Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

幸運の星に導かれ、荒野を旅して丘の上の白い町ベヘルへ。

アンダルシア地方編】ヨーロッパ自転車旅

                       🌈今日の旅路🌞
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アンダルシア地方「4日目
無理せずゆっくりアンダルシア地方の旅を楽しみましょう。ジブラルタ海峡は逃げないわ。
崖の上の白い村アルコス・デ・ラ・フロンテラから丘の上の白い白い町ベヘル・デ・ラ・フロンテラまで。

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🌷 ゆっくりと旅しましょう
昨日は暑くて広くて熱い荒野の中をずっと旅してきて、体はもうくたくたでした。一日の終わりには快適なツインルームに泊まることができたのですが、夜寝ているときには体の内側に痛みがありました。どうやらその痛みのせいで、夜中にうなされていたみたい。やはり昨日の無理がたたったのでしょう。目の前を走る保護者のカタリの背中を追って、暑さと疲れの中でも私は平気と思っていたけど、体は平気じゃなかったみたい。朝起きると心配顔のカタリが優しい言葉をかけてくれました。だから私は大丈夫。その言葉だけで元気が出ます。

朝食付きの宿だったので、1階のバルレストランに降りて遅めの朝食をいただきました。おいしい朝ごはんを食べながら、私たちはこれからの旅について話し合いました。旅のしかたのこと、自転車の状態のこと、日本での生活のこと、旅の終わりのこと。そして、今日からはゆっくりと旅することに決めました。急いでどこかへ向かう必要なんてない。私たちは旅をしたいがために旅しているのだから、って。

☆ 迷いやすいアルコスの町
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荷物を自転車に積み込んで10時頃に出発。今日も憎いくらいにいい天気🌞 だけど平気。今日からはゆっくり旅することに決めたんだから。元気を出して自転車をこぎ出したけれどアルコスの町は坂道が多くて、上がったり下がったりしながら次の町へ向かう道がなかなか見つかりません。やっとアルコスの町を出ることができた時には11時くらいになっていました。

☆ アルコスの町を出立
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アルコスの町は白い家がたくさんあって素敵だったけれど、町を出るときに郊外の丘から見たアルコスの町の全体像がとてもロマンチックで劇的でした(上の写真)。
アンダルシアの荒野と白い町とお城。赤毛のアンのいうところの「想像の余地がある」魅力的な光景。いろんなロマンを想像しちゃうなぁ。

☆ 今日も荒野を進みます。でも、ゆっくりと。
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私たちは今朝決めたように、ゆっくりとアンダルシアの荒野を進みました。でも今日は下りが続いたので、ゆっくりこいでもスピードは速かったんです。朝からずっと荒野の中を旅して、パテルナ(Paterna de Rivera)という町に着いたときにようやくスーパーに寄ることができました。ここでお昼ご飯にします。
このときにみかん100%のジュースを飲んだのですが、それがとーっても最高に美味しかったです。本当に美味しかった🍊

ドン・キホーテが突進したのも風車
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パテルナの町を過ぎると、やがて今日の旅の中間地点に位置するメディナ(Medina-Sidonia)の町が見えてきます。この町は”すごい丘”の上にある町です。たいていの街道は町の真ん中を抜けていきますが、この町の場合はその他に周囲をぐるりと道が巡っています。登山道の「巻き道」のように。一山越えるほどの”すごい丘”の上にある町なんですね。チベット修道院の町みたい。
好奇心に駆られがちな私たちはこういう場所ではたいてい山のてっぺんに登ってみようとしますが、今日は無理せず旅をしようと決めたばかり。なので丘を巻く道を通りました。

☆ 荒野は続く
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旅をしていると時々、多くの偶然が重なって一つの場所や出来事に巡り合う、という「大きな意図」の導きのようなものを感じることがあります。それはいつだって良い形をしていて、私たち旅人は「幸運の星(Lucky Star)」と呼んでいます。偶然に偶然が重なって巡り合う人や場所や出来事。その偶然の一つでも欠けたら出会えない。それを「奇跡」と呼ぶ人もいます。そういう奇跡って、旅の中では結構たくさん起きるものなんです。
一昨日宿がなくて、昨日がとても辛い一日だったのは、タリファの町にいくまでにもう一泊するためのものだったんだ。と、カタリが後に言っていました。「すべては旅の女神の思し召し。僕らの旅は見通され、守護されている」「もしかしたらルナが女神なのかもしれない」とも。え? それってどんな発想?

