Mira&Luna's nursery lab

旅乙女と発明娘の子供部屋

Camino de Santiago 自転車旅 「旅の準備」 「Saint jean pied de port 出発前夜」

☆ サンチャゴ=デ=コンポステーラまでの道のり

Luna

サン ジャン ピエ ド ポーからサンチアゴ デ コンポステーラまでの巡礼路を自転車で旅をしました。

同じ道のりを旅しようと考えている人のために、その道のりでの日常や準備・方法などを紹介していきたいと思います。

               文:Luna    助言・あーせい更正・校正:katari
 
<目次>

〇 旅の準備
〇 巡礼宿 アルベルゲ
〇 旅路の行程・一日の流れ
〇 水と食べ物
〇 旅の装備
〇 旅のトラブル
〇 自転車の巡礼路
〇 統計データ検証
〇 鉄の十字架 Cruz de Ferro
〇 巡礼証明書をもらえる条件
〇 サンチアゴ=デ=コンポステーラに辿り着いたら
〇 巡礼路のその先 「大地の果て」へ

<日記の目次>
出発前夜「Saint Jean pied de port 出発前夜
1日目「カミーノへ出発 ピレネー山脈を越えてスペイン入り
2日目「カタリーナの忘れ物・かわいらしい丘の町シラウキ
3日目「白い象のような山並み 虫の音響く寂寞たる秋の空
4日目「聖ドミンゴの敷いた街道を真っすぐに走る
5日目「マリア様の命日のお祭り やっとヘリットおじいさんに追いつく
6日目「道に迷い、霊感高い空の道を行く
7日目「大きな町 León(レオン) 巡礼者たちの終日の祈り
8日目「ガウディのお城から山中の村へ これこそ Camino de Santiago の宿
9日目「祈りの山を越えて
10日目「道を間違えて素敵な田舎道へ
11日目「ついに巡礼路の最終地サンチアゴ=デ=コンポステーラに到着
巡礼の後「巡礼のその後 大地の果てムシアとフィステーラ



「旅の準備」

今日から「カミーノ=デ=サンチアゴ(Camino de Santiago)」と呼ばれるサンチャゴまでの巡礼路での旅の様子を残していきます。

巡礼路では日本人の巡礼者も多く見かけました。
この記事がこれから巡礼の道を歩こうと思っている方や、あるいは自転車で旅をしようと思っている方の手助けになるようであれば、それはとても嬉しいことです。

<このページの記事>
〇 他のページにリンクした目次へ
〇 サンチャゴ巡礼(カミーノ巡礼)とは?
〇 キリスト教徒じゃなくても大丈夫?
〇 旅の予算
〇 現地まで、現地からの移動手段
〇 自転車で行く場合
〇 サンジャンピエドポーの町で準備をする
〇 巡礼地図
〇 証明
〇 日記 0日目「Saint jean pied de port 出発前夜」


☆ サン=ジャン=ピエ=ド=ポーの町に架かる橋。
巡礼者たちはこの橋を越えて、巡礼の旅に出発していきます。


サンチャゴ巡礼(カミーノ巡礼)とは?

今から紹介する「サンチャゴ巡礼」とは、聖地サンチアゴ=デ=コンポステーラの町を目指す巡礼の旅のことです。キリスト教の宗教儀礼の一つですが、国や宗教を越えて開かれています。
聖地サンチアゴ=デ=コンポステーラはスペインの北西に位置する町で、キリスト教徒を中心とした世界中の人々がこの町を目指して旅をします。時には自転車で、時には馬で、そして多くは徒歩で。日本のお遍路さんに似ていますね。巡礼者の一番多い夏のシーズンには、夏の一大祭典とも言えるほど多くの人々が世界中から集まり、何日もかけて巡礼路を旅します。


キリスト教徒じゃなくても大丈夫?

私とカタリはキリスト教徒ではありませんが、そのことによる障害はありません。
巡礼を始めるときや、到着地で証明書を発行してもらうときに巡礼の「理由」を選択する項目がありましたが、
・宗教
・精神的なもの
・観光
などの選択肢があったので、観光目的の他宗教の人も多くいますし、それは受け入れられています。


旅の予算

旅行といえばホテルに泊まったり、現地のレストランで美味しいものを食べたりと、何かと費用が必要になりますね。
この巡礼路では田舎の村や集落を巡り、小さなカフェや商店で食料を調達することになります。大きな町も通りますし、レストランに立ち寄ることもできるでしょうが、道のりの多くが町から離れたのどかな土地です。


・宿代・・・野宿をせず、毎日シャワーを浴びてベッドに寝て、平均すると一泊7€くらいでした。どうしてこんなに安いのかというと、後述するアルベルゲという宿が数多く用意されているからです。

