Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

ポルトガル自転車旅。雨の峠を越えて、巡礼路「ポルトガルの道」のアルベルゲへ。

f:id:miraluna:20180521193650j:plain:w120 Luna
自転車の旅ポルトガル編 2】


ルナです。
保護者のカタリと一緒にヨーロッパを自転車で旅しました。
その軌跡です。
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☆ ポルトガル
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今はまだスペイン。
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 ポルトガル入り前日
   ボイロから O Vaoへ

 この日はGPSロガーのスイッチを入れ忘れちゃったの。
 なので1日のルートログはなしです。


日本を出発してアイルランドのダブリンから自転車旅を始めた私たち。アイルランドからヨーロッパ大陸へと渡り、自由の国フランスを抜けてスペインへ。聖地サンチアゴ=デ=コンポステーラを目指す巡礼者となった私たちは聖地巡礼を果たし、南のポルトガルへと新たな旅を始めました。昨日は大西洋岸を走って、山越えの後に辿り着いたビーチ前のキャンプ場で眠りに就きました。さてさて今日はどんな旅の一日が待っているのでしょう。

☆ キャンプ場前のビーチ
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快適なキャンプ場でした。家族連れが多くて夜はがやがやと賑わっていたけれど、くたくたになっていた私たちは難なく眠りに就きました。ここ20日間ほど泊まってきた巡礼宿ではみんな早寝早起きで、私たちも例外になく早寝早起きが身についていたの。
でもキャンプ場での朝はみんなゆっくりと眠っていたから私たちものんびりと支度をしました。アルベルゲ(巡礼宿)では暗いうちからみんな活動を始めるから、ちょっとせわしないの。昨日キャンプ場の人に「お代はまた明日」って言われたんだけど、9:00を過ぎてもレセプションが開かなかった。いつもならとっくに出発している時間だから、ただひたすら待ちぼうけ。受付手続きもなかったからこのまま出発することもできたんだけど、それは不徳でありみじめな行為であることを私たちは巡礼の旅の中で感じていたので、ただ正直にお代を払うためだけに受付の人が来るのを待ち続けました。雨も少し降っていて、爽やかな朝に感じるような素敵な気分にはなれませんでした。
ようやくレセプションのおばさんがやってきて、私たちは支払いをすることができたの。そして出発。そのとき私は気が付かなかったんだけれど、カタリがしばらくしてから打ち明けてくれたことがあります。それは支払いのときおばさんが40cのお釣りを間違えて4€渡したこと。そのときカタリは出発が遅れたことに良い気分ではなかったので、遅くなった代価としてそれを受け取ってしまったこと。そしてそのほんの数€のために朝からずっと罪悪感を感じているということでした。とても些細なことではあるけれど、正直に4€を返さなかったということがカタリにとっては自ら自尊心を傷つけることだったみたい。私の保護者はこうやって時々子供みたいに頑なになることがあります。たまに度が過ぎるほど真面目なのよね。いらいらしたり不安になったりしているときには、誰だって正しいと思っていることを通せないことだってあるわ。たとえおばさんが事実を知ったとしてもきっと許してくれるでしょう。常に正しくあるということは難しい。正しくあろうとするのならば、それだけでいいの。しょんぼりと落とした肩を見ながら、私は心の中でそう言いました。

☆ 小雨と薄曇りの中出発
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午前中は雨模様。激しい雨ではなかったけれど、テントをたたんでいるときから降ったり止んだり。レインウェアを着たままだと汗で内側が濡れてしまうので、雨が降ったり止んだりするたびにレインウェアを着たり脱いだりを繰り返しました。手間ではあるけれど、このちょっとした手間が後の快適さを左右するんです。

☆ 大きな川に架かる橋
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川や沼など、水の多い地域を抜けていきます。森のように木々の茂る島が池の中に広がっていたり、曲がりくねる川が幾筋もあったり、なんだか植物園のような雰囲気がありました。
その中の大きな川 Ulla川には橋が架かっていて、その橋を渡っていきます。川の中央にはヴァイキングの船が一艘ありました。

☆ ヴァイキングの船
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川は南北に流れていて、北には小島とヴァイキングの船、南には古いお城の跡のような遺跡が見えました。川の関所か砦のようなものだったのでしょうか。

☆ 川のほとりの城跡
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☆ 遺跡
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扉のアーチのようなものが見えます。もしお城だったとしたら、きっととても大きなお城が建っていたのでしょう。当時の姿や歴史を知りたくなります。
きっとこのお城は昔々おとぎ話のような時代、王族が住んだり貴族が住んだり戦いで砦として利用されたりしたのでしょう。その時代に生きた人々がいて、そこには人の数だけロマンと物語があったのでしょう。あの扉アーチは何度もくぐられ、石段は何度も踏まれ、石壁は何度も触れられたのでしょう。そこにはかつての息遣いが宿っていて、今なおここに建っている。なんてロマンチックなのかしら。そう、思いませんか?

