に収めちゃったから、いちいちカセットを開けなきゃいけないの。失敗したな。
カセットになんとか収めたら……。
レトロなファミコンカセットポータブルヘッドフォンアンプの完成!!やったー!
<使用した部品一覧>
ファミコンカセット
オペアンプ「4580DD」
基板 x 2
LR44ボタン電池 x6
コンデンサ 1000μF x2, 10μF x2, 470μF x2
ステレオミニジャック x2
半固定ボリューム 10kΩ x2
抵抗 4.7kΩ x2, 10kΩ x4, 47kΩ x2
スイッチ
LED
抵抗 330Ω
ピンヘッダ、ピンソケット(コネクタ)
<その他>
導線、はんだ、絶縁テープ(電池用)、糸、ホットボンド(基板固定用)、金属片(電池接続部)、レジン(コネクタ固定用)……etc
<必要となるもの>
はんだごて、音楽再生機器、イヤホンかヘッドフォン、(音楽再生機器とポタアンをつなぐための)両端がミニジャックになっているケーブル……etc
いかがでしたか?
ポタアンの他にも、ファミコンカセット筐体を使って「Bluetoothオーディオレシーバ―」も作っています。
ステレオミニジャックで接続するだけでオーディオ機器がBluetooth仕様になっちゃう優れもの。
興味がある方はそちらの記事も見ていってくださいね。
miraluna.hatenablog.com
よかったら一緒にはんだごてを持って、ファミコンカセットポータブルヘッドフォンアンプを作りませんか?
作製・紹介はミラでした。
「手作りポータブルアンプ」の記事へ