・食事代・・・私たちは主にスーパーや商店で食料を買い、自炊しました。多くの巡礼者が自炊です。女性はトイレの問題があって、お昼はカフェで昼食をとる人も多いです。
スペインは物価が安いので、自炊をするとかなり安く食事をすることができます。
一人1日3~5€で済ませましたが、それは私たちが食料を積める自転車旅であることと、あちこち旅をしてゆく中で身につけた節約術によるものなので、一人一日7~10€くらいが目安かと思います。
ちなみにお酒を飲む方には朗報。スーパーでは地元のワインが1リットルで80セント! 安いところで53セント! 味は日本で買う1000円くらいのワイン並みとのこと(カタリ談)。
ビールは1リットル1€~1.5€。
私にとってはチョコレートが200g(日本のはだいたい50g)で80セント前後だったのが嬉しかったです。

カフェなどでは巡礼者メニューを出しているところも多く、「巡礼者なら半額で大盛!」のようなところもたくさん見かけました。
でも普通に観光として料理を頼むと、10~15€が相場なので、高くついてしまいます。

・移動費・・・サンジャンピエドポーからサンチャゴまでは歩きか自転車なので、移動費はかかりませんよね。
日本からサンジャンピエドポーまでと、サンチャゴから日本までの移動費が必要です。

飛行機代はシーズンによって大きく変わります。ハイシーズンを外せば片道7~8万円、往復10~15万円で行けるでしょう。
私たちの場合は成田からダブリンまでが61000円、スペインのマラガから成田までが70000円でした。

最寄りの飛行場のある町からサンジャンピエドポーまではバスで1000円ほどです(後述)。

・全部で
歩きで行くと30日と数日以上かかります。自転車ならその3分の1。
もちろん人によってペースはさまざまなので、これは目安にすぎません。

すると1日の宿と食事の費用が3000円、往復の飛行機や列車バスの合計が20万円で収まりそう。

<サンジャンピエドポーからサンチャゴまで巡礼路を行く旅行費用>
歩き・・・30万円 ( 35日間の生活費 10万5000円+移動費20万円)
自転車・・・24万円 ( 2週間の生活費 4万2000円+移動費20万円)
あればじゅうぶんかな?

飛行機代を別にすれば、日本で暮らすよりも費用がかからないかもしれません。
実際私たちは飛行機代が13万1000円、生活費が11日間x1500円以内だったので、15万円くらいで済みました。

でもお土産代が高くついたりして。

現地まで、現地からの移動手段

サンジャンピエドポーには空港がありません。なので近くの大きな町まで飛行機で飛んで、そこからバスや列車で行くことになります。巡礼者たちに話を聞くと、レオン・バルセロナ・パリ・マドリード・サンチャゴなどが多く、特にレオンからバスで、という人が多かったです。

フランス側での最寄の空港はバイヨン(Bayonne)とポー(Pau)です。(Bayonneの空港はBiarrits空港といいます。)それぞれバスで1時間(Bayonne)・1時間20分(Pau)で、ピエドポーまでのバスの料金は500~1200円です。
列車の料金は様々ですが、ポーからだとバイヨンを経由することになり、ポーからバイヨンまで2等で1500円から4000円くらい、バイヨンからピエドポーまで1500円くらいです。自転車を載せる場合は、10€の自転車料金がかかります。

サンチャゴには空港があります。日本から寄り道をしないで巡礼路を目指すなら、サンチャゴ行きを往復チケットで取るといいかもしれません。
(チリやアメリカのサンチャゴと間違えないように気を付けましょう。Santiago de compostela空港は(SCQ)です。)


自転車で行く場合・・・

・飛行機
自転車は輪行バッグか、自転車を売るときに使われるダンボール箱自転車屋さんによってはもらえます)に入れれば、普通の荷物として扱われます。自作のバッグのようなものでも、それ以下のサイズならば大丈夫でしょう。
ただし、大型サイズの荷物として、空港のチェックイン時に別のレーンへ通されると思います。
また、チケットによって預けられるサイズの規定が異なるので、特別料金を支払う必要がある場合もあります。
私たちは今までで6回自転車を預けましたが、一度も特別料金を支払ったことはありません。ただ、ロシアの航空会社を利用したときには預けられる荷物が1つだけだったので、自転車を預けて残りの荷物をすべて機内に持ち込んだことが一度だけあります。その場合でも4000円くらいの特別料金を支払えば、荷物を預けることはできました。
(マウンテンバイクなどのサスペンションにガスを注入しているものについては、別規定があるので注意してください)

・列車とバス
ヨーロッパでは自転車を積めないバスがほとんどですが、輪行バッグに入れた場合は荷物として扱われるバスもあります。
自転車を輪行させる際には列車を利用するのが一般的です。
列車は基本的に輪行バッグに入れなくても自転車を載せることができます。
料金は自転車料金を必要とする路線と、そうでない路線があります。
チケットを買うときに「自転車がある」と言えば、それに必要な料金でチケットを売ってくれます。