橋を渡るこの道は、大きな道から逸れたルートになります。もし移動のためにスムーズに走るなら、少し北に行ったPadrónという町を経由するのが王道といえるルートです。でも私たちの旅に王道はありません。あるのはいつだって風吹く気まま道だけです。だから私たちは二又に分かれた分岐地点で、橋を渡る脇道ルートへと躊躇なく入り込みました。
この脇道ルート、地図ではわからないのですが、大変な山道でした。それほど高い山ではないのですが、休みなく登り続ける道である上に、雨。雨なのでレインウェアを着ているのですが8月後半のこの日は暑く、蒸すのです。大変でした。峠の上のほうは人のいない森の中で、採石場のようなものがありました。

道はN550という大きなルートへと合流し、気の良い自転車旅の人とすれ違い、私たちは公園のような休憩所でお昼ご飯にしました。

     ☆ メロン味のヨーグルト 
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しばらく進むとその後は下りでした。坂の途中にスーパーがあり、カタリがメロン味のヨーグルトを買ったので、半分ずつ飲みました。とっても美味しかった。

☆ ポンテベドラの町
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すっかり晴れました。午前中の雨が嘘みたい。
私たちはポンテベドラという大きな町に到着しました。川に囲まれた素敵な町。
でもこの町でも自動車専用道であるモーターウェイに苦しめられました。標識に従って川沿いの道を行くと、途中からモーターウェイに変わってしまって通ることができないの。あちこちうろうろしたけれどなかなか町から抜ける道が見つからない。でもラッキーなことに私たちの持っていた地図にはここポンテベドラの町の拡大図が載っていたの。きっと有名な町なのね。地図を見ると南へと抜けるルートは町中を東へ通り抜けた先にあるみたい。これは地図がなければ見つけるのは難しかったと思うわ。無事に南へと続く道を見つけることができて良かったです。

ポンテベドラの町を出発してしばらく行くと、入り海に差しかかりました。入り海へと注ぐ川に架かった橋を渡ると、ぐるりと丘に囲まれた入り海が湖みたいに広がる風光明媚な場所。日も暮れ始めていたし、この辺りに宿があればいいねと話していました。
すると馴染みのホタテ貝のマークがあり、大きな荷物を背負った巡礼者たちが歩いていました。どうやらここは巡礼路「ポルトガルの道」の宿場町のようです。もう巡礼宿に泊まれることはないと思っていたのですが、もしかしたらまた泊まることができるかもしれません。

☆ O Vaoのアルベルゲ 
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小さなインフォメーションセンターを見つけたので行ってみると、もう閉じていました。町の地図があったので、町中を通る巡礼路を辿ってみます。きっとアルベルゲ(巡礼宿)があるに違いありません。いくつかのホテルを見つけた後、丘の上の小さな路地を入ったところにアルベルゲを見つけました。やった。巡礼を終えた私たちでも泊まれるかな?

☆ 地下やバルコニーのある複雑な造り
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宿の中はしんと静まり返っていて、私たちが勝手に荷物を下ろしていると宿のご主人がやってきました。どうやら泊まれるそうです。良かった。
この日は他に宿泊者は3人しかいなくて、私たちは4人部屋を貸し切りで使わせてもらいました。一人10€で、お代とスタンプ(巡礼者の証に押してもらうものです)は明日の朝だそうです。
またアルベルゲに泊まることができてうれしい。

☆ きれいなキッチン
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私たちが泊ったのは2階でした。宿の中は外階段が建物の間にあったり広い窓付きバルコニーが張り出していたり、複雑な造りでした。地下階はどんな構造になっていたのか分からずじまいです。
でも広くてきれいなキッチンがあって、バルコニーではテントを干すこともできて、なんといってもここのシャワーにはバスタブがあったんです。幸せ。

☆ 広いバルコニー
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私たちはバルコニーにテントを干して、バスタブにゆっくりと浸かって、服をお洗濯しました。それから(小さな町でしたので)近くにあるスーパーへ行き、ここのところずっと食べたいと話していたお肉を買いました。火の使えるところでなくては食べられないものね。

☆ バルコニーからの景色
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私たちは宿へ帰ると早速お料理をして、バルコニーに運びました。その間数人の巡礼者と会ってお話をしたけれど、人数が少ないのでほとんど私たちだけで過ごしました(宿泊者全員とお話したんじゃないかな)。ポルトガルの道の巡礼者たちはみんな口をそろえて道がわかりにくいと言います。フランス人の道は巡礼者もサイン(標識)も多いのですが、ポルトガルの道はどちらも少なく、道に迷うことが多いそうです。それも含めてポルトガルの道にはポルトガルの道の魅力があるそうですよ。
宿は高台にあるので、バルコニーからは入り海を望むことができます。とっても素敵な景色。私たちは今日一日の旅の無事に感謝して、きれいな景色を楽しみながら久しぶりのお肉に舌鼓を打ちました。
雨の暑い峠越えの後の、素敵なひとときでした。

☆ 入り海の夜景
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明日はいよいよポルトガルへ入国します。それではおやすみなさい。



明日へつづく  ↓

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昨日の日記  ↓

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