☆ まるで巨人のよう
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やがて私たちの旅路はベヘル・デ・ラ・フロンテラ(Vejer de la Frontera)の町へと辿り着きます。距離はあったけれど苦しさはありませんでした。きっと下りが多かったのと、”焦ることはない”という心の持ち様が体を助けたのでしょう。今夜はここベヘルの町で宿を探しましょう。

☆ ベヘル・デ・ラ・フロンテラの町
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ベヘルの町へは、ものすごい急坂を自転車を押して入りました。家々の少ない斜面を登って入った町の入口は、なんだか町のお勝手口のような雰囲気でした(カタリも「町の裏手」と呼んでいました)。坂を登りきると丘の上の白い町の中に出ました。少し行くと噴水広場に出て、人々がカフェで寛いでいます。今まで走ってきた道のりとはまるで別世界。白い、きれい、かわいい!

☆ 丘の上の噴水広場(スペイン広場)
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私たちは丘の上の白い町をぐるっと一周、回ってみました。今朝出発したアルコスの町も白くて可愛らしかったけど、ここベヘルの町は見晴らしが良くてさらに白い町の魅力が見える。ほんとに白い、きれい、かわいい。

☆ ベヘル町のくびれ
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ベヘルのオールドタウンは東の丘と西の丘に分かれているイメージで、その間に”くびれ”たような低地の駐車場があります(上の写真)。
東西の丘同士は北側でつながっていて、そこにはレストランの立ち並ぶ”町のバルコニー”のようなテラス道があります(下の写真)。
テラス道からは、今日私たちが旅してきた道のりを遠く眺めることができました。

☆ 町のバルコニー
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魅力を感じる世界、きれいだと思う世界、そこをただ見るだけで、歩くだけで、自転車で走るだけで、人生が喜びに満ちることがあります。特別なきっかけは必ずしも必要じゃない。この世界はときどき、ただそこにいるだけで歓びを感じるほどに、美しいところに見えます。

☆ 「ドン・キホーテ展望台」方面から見たオールドタウン全景
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☆ 坂と植物の多い白い町
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もしあなたの心が苦しくて窓の外の世界に目を向けるのがうんざりだったとしても、もし今は心が重たくて外に出ることが億劫過ぎるとしても、私たちの見た空の下に身を置く機会があれば、あなたはきっと気に入ってくれる。心が喜びを感じるはず。だって、醜さや汚らしさに溢れたこの世界は、ときどき途方もなく美しいから。

☆ ベヘル町を見守る女神様
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私たちの見た空は、世界中のどの場所の空ともつながっている、ひとつながりの空です。
あなたのいる空とも。

☆ スペイン広場の噴水
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白い町を巡りながらあちらこちらでインフォメーションセンターの場所を尋ねました。宿の場所を訊くためにインフォメーションセンターに行きましたが、あと1時間は国民のお昼寝タイム、シエスタです。ただ待っているだけというのももったいないので、私たちは自分たちの足で今夜の宿を探すことにしました。

☆ 宿の屋上からの景色
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丘の上の見晴らしの良さそうな場所にいくつかの宿を見つけることができました。一軒は通りに面したパン屋さんの2階にあって、そこも素敵な感じでしたが、私たちはその少し奥の坂道にある宿を訪ねました。
大きな宿でしたが入口は小さくて、一人のおじいさんが階段の横で受付をしてくれました。2人部屋でバスルーム付き。
この部屋がとても素敵で、花柄のベッドカバー、町を見渡せる窓、シャワールームはバスタブ付き、使いやすい調度品、親切なフロントのおじいさん、洗濯物を干せる展望台のような屋上、いい香りのボディソープ、その他もろもろ。そして何より立地の良さ。私にとって、この旅で一番素敵な宿でした。

☆ あの地平線から旅をしてきた
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私たちは宿に荷物を降ろすと、さっそくベヘルの町を探索しました。あっちへ行ってもこっちへ行っても絵になる光景ばかり。イングリッシュガーデンのような区画があったかと思えば、アラブ風なモザイク画や壺が置かれていたり。オリエンタルな色合いのタイルが飾られていたり、スペインらしい教会の尖塔があったり。様々な文化の特色が争うことなく調和している。そんなエキゾチックな魅力を感じる町です。

☆ 坂の途中にある古いスタイルの風車
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白いベヘルの町をぐるぐると見て回った後は、町はずれのスーパーへ行って今夜のご馳走を買い込みます。青りんごジュースも美味しかったけれど、スペインオムレツのトルティーヤ(Tortilla de patatas)が格別に美味しかったです。
宿に戻ってお風呂とお洗濯。洗濯物は景色の良い屋上に干します。風が気持ちいい。

☆ 夕暮れ間近
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昨日はとっても辛い一日だったけれど、カタリの言うようにそれは今日こうしてここベヘルの町に巡り合うための導きだったのかもしれない。もし自転車旅が快調で今日のうちにタリファに着いてしまっていたら、この町には留まれなかったんだもの。きっとこれも旅の女神さまの思し召しで、幸運の星が輝いたのね。

☆ 丘の上の白い町、ベヘルの夜
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そんなことを思うくらいに素敵な町との出会いでした。
二日過ぎの満月の光に照らされた、白い町の中で。おやすみなさい、いい夢を。



🌈 明日へつづく
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