(ただしすべての路線が自転車をそのまま載せられるかというと、そうではありません。
寝台のついている長距離列車などでは、輪行バッグに入れないと載せられない路線もあります。)

フランスの鉄道会社SNCFでは、分解できないような自転車はチケット予約時に10€の料金が必要となり、120cm x 90cm以上の荷物も特別料金が必要となります。それより小さくパッキングすれば、特別な料金はかからないそうです。

・自走
どこをスタート地点にするかによって、自転車を組み立てるタイミングが変わってきます。輪行バッグに入れたまま列車やバスで移動し、宿で組み立てる場合や、空港で組み立てて自走する場合が考えられます。
空港で組み立てる場合には、到着時刻に余裕のあるチケットをとるか、空港で朝を待って出発するべきでしょう。夜中に走り出すのは得策とは思えません。


サンジャンピエドポーの町で準備をする

☆ サンジャン=ピエ=ド=ポーの町

日本を出発するときの準備については、装備品などの項目で書いていきます。
ここでは他の旅にはない準備、巡礼の旅に必要な準備について書きます。

ここピエドポーで必要な準備は2つあります。
「地図」と「証明」です。


〇 巡礼地図
これから進んでいく巡礼路は700kmもの道のりです。
同じ道を多くの巡礼者が歩き、道しるべも数多く用意されていますが、日々の道程を計画するにあたって地図は必要なものです。
また、巡礼路では宿となるアルベルゲの位置を知る必要があります。普通の地図には載っていないアルベルゲの情報は、大事な道しるべとなるでしょう。

この地図はサンジャンピエドポーやサンチャゴデコンポステーラ、大きな町の大きな本屋などで売られている巡礼路の地図です。
巡礼路にはいくつかのルートがあります。
これから紹介していく巡礼路は一番多くの巡礼者がいる「フランス人の道」と呼ばれるルートです。

日本語の地図はまだ見たことがありませんが、ガイドブックであれば日本で日本語のものが手に入ります。
都会の大きな本屋か、インターネットで購入できると思います。


地図ではなく、アプリを使う巡礼者もたくさんいます。
アプリには宿の位置、宿の詳しい情報、買い物のできる場所、目的地までの距離など、豊富な情報があります。
様々な種類のアプリがありますが、こちらのアプリを使っている巡礼者を多く見かけました。
カタリも備えとしてインストールしていましたが、私たちはいつものように地図で旅をしました。

☆ アプリ「Camino Pilgrim - Frances」


〇 証明(クレデンシャル)
もし地図を手に入れる必要がないのなら、この町でやるべき準備は一つだけです。
巡礼者(ピルグリム)であることを証明する証明書を発行してもらうことです。
巡礼路では巡礼者たちはアルベルゲと呼ばれる巡礼宿に泊まります。その際、巡礼者の証がなくては、巡礼宿に泊まることはできません。

☆ 巡礼者の証

巡礼者の証は英語でcredential(クレデンシャル)と呼ばれ、簡単に手に入れることができます。
サンジャンピエドポーならなおさらです。
サンジャンピエドポーはカミーノ(巡礼路)の出発地として最も多く(正確には2番目です。1番多いのはSarria)選ばれている町なので、ここで「巡礼者の証」を手に入れる人がたくさんいます。

この町には1日目の行程など巡礼路について説明してくれる巡礼者施設 Accueil pèlerins(巡礼者の家)が設けられていて、そこで証明書を発行してもらえます。

巡礼者の家・・・「Accueil pèlerins(巡礼者の家)」
        「Amis du Chemin de Saint-Jacques(巡礼路友の会)」
         ボランティア団体
         住所:Citadelle通りの39番地(N°39)

私たちはフランスのブレイユという町から巡礼路に入ったので別の方法で証を手に入れましたが、ここではかなりスムーズに発行が行われていました。
私たちの場合は発行手数料に5€かかったので、きっとここでも同じだと思います。

サンチャゴは小さな町だけれど、観光案内所・巡礼者施設・巡礼宿があるので、どれかを見つければ他の場所も教えてもらうことができるでしょう。
町中にいる巡礼者たちも場所を知っているでしょうから、誰かに尋ねることさえできれば見つけるのは難しくないはずです。
巡礼者の家へ行けば「証明書が欲しいの?」ときっと向こうから言ってくれることでしょう。巡礼者の家の主な仕事は、証明書の発行と巡礼路やアルベルゲの紹介ですから。


☆ 巡礼宿アルベルゲ(Albergue)

巡礼者たちは「アルベルゲ(Albergue)」と呼ばれる巡礼宿に泊まることになります。野宿やキャンプ場やホテルに泊まる人もいますが、ほとんどの巡礼者がアルベルゲに泊まります。


☆ 巡礼者の証にスタンプを押してもらう

もしサンチャゴに到着したときに巡礼路踏破の証明書をもらいたいとしたら、この巡礼者の証に毎日2つ以上のスタンプを押してもらう必要があります。
スタンプは巡礼宿や教会や町の庁舎で押してもらうことができます。
大抵は毎日次の町へ行き、教会でお祈りをし、宿に泊まるので、自然と2つ以上のスタンプが手に入ります。
   →巡礼証明書をもらえる条件


こうして見ていくと、特別な準備は「巡礼者の証」を手に入れるだけですね。

巡礼者のシンボルは赤い十字の書かれたホタテ貝です。
これはなくても構わないのですが、あちこちで売られているので買って身に着けておくと良いと思います。歩きの人はザックの後ろに付けるのが基本で、自転車も後ろから見えるように付けます。カタリは前かごに付けていましたが……。
このシンボルを付けていれば、多少汚い身なりをしていても、「水を下さい」と民家を訪ねても、理解してもらえます。多分。


〇 それともう一つ準備するもの。
水筒を満たして、食料を買いましょう。
人生のあらゆる場面で必要になるものですから。


次の記事へ


目次へ


「Saint jean pied de port 出発前夜」 0日目

ここからは日記になります。


☆ 出発前

サン=ジャン=ピエ=ド=ポーの町にいます。

スペインの国境近く、ピレネー山脈のふもとにある、フランスの町です。

サンチアゴ=デ=コンポステーラ(Santiago de compostela)の町まで続く巡礼路にある町で、ここを出発地にする巡礼者が多くいます。

私たちはこれから、サンチャゴ(サンチアゴ=デ=コンポステーラ)を目指して、自転車で旅をします。


私ルナと保護者であるカタリは日本の成田を出発し、アイルランドのダブリンへ。
アイルランドの南半分を旅し、フランスを縦断してここまで来ました。

自転車での旅の記録です。

アイルランドの旅の様子は以前に書きましたが、フランスはまた別の機会に書きます。
アイルランドでの旅の様子に興味のある方はこちらから ↓
miraluna.hatenablog.com

追記:)フランスでの旅の様子を書きました。↓
miraluna.hatenablog.com



☆ 四人で食事を

ようやくたどり着いたサン=ジャン=ピエ=ド=ポーの宿で待っていたのは、なんと昨日、一昨日と続けて出会ったポールとクレメン父息子との再会でした。
私たちは昨日の大雨でソルデ修道院村に泊まったから、てっきり二人は昨日のうちに到着してしまって今日はもういないと思っていたの。
まさかまた会えるなんて。

私たちは夕飯を一緒に食べる約束をして、それぞれシャワーを浴びたり洗濯をしたりして過ごしました。二人の自転車は泥々で、道のりの激しさを物語っていたわ。

私とカタリは城跡や町を見て回って、地図を手に入れました。その頃には雨も上がっていた。
宿に戻るとポールがお茶を飲んでいたので、しばらく一緒にお話をしたの。クレメンは本当に頭の良い子で、すぐに言葉を憶えてしまう。12歳だけど、まるで同い年みたい。

それからみんなでレストランへ行って、イカの料理を頼みました。ポールは魚を注文していたわ。
そのときにポールの生い立ちをたくさん聞かせてもらった。ベトナム出身であること、戦争のときにフランスへ移住したこと、空手と豆腐が好きなこと、奥さんと娘さんのこと、ボルドーの家のこと、マダガスカルでバニラの木を植えるボランティアをしたこと、明日の朝奥さんが車で迎えにきて海沿いの町へ向かうことなど。
ポールよりもクレメンのほうが英語が得意で、クレメンは通訳のように会話の間にいました。

彼は子どもの頃に貧しい思いをしたから、貧しい人の力になれたらそれが喜びだって言っていたわ。だから生活に必要以上となる財産は人にあげるし、休みには貧しい人と一緒に働くんだって。
今回の旅ではポールのように「自分の財産は人に分け与えるものだ」っていう人にとってもたくさん出会ったの。彼らは決して特別裕福ではないのよ。必要なものがそろっているだけ。それ以上の財産は必要としている人に分け与えるのは当たり前のことで、喜ばしいことだって。もし自分が足りない時には分けてもらうからって。決して上からものを言うのではなくて、助け合うのが当然という感じ。
日本もそういう国だと思っていたけれど、どうかしら。
特別お金持ちじゃなくても、他人に自分の財産を喜んで分けられるかしら。
私は彼らを心から美しいと思いました。
人としての喜びについて、考えさせられます。

☆ 時計塔のアーチ
明日はあのアーチをくぐって、巡礼路「カミーノ=デ=サンチアゴ」へと出発します。


明日の日記


目次へ